第834回「正月もいろいろ」

 深谷隆司の言いたい放題第834回

 「正月もいろいろ」

 昔、現役であったころ、正月は新年会の連続で大変だった。1日に10ヵ所以上もあって、1月だけで300ヵ所以上も顔を出し、 必死に回ったものである。

引退後は台東区、文京区、中央区主催の新年会には顔を出したが、あとは特別な依頼以外、丁寧に断ることにしている。

 おかげで家族全員が集まってにぎやかな毎日であった。親族一同健やかな姿で新春を迎えられることは幸せなことで神仏に感謝したい。

 13日には孫の安希与、香瑠の運転で冨士霊園にお墓参り。深谷家、井上家の墓標の前で感謝の読経を捧げた。今の幸せは愛情深かった亡き両親のおかげで、あの頃をしのび感慨無量であった。

 箱根神社にも詣でようと出かけたが、道路は大渋滞、神社の近くまではたどり着いたが、それ以上は進まず、また後日にすることにした。

 素晴らしかったのは富士山だ。わずかに雲を従え、その雄姿には心を打たれた。箱根に来るたびに富士山に様々な祈りをしたものだ。特に政治家として存分に働かせてほしいと願ったものだが、今は政治家人生を全うできたことに感謝である。

 16日は新春新派公演、「明日の幸福」の観劇で三越劇場に出かけた。主演の波乃久里子さんは、私の現役時代、文京区の個人演説会に何度も応援に来てくれたご縁である。この芝居は昭和29年に劇団新派が初演して以来、新派の財産として継承されてきた名作だ。現代では珍しくなった三世代同居の家族が、それぞれの異なるお互いを理解し、絆を取り戻す物語だが、頑固おやじが政治家で、最後に厚生大臣になって「めでたし、めでたし」となるところが、面白かった。

 20日から温故知新塾、翌日から自民党政経塾が始まる。さあ、今年も元気で頑張ろうと、自ら鼓舞している。



第833回「謹賀新年」

 深谷隆司の言いたい放題第833回

 「謹賀新年」

 明けましておめでとうございます。

新春をいかがお迎えでしょうか。まず本年のご多幸をお祈り申し上げます。

 おかげさまで私も元気に新しい年を迎えることが出来ました。家内はじめ子供、孫もそれぞれ順調で、しかもいい友人達に囲まれてなんの不足もありません。神仏に感謝したいという心境です。

 84歳、人生のなんと早いことか。いつの間にこんなに馬齢を重ねたのかと驚いています。

 この歳になると、後の人生をどう生きるかが大問題で、そのことがいつも頭から離れません。自分の生きる「よすが」にするために、先人達の教えや、それに関連する本を盛んに読んだりしています。しかし、困ったことにそうした本の基準は「人生50年」を前提にしています。例えば70歳を「古希」といい、「古来稀なり」という意味ですが、今では70歳は決して稀では無いのです。

 確かに昔の人は驚くほど短命でしたが、今は人生100年時代といわれるようになりました。だから私は、様々な基準を、まず20年程度伸ばして考えてもよいのでは無いかと勝手に決めているのです。

 五木寛之氏の「林住期」という本はとても面白く、古代インドには「四住期」という考え方があることを紹介しています。100年の人生を4つの時期に区切って、それぞれの生き方を示唆しているのですが、そこで50歳から75歳までを「林住期」といい、その季節こそ自分の黄金期として開花させる時としているのです。75歳から更に20年延ばし95歳までが黄金期と思えば、まだまだ張り切って生きられるというものです。

 能の大家世阿弥は「花鏡」という伝書を残していますが、風姿花伝にもあるようにそこに「初心忘るべからず」と書いています。初心とは「最初の志」に限らず、人生において7つのステージをあげ、稽古の仕方を示していているのです。

 興味深いのは52歳で亡くなった父の観阿弥の奉納の舞を見て、動きが少なく控えめなその舞は、いよいよ花が咲くように見え、見物客も賞賛し、まさしく「老いの木に残りし花」であったと書いているのです。全てが無くなったところに一輪の花が残っている、むしろこの花を残すために今までのすべてのことがあったといえる。老骨に残る花、初心をもってそれに挑むべきだといっているのです。

 超高齢化の時代の年寄りの生き方を世阿弥は突きつけているように私には思えます。

 若いときの気持ちに戻ったり、若い頃と同じようにしようとせず、あくまで自分の限界の中で何をしたいかを考えよということだと思います。

 新しい年を迎え、若い世代を育てることをライフワークと考え、悠々と「老いの木に残りし花」を咲かせていきたいと思っています。


第832回「温故知新塾4期終了式」

 深谷隆司の言いたい放題第832回

 「温故知新塾4期終了式」

 本当に月日の流れは速い。12月23日、最後の講義の日、「1年教えて思うこと」を次のように塾生に語った。

 五経のひとつ「礼記」に「学びて然る後に足らざるを知り、教えて然る後に困(くる)しむを知る」とある。学問する事によって初めて自分に不足するものが分かってくる。又一方、人に教えてみて初めて自分の知識の不足についての苦しさが分かる。

 授業の前に多くの本を読み、推敲し、パソコンを打って講義の原稿を作る。孫の安希与に更にパワーポイントを作らせ、授業に万全を期しているが、まだ何か足りないといつも迷ったりしている。84歳の高齢になっても学ぶ事は尽きないと、いつも全力で走り続けているといった按配なのである。

 続けて通う塾生も多いが、今年で終わる人には惜別の思いがある。彼等に三体詩にある言葉「寸心遠近なし、辺地風霜あらん」を伝えた。お互いに許しあった私どもの心には、遠い近いの区別は無い。ただあなたがこれから行くところは荒い風、激しい霜もあろうから、くれぐれも体に注意して欲しい・・・。  


 5期生の募集が始まった。又いい人材が集ってくると期待して胸が高鳴っている。

(温故知新塾 渋谷区渋谷2-10-10 クオーツタワー10階 

 塾申し込み先 03-6431-9809 野上宛) 


 自民党政経塾も来春で15年目を迎え、すでに卒業生2500人、国会議員は9人、地方議員は300人を越える。温故知新塾もそうだが、塾生のレベルは年々高くなって、医師、弁護士、大学教授、官僚等も多く頼もしいかぎりである。


 今年は大学の講義にも何回か呼ばれたが、総じて若者の読書離れが目立っている。23日、国立青少年教育振興機構が発表した読書習慣調査でも全年代を通じて1ヶ月に紙の本を全く読まないとした人は49.8%に上ったという。特に20代は52.3%、30代は54.4%と活字離れが増え続けている。

 過日逝去された中曽根康弘先生は、「政治家は常に本を読まねばならない。教養を高め芸術論、文化論が出来なければ世界の政治家に太刀打ちできない」と常に言われていた。若い人たちに読書を強く勧めることも私の勤めだと思っている。

 もっとも一方で、スマートフォンやタブレットなどで電子書籍を読む人の割合は伸びているという。

 実は私も、12月13日 日経ビジネスオンラインゼミナール「怒らない宰相・中曽根氏の人間像を元腹心が語る」に登場している。このアクセスで記者は銀賞を得ている。

 BLOGOS「レジェンドたちが振り返る平成」「令和の政治家は国の為に死ねるか」「自民党重鎮深谷隆司が振り返る平成」でも角谷浩一氏のホストで出ている。いつでもアクセスできるところが特徴なので、是非参照してもらえば幸甚である。