第903回「月刊誌Hanadaが面白い」

 深谷隆司の言いたい放題第903回

 「月刊誌Hanadaが面白い」

 私が「一言九鼎(いちげんきゅうてい・心に響く言葉によって相手を安心、鼓舞するとの意)」とのタイトルで連載を続けているから言うのではないが、この本なかなか読みごたえがあって面白い。

 9月号と10月号で私は「満州引き揚げ体験」を書いたが、読者からの「胸が詰まった」との投稿もあった。「毎回大きな反響があります」と編集者からの弁に一層張り切っている。   

 今月24日発売の11月号では「地盤、看板、鞄無し 政治家への道」を2回にわたって書いている。

 古い時代を振り返り、資料を読み返したりして「自分探しの旅」のような思いである。調べる過程で昔のポスターや写真なども出てきて懐かしい。

 その「Hanada」で、今行われている自民党総裁選のことが多く書かれている。中でも面白いのがジャーナリスト堤堯氏と久保紘之氏の「蒟蒻問答」で、今月号のタイトルは「河野太郎のアブノーマル伝説」だ。

 久保「コロナ対策で菅が躓いて、(担当者の)河野はおとがめなしというのはおかしな話ですね。出馬宣言で実績として自慢げに並べたワクチン1日百万回接種とか、ファイザー1億本確保なんてみんな菅の功績をパクったもの、当初は役人と一緒になって難色を示していたんですからねえ」。

 堤「精神状態を懸念する声も聴くね。あの高飛車な物言い、あのへんてこな色柄のマスク・・・大丈夫かと言う声だよ。」

 堤「祖父の河野一郎は政界一の資産家と言われ、平塚に豪邸を構え、北海道に競馬馬を数頭持った。よほどあくどい方法でゼニ儲けをしたんだろうね、その御殿が野村秀介に放火され全焼した」

 久保「丁度その時、大磯の吉田茂邸を訪れていた三木武夫は、庭先から杖を振り回しながら、いかにも嬉しそうに帰ってくる吉田を見てご機嫌ですねと声をかけた。すると吉田は君は知らんのか、今河野の家が燃えているんだよ」(笑)

 父河野洋平が官房長官の時代、従軍慰安婦の問題を事実を曲げて書いた「河野談話」が今も日本に禍根を残していること、河野が自民党総裁の時小選挙区比例代表並立制を細川護熙、小沢一郎と夜中に決めたことなども書かれている。小選挙区制には当時野中広務と私が大反対したものである。

 9月21日、河野太郎ワクチン担当相は衆議院当選3回以下の議員の会で「党の部会でギャーギャー言っているよりも副大臣、政務官チームを半ば非公式に作ったらどうか」と発言をした。これでは政府に入った者以外は、政策審議に加わる足場や官僚との交流の場を失ってしまう。

 自民党にはそれぞれの分野ごとに部会が開かれ政策を協議し、まとまったものが政策審議会(政審)にかけられ、ここを通ると総務会に提出される。総務会で満場一致で決まったものが法案等になって国会に出される仕組みになっている。部会をやめろとの発言は国会議員の存在意義の否定で、これはとんでもない暴論である。

 前回のブログでも書いたが、河野が政審の理事の時、部会長に失礼な態度でヒステリックに自分の意見をぶちまくっていたが、あの癖が今も全く改善していないのには驚くしかない。

 党内で河野発言に轟々たる非難が高まったら、24日、「不適切で取り消したい」と発言を撤回した。

 脱原発、女系天皇容認などを主張していたが、総裁選挙で不評になるとこれらも撤回し定見の無さを露呈している。

 他の候補のことも書かれているが、今回は河野までを紹介、後はとにかく「読みで」もあるから、「Hanada」をご高覧あれ。

 ちなみに総裁選挙は私の誕生日の29日、その次の30日に緊急事態宣言解除、10月からは外出自由、飲食店で酒が飲めるか、閉塞感から脱出するだけでも楽しみである。 



第902回「自民党総裁選」

 深谷隆司の言いたい放題第902回

 「自民党総裁選」

 週刊ポストから「有力OBに聞く、総裁に誰を選びますか、その理由は」という取材があった。

 私は明確に「岸田文雄氏がふさわしいと思う」と答えた。理由は「総裁は総理大臣になる人だから、心から信頼できる人物でなければならない。岸田氏は誠実で安心できる人物、何よりも大局を見る目がある」と答えた。

 彼が外務大臣の時、私の自宅に来ることが決まっていたが、丁度その時間にトランプ氏が大統領に決定し、テレビを見ると彼は大忙しといった状態であった。「これでは来られないな、変更を言ってくるだろう」と家族で話していたら、なんと約束の時間にたがわず来宅した。真面目な人なのだ。

 一部マスコミで「決められない政治家」などと書かれたこともあったが、落ち着いて大局を読む、という性格が分かっていないからだと私は思っている。

 今回の立候補にあたって、彼は「党役員任期1年、3回まで」としたが、これは明らかに「二階幹事長おろし」で、事実そのような結果になった。陰で文句は言っても誰も鈴をつけられなかったのに、これはまさに「決められる政治家」ということではないか。

 なんとなく河野太郎氏が一番人気と言われているが、「世代交代」をもっともだと考える人が多いということであろう。

 私のような年配者になると、物事に慎重で、あまり人生経験のない人では心細いという思いが強い。

 私が現職の時代、河野氏に対するイメージはあまりよくなかった。彼は政審(政策審議会)の理事であった頃、説明に来る部会長の話にじっくり耳を傾けず、度々声を荒げて、自己主張をぶちまくっていた。私が財政部会長で説明に行ったときはさすがに一言も発しなかった。うるさ型としては一枚も二枚も上であることを承知していたからだともっぱらの評判であった。

 あれから年月が経って経験も積んで立派になったと思うが、週刊文春によると相変わらず官僚の説明を聞かず、唯我独尊とのことであった。

 小泉進次郎氏が河野氏支持に回ったが、私はこの人をあまり評価していない。菅首相のもとに4日間通い続けて辞任を迫ったという。出馬しないとなると、記者団の前で「こんなに仕事をした政権に正当な評価を受けていない」と嘆いて見せて涙まで流した。そんなに思っているなら黙って最後まで支えて運命を共にするのが側近ではないか。

 第一、電話で済むのに何回も官邸の首相のもとに、これ見よがしに通うのは、明らかにマスコミ向け、話題づくりなのだ。最近の人気は衰えているが若いからいいというものではないのだ。

 石破茂氏がやはり河野氏支持に回った。本人はギリギリまで出処進退を明らかにしなかったが、自派「水月会」17人では推薦人が足りないし、派閥で絶対出るべきと言った議員は2人だけで、これでは出馬しようがない。

 私がテロ特委員長(国際テロリズムの防止及び我が国の協力支援活動並びにイラク人道復興支援活動等に関する特別委員会委員長)の時、彼は防衛大臣で、なかなか立派だと感じたこともあったが、これで総裁への目は無くなった。

 高市早苗氏は議員になる前から奈良で出会ってよく知っている。

 私が連載を書いている月刊誌「Hanada」の10月号のインタビューで「わが政権構想」を語っているのを読んだが、立派な内容で、大きく成長したと感心した。

 女性の総裁候補は小池百合子氏以来13年ぶりだから、これはひょっとして人気が出るのではないかと思ったが、その後のアンケートを見るとさっぱり支持が上がらない。

 昔の総裁選挙ではお金の噂が多かった。何人もの候補者からお金をもらって、2人からだと「ニッカ」、3人からだと「サントリー」、もっと多くからだと「オールドパー」などと言われたと聞いている。

 さすがに現代はそんなことは全く無くなり、むしろ今回の場合、派閥を超えて各個人の考えで人物を選ぶという傾向にある。

 はっきり言って誰が総裁になるにせよ、1人では政治を進めることは出来ないから、どのような人材を側近に据えるか、「総裁チーム」にこそ私は大いに関心を持っている。

 総裁選は17日告示、投開票はなんと私の誕生日の29日だ。堂々の論戦で政策を国民に向けて語ってもらいたいものである。

 蛇足を加えるならば野党の体たらくぶりだ。立憲民主党の枝野代表は政権交代を言うが、あの民主党政権時代、惨憺たる悪夢であった。誰もがその事を覚えているが、枝野氏も同様で、ただ言って見せるだけのお粗末ぶりである。

 9月8日には4野党で共通政策を締結したが、社民は福島瑞穂参議院議員1名、れいわ新選組は山本太郎前参議院議員と2名の参議院議員、これで4野党政策協定とは、悪い冗談のようで、ただ笑わせるだけである。

 逆に言えば、だからこそ自民党はしっかりしなくてはならないのだ。



第901回「菅首相退陣へ」

 深谷隆司の言いたい放題第901回

 「菅首相退陣へ」

 9月3日、菅首相は自身の任期満了に伴う総裁選に不出馬を表明し、わずか就任1年での退陣となった。

 政治の世界では一寸先は闇と言われてきたが、本当にそうだと改めて思う。

 私が2度目の大臣として自治大臣兼国家公安委員長に就任した時代もそうだった。

 平成8年1月3日、村山富市首相と恒例の閣僚伊勢神宮参拝を行い、翌日初閣議、さあ今年も頑張ろうと首相を中心にして乾杯し、大臣たちはそれぞれの役所に新年挨拶に出かけた。

 私はまず警察庁で職員に訓示、記者会見を終えると次は自治省へ、ところが大勢の記者が待っていて、「今、総理が辞意を表明しました」と言うではないか。「そんなバカな」と思ったが、村山内閣の幕切れも、全く予期しない突然のことであった。

 マスコミ報道によれば菅首相は自分の続投の為に様々な手を打ったという。

 岸田氏の総裁選立候補が決まるや、その中で党役員任期を最長3年としたことに対抗し、いち早く二階幹事長の交代を打ち出し、あわせて党人事、閣僚交代を示唆した。更に総選挙時期も前倒しにして総裁選前に行うと考えているとの憶測もひろがった。

 党内は若手を中心に騒然となり、菅の顔では戦えないと一気に菅下ろしの動きが激しくなったのである。

 二階幹事長を交代させることによって、肝心の後ろ盾がいなくなる。二階派が菅氏を支えなくなるのは当然で、派閥を持たない菅氏にとっては決定的にマイナス、これでは総裁選に出ても勝ち目はないと判断したのではないか。

 もし、報道のように本当に延命の為に小細工を考えていたとしたら、まさに「策士策に溺れた」ということになる。

 菅首相は感染症対策で失敗し、内閣支持率も下がり続けたとマスコミを中心に多くの人が考えているようだが、私はやるべきことはやって来たと思っている。

 ワクチン接種も接種回数は世界で5位、コロナ致死率はG20中最も低いのだ。いいことは誰も褒めてくれない。それが世論と言うものである。

 これからのリーダーは、人流抑制のための私権制限や医師や看護師らにコロナ業務への従事を命ずる権限を知事に付与する法改正など、大胆な手を打つことが必要だ。しかし、これらのことは誰がやっても批判され続けていくものである。

 誰が何と言おうが正しいこと、為すべきことを断固進める不退転の覚悟こそこれからのリーダーに求められることではないか。

 立憲民主党の枝野代表は「こうした状況を作った自民党に政権を運営する資格はない」と、政権交代を言うが、民主党政権時代の惨憺たる悪夢を再び願う国民はいない。むしろ「闘いやすい菅」が辞任して一番困っているのが立民で、支持率も一向に上がらない。

 総裁選で各候補が国家観、愛国心、政策を正々堂々と論じ、国民の支持を取り戻してほしいと強く願っている。