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言いたい放題 第81号 「無責任代表選」

 連日、民主党代表選をめぐる菅、小沢両氏の全面対決のニュースで騒がしい。
 それでなくても、日本列島猛暑の夏、暑苦しいことこの上ない。
 この大混乱ぶりに国民は熱中症で倒れそうだ。

 いくら考えても不思議で、あきれるのは、鳩山前首相はじめ、この混乱に登場する面々の心境の変化ぶりだ。
 鳩山氏の一貫しない政策上の無能ぶりと、何よりも数々の不祥事、政治とカネの問題から、自ら辞任したのはわずか3ヶ月前の6月2日のことである。
 それも、いかにもカッコ良く、共に数々の疑惑のある小沢氏を道連れにして、「クリーンな民主党に戻そう」と辞めたのだ。
 その上、一時は国会議員まで辞めると言ったのだ。引き際だけは、いさぎよいなと感心したのだが、その舌の根も乾かぬ内、変心である。開いた口がふさがらないとはこのことだ。
 鳩山氏は数日前まで菅氏支持を表明していたのに、あっという間に180度の変わりようだ。その言い訳が、「自分の一存で小沢先生に民主党に入ってもらったのだから、(代表選で)小沢氏を応援するのが大義だ。」である。
 更に「自分を総理にまでしてくれたのは小沢氏だから」と、その恩返しといわんばかりである。そんなことはあくまで私的なことなのだよ!
 今更、小沢さんへの熱い思いを語るなら、一体、なんであの時、道連れ辞任をしたのか、まずその説明をして欲しいものだ。筋の通らぬ言い訳だけではないか。
 今、「反菅」を言う民主党議員達にも聞いてみたい。国会で、民主党議員全員の支持で菅総理大臣を誕生させたのではなかったのか。
 いわば、国民に対して、菅総理こそ最適任者だと表明したばかりなのに、もう「駄目です」とはどういうことなのか。
 別に、菅総理が素晴らしいとは思っていない、むしろ、最初からダメだよと言っていた私だ。しかし、それにしても菅政治はまだ始まったばかりではないか。
 参議院で敗北したからといって、さあ辞めろでは、あまりに矛盾、無責任、国民を馬鹿にするのもいいかげんにしろと腹が立つ。

 軽井沢の広大な鳩山氏の別荘で、小沢氏を招いて、最後はビール片手に「気合いだ、気合いだ」と馬鹿騒ぎをした議員達。かの朝日新聞は(8月27日)「景気低迷と猛暑にあえぐ多くの国民には、能天気と映ったに違いない。」「菅、小沢両氏の調停役を気取っている鳩山氏には、失敗の反省はないのだろうか。「気合いだ」の議員ともども頭を冷やせと言いたい」と書いている。全くもって正論だ。

 民主党代表に選ばれれば、イコール日本国総理大臣となる。
 憲法75条の規定で、「国務大臣はその任期中、内閣総理大臣の同意がなければ訴追されない」となっている。
 大変な特権だ。勿論、むやみに行政を混乱させてはならないという配慮で、別に大臣を守る為の規定ではない。
 いうまでもなく、小沢氏は数々のカネにまつわる疑惑を抱えている。
 小沢氏自身の資金管理団体「陸山会」の土地取引事件では、検察審査会の2度目の議決が迫っている。
 すでに1度目は、起訴相当となっているから、今度再び同様の結論になれば、強制的に起訴される。
 小沢氏はここで出馬しなければ、党内の小沢支持は一気に薄れて、政治生命を失うという危機感を持っているといわれている。しかし、本当に恐れているのは、起訴されることではないのか。
 今回の突然の出馬が、なんとか起訴から逃れたいという魂胆からなら、断じて許されないことだ。
 辞めれば刑事被告人になり得る人が、もしかしたら総理大臣になるかもなど、決してあってはならないことなのである。

 目下、各種世論調査では、小沢氏は出るべきではないという声が80%近くと圧倒的に高いようだ。
 いたって当然の国民の声だが、少なくとも民主党内の代表選にかける動きは、こうした国民の声とはあまりにもかけ離れていないか。
 こんな政治じゃ日本はダメになる・・・、今も、つくづくそう思っている。

言いたい放題 第82号 「地団駄を踏む思い」

 民主党代表選をめぐって、菅・小沢両氏の舌戦が一層激化している。
 党内でどんな激しい議論をしても、それは一向に構わないのだが、テレビ、新聞等、マスコミの前で、いわば外に向かって吠える姿は見苦しい。
 少なくとも二人は、ついこの間、良くも悪くも政権交代を共に実現させた同志ではなかったのか。

 鳩山前首相も含めて何よりも彼らに共通するのは、発言の中味が、行き当たりばったりで、一貫しないという点だ。
 まるで日替わりランチのように、自分の都合の良いようにくるくると発言を変える。国民の為に何を目指すのか、そんな政策論はそっちのけだ。
 本来、政治家にとって、いや「人」にとって大事なことは、己の発言に責任を持つということだ。
 一度、口に出したことは、必ず守らねばならない。当然の道理だ。

 勿論、政治は国家と国民という生きた相手を扱うのだから、どう安定的に守るかが最大のテーマで、世界の環境や状況が大きく変わった時は、臨機応変の対応も必要になる。
 しかし、その時は、結果的になぜ変えざるを得ないのか、国民に納得出来るよう真摯に説明しなければならない。
 少なくとも、方向転換が、自分達の誤りや見通しの甘さからのものなら、まずは率直に非を認めて国民に詫びることが先決なのだ。
 いやしくも、自分の御都合主義から、発言をくるくる変え、いささかも恥じない姿など許されることではない。君子豹変というが、詭弁を弄して平気で誤魔化すことではない。しかも、およそ君子とは言えない軽輩、小人においておやだ。

 それにしてもその変節ぶりに一番驚かされるのが鳩山氏だ。彼は政権担当8ヶ月にして、何も出来ない何もやらない、その上カネまみれの実像が国民の前に明らかになって、石もて追われるように退陣のやむなきに至ったのだ。
 その上、ご本人は一度は政界から引退するとまで、カッコ良く発言していたのである。
 ところが、今回、鳩山氏は、挙党態勢をつくる為にと、自ら仲介役になって、菅首相と2度も会見した。密室で何を語ったのかわからないが、「トロイカ方式」で行くことを一度は合意させたと報道機関はスッパ抜いている。
 トロイカ方式というのだから、言うまでもなく、鳩山、小沢、菅の三人で再び政権を背負うということなのだ。
 何のことはない、彼の言う「挙党態勢」とは、「もう一度、自分を表舞台に立たせて」ということだったのだ。あきれかえって物が言えないとはこのことだ。
 しかも、道連れにして幹事長を辞めさせた相手は、他ならぬ小沢氏なのだ。宇宙人といわれているが、この人は一体何を考えているのか、その頭の中の構造を覗いてみたいものだ。
 代表選で明らかに劣勢の菅氏は、トロイカ方式の申し出を一時は応じた。現に記者会見で本人が語っている。しかしその後、小沢側から役職等の要求が次々と出されて、さすがに首を縦に振ることが出来なかったようだ。
 結局、不承不承、二人の対決という今回の構図となってしまったのである。

 9月2日に開かれた日本記者クラブでの菅・小沢両氏の公開討論会の中味を聞いた。
 この人達には、この国をどうするのだなどという高邁な夢も理想も無いことに私は改めて愕然とした。
 菅氏はまず、「カネと数を重視するのは古い政治だ。クリーンな政治を実現する」と大見得を切ったが、明らかに小沢氏に対する口撃(こうげき)だ。まるで野党の党首を思わせるような敵意むき出しの発言だった。
 確かに、彼の言うことは正論だ。しかし、問題は、そんな人と一緒にあの鳩山政権下で手を携えてきたという現実だ。そんなことにはお構い無し、少しの責任も自覚も持っていないのだ。
 一方の小沢氏は、「政治とカネの問題から逃げない」と強調した。しかし、前の国会で、証人喚問も含めた野党の要求に対して、一切の説明もせずに、ひたすら逃げ回ったのは誰だったのだ。
 更に、「一年余の検察の強制捜査で実質的な不正、犯罪事実はなかった」と開き直るのだが、まぎれもなく秘書は有罪だったし、小沢氏は限りなく黒に近い「灰色」というのが結論であった。
 驚いたことに、検察審査会について、「一般の素人が、良いとか悪いとかいう検察審査会の仕組みが、果たしていいのかという議論は出て来る」と、検察審査会への圧力とも思えるような牽制球まで投げている。
 普通の市民の生活から出る感覚を、司法に生かすという趣旨から、検察審査会は生まれた。
 法改正がなされて、ようやく出発したばかりだというのに、いきなり見直しを言うなど、自分勝手な言い分で不見識極まりない。
 つい1年前、自分への捜査について「検察庁の国民への不当な弾圧だ」などと的外れな発言をしていたことを思い出す。

 政策面では、小沢氏は「国民と約束したマニフェストは必ず実現させなければならない」と何度も主張していた。これはこの3ヶ月、消費税問題など現実路線へと方向転換を図る菅氏への批判だ。
 衆議院選挙前、野党であった民主党は、選挙に勝たんが為に無責任なバラマキ政策を次々と打ち出した。
 しかし、現実に政権をとってみると、財政面でとても不可能だとはっきりわかって、彼らのマニフェストそのものを変え始めた。すでに破綻しているのだ。
 それなのに、マニフェストを頑なに守れといい、更に「所得税も住民税も大幅に減税する」と、なんとも気前のよい新たな提言まで行った。
 一体どこから財源を捻出しようというのだろうか。
 「行政のムダを省いて」と相変わらず臆面もなく語っているが、もうそんなことは100万遍も聞かされて飽きがきている。ただの空論だということを誰もが知っているのだ。
 行政のムダを省けば何十兆円でも出て来ると豪語してきたのは小沢氏だ。しかし、あの事業仕分け作業でも、出てきたのはわずか1兆円足らずではないか。行政の無駄をなくすことは必要だが、だからといって、そんなお金は簡単には出てこない。散々実験済みのことなのだ。
 苦しまぎれに、今度は、今,
概算要求が出されている菅政権下の予算案を、総組み替えすればなんとか財源は工面できるとまで言い出した。
 その場あたりの軽々しい議論でしかない。

 最も酷いのは沖縄基地問題だ。
 小沢氏は、「沖縄も米国も納得出来る案は、知恵を出せば可能だ」と発言した。「それなら具体的に教えて欲しい」といわれると、「三人集れば文殊の知恵ということがある。実は今、自分が持っているというわけではない」と、まるで子供だましの答えしか返ってこなかった。
 円高問題についても、極めて深刻な状態なのに、何ら誠意ある提言は皆無であった。
 その他の政策についても、なるほど思われるものは、ほとんどといっていい程無い。
 はっきりいって、菅、小沢両氏、政権担当者としての能力も資質も見当たらないというのが実感だった。
 鳩山政権時代、彼らは口先ばかりで何もしない、何も出来なかった。もはや彼らの賞味期限は切れている。変わり映えのしない古い政治家なのだ。そしてそのことはすでに天下に晒されていることなのである。
 せめて、彼らに変わる新しい人材は民主党の中にいないのか。所属議員を見渡すと、新人議員が圧倒的に多く、まるで素人集団だ。幹部といわれる人達もほとんど実力は無く、なによりも御身大切、保身第一と考えて右顧左眄(うこさべん)するばかり、残念ながら頼りになる人は見当たらない。

 こんな時こそ、自民党は堂々の論陣を張って、国民にこの国をどうするという政策を発表し、その存在感を天下に示さなければならない。
 長く政権を担当し、この国を今日まで創り上げてきたのは紛れもなく自民党である。
 その蓄積した政治上のノウハウを存分に発揮して、明日の日本のあり方を力強く示せば、必ず国民の期待と信頼は回復する。
 ところが、この時期、ニュースになった自民党の話題といえば、森元首相が、町村派に退会届を叩き付けたといったことぐらいだ。
 さきの参議院議員会長選挙で、同派の対応が遅れ、所属する谷川秀喜氏が落選した。そのことへの不満が爆発したからというのだ。
 谷川支援で協力してくれた額賀派や古賀派に顔向けが出来ないというのが、森元首相の言い分なのだが、なんともやり切れない程、ちっぽけな話ではないか。
 今、こんな派閥次元のことで揉めている時ではない。そんなことを続けていれば、それこそ国民に顔向け出来ないではないか。

 いずれにしても、与野党を問わず、最近の政治及び政治家の動きを見ると、悲しいやら情けないやらだ。
 私が人生をかけて歩んできた30年に及ぶ国会のありようは、少なくとも今の状況と比べて全く異なっていたように思えてならない。
 時には国民から批判を受けるようなこともあったが、少なくとも、国会議員達は、この国の今と将来を考え、燃えるような思いを持ち続けていた。国会での与野党の対決はギラギラした真剣勝負だった。
 今では、死語になりつつあるが、政治家を支えていたのはまぎれもなく愛国心だった。
 代議士の「士」は、サムライという意味で、武士道を忘れてはならぬと、今は亡き先輩達からよく教えられた。
 もののふ(武士)は、強いだけではなく、優しくなければならない。惻隠(あわれみ)の情を忘れず、恥を知ることが大切だとたたき込まれたものだった。

 近頃、時々、せめてあと10年若かったらなぁという思いにかられることがある。
 10年若ければ、あの国会という檜舞台で、国家の為に存分に活躍出来るのに・・・と。
 しかし、いくらそんなことを考えても詮無いことだ。
 やっぱり、今、自分に出来ることを精一杯やるしかない。
 あらゆる機会に、血を吐く思いで、正論を訴え続けていく、そして自分の情熱の全てを、次の時代を背負う若い人々に伝え育てていくことだ。

 あぁ、それにしてもこう続く不快な議論は何だ。毎日地団駄を踏む思いだ。
 そのせいか、近頃、私の腰痛も再発している。最もその原因はこの猛暑と冷房の故か。
 いや、もしかしたら孫達に媚びて、過日プールで競い合い、無理して頑張りすぎたからなのかも知れぬ。
 それにしても、今夏は本当に酷暑だ。

言いたい放題 第83号 「茶番劇など見たくもないが・・・」

 民主党代表選挙のドタバタが始まって、毎日同じように、菅、小沢両氏の顔と発言がマスコミに映っている。うっとうしくて、一層暑さを感じる。
 チャンネルを変えればいいのだが、女房から「きちんと全部聞かなければ」と申し渡されている。やむなく、不承不承見ているのだが、終る度に、あぁ何の意味もなかったなと、空しい限りだ。
 菅氏は現在首相だが、その為か、妙に気取って無理してゆとり(余裕)のある風を装っている。
 小沢氏といえば、あの傲岸不遜な姿をひた隠して、必要以上に破顔して愛嬌を振り回している。どちらの顔も気色悪い。

 そんな中、初の世論調査を9月4日、5日と朝日新聞が行った。
 発表された首相にふさわしい人として、菅氏への支持率は65%で、小沢氏17%、予想以上の大差になっている。
 今年6月に、鳩山、小沢両氏は、「政治とカネ」の問題で、そろって辞任したばかりなのだが、特に小沢氏の場合、自らの政治資金問題は決着していない。10月といわれる2度目の検察審査会の結論で、もし前回と同じ起訴相当となれば、被告人の立場になる。
 むしろその可能性が高いといわれているのだが、そんな状況の人が、総理大臣に直接結びつく代表選に出馬するとは、元々あきれかえる話であった。やっぱり世論調査でも、「納得出来ぬ」と答えた人が75%と圧倒的だった。
 小沢氏は、「衆院選であげたマニフェストは、絶対守るべきだ」と、特に強調していて、この点が菅氏とまさに正反対の姿勢になっている。
 確かに、選挙で国民と約束した公約は極めて重要で、これは守って当然のことだ。しかし、民主党のマニフェストの場合、元々内容が、選挙ウケを狙った余りに粗雑なもので、実際に政権担当になれば、とても耐えられる代物ではなかった。
 菅首相の場合、状況が変わったからと、当たり前のように次々とマニフェストを修正している。これは正しいことではない。その前に、いいかげんな公約をしたことを恥じ、国民の前に謝罪の態度を示すのが、本当は常識なのだ。
 もしかしたら、小沢氏の「公約を守る」という主張の方が尤もらしくて、案外一般ウケするのではないかと懸念を抱いていたが、これも小沢氏の主張を支持する人はわずか24%で、極めて常識的な答えであった。
 小沢氏は、「財源がないから増税だというのは、国民にウソをついたことになる」、今、菅内閣で進めている概算要求も「やり直しを視野に入れる」等、政治の進め方でも菅氏を批判したが、この姿勢にも、国民は56%対23%と全く否定的であった。

 普天間基地問題については、小沢氏の考えを30%が支持しているが、菅氏のそれは37%であった。
 唯一、小沢氏がリードしているのは、実行力だ。しかし、他の政策面の分野で全て菅支持だ。実行力を評価しているといっても、彼なら強引に事を進めるだろうというだけのことで、だから小沢氏に政権を委ねたいということではなかった。

 代表選で投票出来る人は、国会議員412名、地方議員2382人、それに34万2493人のサポーターといわれる人だ。
 議員では、目下圧倒的多数といわれているのが小沢氏だが、これからの世論の動向によってはどう変わるか票の行方はわからない。
 みんな自分の選挙を意識して、もっぱら世論の動向を戦々恐々として注目しているからだ。

 私が一番心配しているのは、いわゆるサポーターの動きだ。当然、世論の動きと平行する筈なのだが、このサポーターには格別の制限がないだけに、かなり多数の在住外国人が参加しているといわれている。
 これらの人達は、小沢氏のいう「在住外国人にも地方選挙権を与える」という主張を固く信じているだけに、間違いなく小沢氏を支持する。
 現に、先の選挙で民団はじめ、多くの在住外国人が集団で民主党を支持、応援していた。
 重ねて言うまでもないが、民主党代表はイコール日本国総理大臣だ。現在、憲法において参政権のない人達に、一国の首相の決定が少しでも左右されるとしたら、これは国家の主権に関わる大変なことである。
 充二分に注目していかなければならない。

 菅氏か小沢氏か、私達の立場からいえば、どちらにしてもこの国を支え救うことは出来ないと思っている。だから、この二人の舌戦も茶番にしか思えない。しかし、現実にはどちらかが総理大臣になることは間違いないことだ。「なんともやりきれない」ということ以外に、いう言葉が見当たらないというのが、本音なのである。

言いたい放題 第84号 「判決で悲喜交々(こもごも)」

 大阪地裁は、厚生労働省の局長だった村木厚子被告に、9月10日無罪判決を言い渡した。
 私はかつて労働政務次官を務めたことがあった。今は厚生省と合併して厚労省となったが、当省は懐かしい古巣のようなものだ。
 それだけに、村木女史の逮捕以来、その成行きに格別の関心と同情を持って注目していた。
 昨年6月逮捕されてから今日に至るまで、彼女は一貫して無罪を主張し続け、大阪地検のあらゆる取り調べに対して否認してきた。
 今回の無罪判決で、454日間にわたる冤罪による屈辱の日々は一応終るはずだが、まだ大阪地検による控訴もあり得るので気はゆるめない。
 「これ以上私の時間を奪わないで欲しい」という記者会見での発言に、彼女の全ての思いが込められているように感じた。

 障害者団体向けに、郵便割引制度があるが、これを悪用して実態のない団体が、企業広告を格安で大量に発送させた。
 この制度の適用を受ける為、民主党の長老石井一参議院議員による口添えが行われ、当時企画課長だった村木女史が不正発行を指示したということだた。
 検察側は虚偽有印公文書作成、同行使容疑で村木女史を含む4人を逮捕した。
 余談になるが、思えばこの石井議員もかつて労働政務次官で、今も厚労省に強い影響力を持っている。
 検察側は、国会議員が関与していることから色めき立って、彼らの描いた筋書に沿って供述調書を作り上げようとした。
 ところが、今回の裁判では、検察側が証拠採用を求めた供述調書43通のうち34通が、採用されなかった。
 つまり検察の追求がかなり強引で厳しく、作為的であったことから、彼らがつくった供述調書はとうてい信用出来ないものということだったのである。
 現に、いざ裁判になると、次々と証言が覆され、検察の考えた構図の大半が否定されてしまったのである。
 明らかに検察側の行き過ぎ、大ミスだ。何よりも大事な客観的な証拠を踏まえずに立件した訳で、このことは今後厳しく問われなければならない。
 私の早大先輩の元検事弁護士曰く、「検察は証拠が無くても容疑だけで逮捕出来る特権がある」。もし、そんなことがまかり通るとすれば、それは大変なことである。

 丁度、村木無罪判決前日の9日、鈴木宗男衆議院議員が最高裁で上告棄却で、懲役2年の実刑、追徴金1100万円の判決が確定した。
 彼の場合は、受託収賄罪や斡旋収賄など4つの罪に問われていた。
 彼が北海道開発庁長官時代(1997〜98)に、工事受注を島田建設(網走市)から頼まれ600万円の賄賂を受け取り、又、製材会社やまりん(帯広市)側から、林野庁への斡旋を頼まれ500万円を受け取った等というものだ。
 本人は、「賄賂をもらったという認識はありません」「いかなる環境でも闘う」と記者会見で語った。しかし、こちらは具体的に現金が動いたことは確かだし、大臣として職務権限もあったことから、極めて当然の結果のように思える。
 彼は秘書から政治家への道を歩み、東京地裁で有罪判決が下っても、「新党大地」を結成し、活動するなど、まさに浮沈の人生だった。
 私も直接知っていただけに、これから収監されるかと思うと本当に気の毒とは思うが、最高裁の決定だからやむを得ないことだと思っている。

 閑話3題・・・。
 現職の国会議員で実刑確定により失職となったのは、これで戦後4人目だ。
 ゼネコン汚職を問われた中村喜四郎元建設大臣もそうだったが、今回の鈴木氏も何故か選挙はめっぽう強い。
 なにしろ有罪判決が出ても当選するのだからビックリで、おおよそ東京など、我々の世界では考えられないことだ。
 私など、当たり前のこととはいえ、唯の一度も疑惑はなかったし、まともに働き続けて、この世界ではしっかり成果をあげたといわれているのに、何度も苦渋をなめてきた。振り返って楽な選挙は一度もなかった。
 今更言っても仕方がないが、政治家の人生はかなりの部分、選挙区の状況によって左右されるものだ。

 鈴木宗男氏は、民主党代表選挙で、側面から小沢一郎氏を支持していた。
 昨年の西松建設事件以来、鈴木氏は検察とやりあった経験者として小沢氏に助言を続けていた。最近は小沢氏支援を決めていない議員に働きかけるなど、積極的な動きが目立っていた。
 だから、「最悪のタイミングだ」と小沢派幹部から困惑の声が聞こえる。
 鈴木氏本人も、8日の記者会見で「(この時期に判決が出たことに)意図的な政治判断があったのか、小沢さんの立場に立てば引っかかる」等と語っている。
 一般の人から見れば理屈にもならない発言だが・・・。

 一方の菅陣営は、「小沢氏の政治とカネの問題について、改めて国民に注意を喚起する上で有利になる」と考えているという。人色々、立場が異なると言い分も変わる。それぞれが、自分の都合の良いように解釈し、勝手に語っているが、鼻白む思いである。

 鈴木宗男氏は失職するから、当然繰り上げ当選者が誕生する。
 新党大地の比例名簿第2位は八代英太氏だった。当然、彼が晴れて衆議院議員に返り咲くと思っていたら、何があったのか知らないが、なんと彼はすでに離党届を出していて、名簿から外されていて資格がない。
 第3位の鈴木氏の秘書が繰り上げ当選する見通しだ。
 かつて参議院に席を置き、次に大田区から国会に出、後に自民党から離れて新党大地に映った八代氏73歳。ちょっと我慢して残っていれば、国会に復帰出来たのにと同情しきりだが、これも人生色々、運命色々といったところだろうか。

言いたい放題 第85号 「薄汚い話」

 9月9日の各新聞に載った「週刊文春」と「週刊新潮」の週刊誌の広告を見てびっくりしたのは私だけだろうか。
 なんと今、代表選挙真っ最中の小沢氏にまつわるスキャンダル、それも親分と子分のダブル不倫という薄汚いタイトルなのだ。
 まず週刊文春には「小沢一郎と青木愛、京都の密会映像」、「テレビが封印したスクープ入手!」とショッキングなタイトルだ。
 小沢氏は代表選出馬を決める半月前の8月18日、京都鴨川沿いの老舗割烹旅館「吉屋」で、仲間と宴を開いた。そして、彼らが引き上げた9時前、なんと座敷に現れた、黒いシャツにスーツ姿の女性が衆議院議員青木愛であった。反対側からテレビカメラが覗いていたのを御本人達は全く知らず、2人はベランダで楽し気に過し、次に現れた彼女は何故か浴衣姿であったと書かれている。この光景は余りに過激すぎて報道はお蔵入りになったという。
 青木氏は元歌手、風俗レポートまでこなす元レポーターで、小沢ガールズの筆頭だ。
 東京12区から出ていた公明党の大田昭宏代表の刺客となって昨年衆議院選挙で当選した。
 小沢氏の寵愛を一身に受け、この庇護の下、まず千葉から衆議院に出て当選、次に落選、更に参議院比例で当選、そして鶴の一声で東京12区に鞍替え衆議院当選と華々しい歩みだ。かねてから小沢氏との深い関わりが噂されていた。

 週刊新潮は、「青木愛が偽名の男と不倫のお泊まり」とこれもビックリのタイトルだ。
 てっきり小沢氏との話かと思ったら、お相手はなんと小沢氏の子分の正規の政策秘書であったのだ。
 この青木代議士、親分の小沢氏と、子分の妻子ある政策秘書と二股かけての不倫交際をしていたのだ。
 2誌共、写真付だが、週刊新潮の方がグラビア写真で圧倒的な迫力だ。
 しかも、政策秘書とデーとした8月31日といえば、民主党本部で小沢氏が出馬表明を行った日だ。青木氏はこの会合の後、直ちに自分のカローラフィールダーに乗り込み、高速道路を速度違反の140キロで爆走、水戸駅付近の政策秘書の待つホテルに駆け付けたのである。2人は仲良く外食、夜は勿論ホテルでお泊まりだ。
 しかも更に驚いたことに、翌朝8時40分過ぎ、前日と同じ服装のままホテルを出て、車を飛ばして東京に戻り、永田町第二議員会館で開かれた小沢氏代表選決起集会に出席したのだ。
 小沢氏の横で、彼女が感極まって涙を流す場面が、テレビで放映され話題になった。その裏で、この女性はこんなあきれた行動をしていたのだ。
 政策秘書とはといえば、親分のこの最も大切な日、彼女と別れた後、2日間にわたってパチンコ三昧で過しているのだ(写真有り)。一体どうなっているのか。

 なんとも薄汚い二重不倫の話で、私のこの清潔にして高級なホームページで書きたくもない。しかし、もしかしたら日本の総理大臣になろうかという人にまつわるスキャンダルだ。決して看過出来ないことなのだ。
 この記事が出た後、青木氏、政策秘書の三つ巴の不穏な争いが始まっているのではないか。事実を知った小沢氏は一体どんな対応をしているのだろうか。
 本来なら、男女の関わりだから、いちいちとやかく言う気にはならない。しかし、重ねて言うが、こんな人が総理大臣になろうとしている。女性は現職の国会議員ではないか。
 今、日本の経済が最悪で、国民は額に汗して頑張っているのに、政策秘書も含めて、皆税金を喰ってぬくぬくと自堕落に暮らしている。
 こんなことが許されるのか、3人とも国政の場で生きる資格は全く無い。
 民主党国会議員の中では、まだ小沢氏が圧倒的だという。小沢氏の集まりがあると、いつの間にか鳩山派の連中が押しかけて、相変わらずゴマすりで、「気合いだ!気合いだ!」と大声をあげる馬鹿騒ぎだ。
 今度のビックリ仰天のスキャンダルニュースに、小沢支持の面々は、どんな顔をしていいるのか、そして何を思っているのか。
 一人一人確かめたいくらいだ。

 一方の菅首相、相変わらず思いつき発言ばかり熱っぽく語っている。よく喋るが、あれは雄弁ではなく唯の多弁だ。反応が少ないと「皆さん如何でしょうか」と拍手を強いている。雄弁とは、語りの技術だけをいうのではない。
首相なら首相らしく、国の将来を正しく見据えて政策を充分に吟味し、理路整然と伝えることが必要なのだ。
 どっちもどっちだなと、思わずため息が出る。

 一方、自民党はどうか。谷垣禎一総裁は役員人事で、幹事長に石原伸晃氏、総務会長に小池百合子氏、政調会長は引き続いて石破茂氏と決めた。九月末の任期切れに伴う人事だが、一時、民主党の代表選の結果を待ってと暢気な話もあっただけに良かったと思う。
 いづれも50代、一応世代交代という姿になったし、知名度も高いから期待出来そうだ。なんとか自民党への支持回復につなげて欲しいものだ。
 要は、立派な政策を立てること、そして、野党として不退転の覚悟で臨むことだ。様々な課題に、なんとか自信を取り戻して、果敢に取り組んでもらいたいと、悶々と願う日々である。

言いたい放題86号 「やっぱり小沢・鳩山では駄目の裁定」

 朝から晩まで、民主党代表選挙ばかりの報道にイライラし、地団駄を踏んで腰痛になったと前のホームページでジョークを書いた。
 ところが、今度は腰だけではなくて左足が痛くなって腫れ上がり、なんと生まれて初めて痛風と診断された。尿酸値は5.1と全く正常なのに、そんなことがあるのかと驚いた。何かのタタリか?
 医者に言われて外出できず、おかげで、あまり気乗りしなかった民主党大会の代表選挙の全中継を見ることになった。
 各15分ずつ小沢、菅両氏の演説を聴いて、素直な感想を言えば、良いことずくめで空論ばかり。一言でいえば大学生の弁論大会程度だった。
 相変わらず全ての責任が官僚にありという大前提で、もっぱら官僚からの脱却、政治主導と二人とも主張するが、ならば何故この1年、何も出来なかったのか。話題になった元事務次官斉藤次郎氏の日本郵政社長への天下り人事など、官僚依存がかえって目立ったことなど頬被りなのだ。
 それは、景気回復や、財政問題でも同じで、彼らの言っていることは、もっともそうに聞こえるのだが、実際、何もやらない、何も出来なかったことばかりではないか。

 投票結果は721対491と菅氏の圧勝だ。
 特に党員サポーターは249対51と、ポイント数の計算にもよるが、全く競争にならないワンサイドゲームだった。いわばこれが一般の、いわば国民の世論に一番近いのではないか。
 つい3ヶ月前、政治とカネの問題や、政治無策で自ら退陣した鳩山氏と小沢氏。その舌の根も乾かぬうちに、平気の平左で、しゃしゃり出るあつかましさに、「馬鹿にするな」との当然の国民の声が広がったのだ。

 これで小沢氏では絶対駄目のレッテルが貼られたわけだが、その裁定は鳩山氏に対しても全く同じだということを知らねばならぬ。
 鳩山派の、やたらとテレビに映りたがり屋の議員が、代表選直後のインタビューで、党内融和が第一と盛んに言っていたが、「反菅派で行動したが、自分たちも大事にしてネ」との保身の訴えが本音なのだ。

 それにしても、党員サポーターと地方議員票であれほど大差になっているのに、肝心の議員は412対400という伯仲ぶりは一体何故なのか。
 前日まで、血で血を洗うような票取り合戦の醜い争いが露呈されていたが、その結果なのであろう。
 つまり選挙だけは妙に強いといわれる小沢氏の、まさに巻き返し戦術の結果ではないか。
 それにしても、世論と国会議員の思いとが、こんなに大きくかけ離れた結果を見ると、民主党と国民との乖離こそ大問題といわなければならない。
 今後、民主党の内部がどのように動いていくのか、まさか分裂とまでは行くまいが、表向きはともかく、党内対立の亀裂は激しくなる一方と思われる。
 円高株安で日本経済が大きく揺れ動いている時、これから新年度予算案をどうつくっていくのか、大きな課題だ。

 菅氏は弱者を救う為にどんなに働いてきたかを演説で語り、その例として丸山ワクチンを取り上げたのには驚いた。
 丸山ワクチンを実現する会の会長は、今は亡き稲葉修先生、その片腕として働き、跡を継いだのは不肖私だ。確かに菅氏もメンバーに居たのは居たが・・・。
 演説は達者だが、相変わらず口先だけの菅首相と言われないよう、ともかくしっかりやってくれといったところである。

言いたい放題 第87号 「新内閣の顔ぶれ」

 正式に菅改造内閣が誕生した。
 先の代表選で国会議員支持の数は互角だっただけに、小沢色をどうするのか注目していたが、顔ぶれを見て一応、脱小沢の組閣であった。もっとも、小沢グループは新人、若手が多く、大臣適齢期の人が少ないという事情もあるのだが・・・。
 小沢氏は、その後の議員総会に、早速、姿を現わさなかったが、相変わらず都合が悪いとすぐ雲隠れする。一体、何を考えているのか、周囲は疑心暗鬼になってやきもきするが、これは彼の常套手段だ。
 このところ検察の事情聴取に何回か応じているようだが、いずれにしても、例の検察審査会の最終結論が出るまで、何の動きもとれる筈がない。
 仮に、これが起訴相当とならなければ、無罪放免、どんな展開になるかわからない。
 とりあえず、今回の内閣には格別文句を言わずに、来春の予算成立時期あたりに狙いをつけて、対菅の第2ラウンドを起すつもりかも知れない。

 今回の組閣の特徴は第1に、本来、とっくにクビを切らなければならないお粗末大臣を、この際、さり気なく交代させたことだ。例えば女性スキャンダルや拉致問題でミソをつけた中井洽国家公安委員長や、キャミソール事件の荒井聰国家戦略・経済財政政策担当大臣、死刑問題の千葉景子法務大臣などである。叩かれないうちにこれは上手な処理方法かも知れない。
 第2の特徴は、先の代表選挙で支持してくれたグループからの起用で、論功行賞の色合いが濃いという点だ。
 党内で異論の多い、まだ3期生の馬淵澄夫国交相などその一例だ。
 旧民社党グループでは、代表選終盤になって首相再選を打ち出したが、ここからは柳田稔氏の法相等2人が就任している。

 小沢氏の推薦人だった鳩山グループの海江田万里氏を、経済財政担当相に起用したことで、菅首相は、しきりに小沢系ゼロではないと言っているが、これは海江田氏の世渡り上手の勝利ではないか。
 海江田氏は、東京1区選挙区で、いわば私のお隣りだけに、よく知っている。その上、平成8年、私が衆議院予算委員長時代、団長になって海外視察を行ったが、その時のメンバーの一人であった。
 一緒に出掛けた伊藤公介前議員と、最も意気があって、まるで2人でかけあい漫才風、終始皆は腹を抱えて笑い転げたものだった。
 彼はかつて経済評論家としてよくテレビに出演していたが、いわゆる経済専門家の一人である。民主党は経済にうといといわれているだけに、重用されたのであろう。
 ちなみに、今、民主党の長老格になっている石井一参議院議員もその時の同行者の一人だった。
 彼の背広といえば、アルマーニの服専門だ。今もそうだが、イタリアのマフィアの親分タイプだから、それがよく似合っていた。
 ゴルフに熱中していて、あまり会議には出席せず、移動中のバスにアルマーニの服だけが掛けてあって、よくみんなで笑いの種にしたものだ。憎めない人ではあった。

 今回の大臣就任で、珍しいのが、片山善博総務相の民間人登用だ。
 彼は、昨年、民主党の政策作りに参加した人だ。しかし、その後はもっぱらテレビにもよく出ていて、菅氏提唱の地域主権三法案などに批判的であった。
 とくに、全国知事会等、地方6団体代表と話し合う「協議の場」の法制化について大反対であった。参議院総務委員会に参考人として出席した時、「なんで天下り団体を、政府の協議相手として法律に位置づけるのか」と言っていた。
 ところが記者会見で、早速、あっさりとこれを認める方針に豹変した。
 かつて、平成7年、私は自治大臣として地方自治権拡大に努力してきた。率直にいって、受け入れ側の能力の問題も含めて、本当に難しい仕事であった。
 片山氏は鳥取県知事の経験者だから適任だという期待もあるようだ。しかし、一番小さな県の首長経験くらいで、全国にわたる公平な自治を確立することなどなかなかできることではない。
 その上、総務大臣には、民主党のいう国家公務員の総人件費2割削減問題や、この代表選で菅首相が訴えた、人事院勧告を超える給与削減など、相当に困難な問題が控えている。当然、給与削減といえば、労働組合は猛反発する。更に、又、通常国会で廃案となった郵政改革法案をどうするのか、これも大変だ。ついこの間まで彼は、「国民新党に無理矢理引きずられている」と大批判していた。一体どうするつもりかと思っていたら、なんと、「やり遂げます」との姿勢になっていた。
 早くも従来の持論をくるくる変えているではないか。これこそまさに菅流なのか。変心ぶりは首相には気に入られるかも知れないが、国民にとっては大いに迷惑、心配の種である。

 ともかくも、菅改造内閣は出発した。生まれたばかりだから、これ以上言うつもりはない。しかしこの一連の動きの中で、支持率が又上昇したことが気にかかる。
 物事を簡単に表面だけ見て安易に判断しては困るのだ。大切なのは、日本の行方に関わっているということだ。
 この際、厳しく今後の菅内閣の動きを注視していく必要があると思っている。

言いたい放題 第88号 「オーバーホール」

 やっぱり私が最終的に頼るところは杏林大学病院だ。
 腰痛も痛風もここで診断を受け、もう一息、丁度定期検診の時期も来ていたので、9月16日、腸と胃の内視鏡の検査も受けた。
 DNAの故、できやすい体質だから、例の如くポリープを5個発見、すぐ切除したが、後は全てOKだ。オーバーホール完了というところか。
 大腸ガンの手術を受けて丸7年になるが、ここまで来るとすっかり馴れて、こちらの心境は悠々だ。検査中医師と一緒にモニターを見て、「あそこにポリープがあります」など余計な口出しをしたりしていた。

 オーバーホールといえば、自動車免許証も更新時期で、大西英男君の世話で、江戸川区の教習所で研修を終えた。
 この研修の基本は、如何に70歳以上の高齢者事故が多いかを繰り返し叩き込むといった寸法で、いわば高齢者対策の一貫なのだ。
 3時間余、これでもかこれでもかと聞いていると、本当に老人になったような気になってくるから、やるせない。

 いずれにしても、これで心機一転だ。又元気に行動を再開しようと、まず勝野洋さんの還暦の祝いで、赤坂プリンスホテルに出掛けた。私は発起人の一人である。
 彼は昔、私が乗馬に凝っていた30代の頃(国会議員1年生)の出会いで、キャシー中島さんら家族も含め、長い交流が続いている。
 御殿場にアルカディアという乗馬クラブがあって、忙しい日々だったが、時間を見つけては家族でよく出掛けたものだった。
 乗馬にはいわゆる英国風のブリティッシュと、西部劇のようなウエスタンと二種類あったが、私は勿論ウエスタン専門だ。
 アメ横で買いそろえた、映画の西部劇の登場人物の服装に着替えると、心はいつもジョン・ウェインだった。
 ある時、一人で山河を駆け巡り、落馬して骨折したこともあったが、荒っぽいくらいの青春時代だ。
 勝野さんは、自分の馬を持ち、いつも颯爽としていて、まさにスターそのものであった。
 その彼もすでに61歳、色々な有名人から、「おじいちゃん」と冷やかされていた。
 こちらは彼より14歳も年上、「まだまだ青春時代だよ」と言ったが、同席の息子も、黙って笑うのみであった。

 19日は、全日本アームレスリング選手権大会で、墨田総合体育館へ。この連盟は発足して33年になるが、長年、私は名誉会長をつとめている。
 遠藤光男会長が熱心で、自身のボディジム経営の傍ら、一途に努力を続けて、ここまで大きな存在にさせたのである。
 最初はたかが腕相撲ではないかと言われたが、かの有名な映画「オーバー・ザ・トップ」(シルベスター・スタローン主演)の影響もあって、人気も出て今や、ラスベガスの世界選手権大会にも日本代表が参加するようになった。
 私は、軟弱な時代に大いに不満があったので、若者を心身共に健全に育成したいとの思いも込めて協力している。

 300人を超える選手達は、各県の選手権大会を勝ち抜いて、晴の出場だ。
 沖縄から北海道まで、たくましく鍛えられた連中が集っている。
 NHKの地方版で取り上げる為、一人の沖縄出身の選手に密着取材をしている光景もあった。
 ある雑誌社は、一人の女性選手を追いかけていた。一時非行に走りかけていた美少女が、アームレスリングに目覚め立ち直り、世界王者へ。日本ではすでに9連覇という成果を挙げている。是非、ドラマ化したいとの話であった。
 選手達の職業は、元力士や柔道家からファミリーレストランの店員さんまで、それこそあらゆるもので、色とりどりだ。
 背に「海聖」と書いた濃い紺色のユニフォームを着た10人程の若者達がいる。
 これがめっぽう強く、仲間同士の応援も一段と熱が入って、気合いがこもっている。聞けば山口県の漁師仲間達であった。
 一般人に混じって車いすの選手もいて、一歩も引き下がらない。
 思わず私も力が入って、感動し、同時に満たされた爽やかな心になった。

 私は大会パンフレットの挨拶に、「ただ勝つことだけではなく、日常の厳しい鍛錬を通じて、何者にも負けない忍耐心を身に付けよ。最近の日本の状況を見ると、かつての良さが次第に失われつつあるように思う。
 常に家族を大切にし、道徳心あふれる良き日本人はどこに消えたのか残念だ。たくましい君達こそ、社会の良きリーダーになって欲しい。」と書いている。

 存分に大会を見学して、思うことは、私の役目はやっぱり若い世代を慈しみ、しっかり育てることで、それがこれからの私の使命なのだということであった。
 明日は、私が同じく名誉会長をしている空手グループ護身会の大会で文京区総合体育館に行く。
 かつて青少年育成の為に、空手を教えていた時代があるが、その時私の下で頑張っていた飯田清君が会長だ。あの頃はのべ1000人近い大勢の生徒を育てていたが、今や護身会はそれを凌駕する勢いだ。ひとえに指導者の熱心な努力の賜なのである。

 やりたいこと、やらなければならないことが私にはまだまだ山程ある。
 年をとった等と思っている暇はない。
 全てオーバーホールしたせいか、又、生気が蘇ってきたような心地がしている。

言いたい放題 第89号 「あきれた検事スピード逮捕」

 「今の世の中、右も左も真っ暗闇じゃござんせんか」、昔、俳優の鶴田浩二が歌った詩ではないが、今回の特捜主任検事前田恒彦容疑者の逮捕を見ての私の実感だ。
 犯罪を追い、正義を貫くのが検察ではないか。
 又、警察の行き過ぎ捜査や捏造をチェックし、唯一、起訴や不起訴を決める機関も検察なのだ。
 今までにも検察の不祥事は皆無というわけではなかったが、そのほとんどが、取調べの中での暴行事件や、情報を漏らしての国家公務員法の守秘義務違反、あるいは不充分な捜査での事実誤認等であった。(もちろんこれらはすべて許されないことだが・・・)
 私の知る限り、フロッピーディスクのデータを改ざんして、検事が思ったとおりのストーリーに合わせて犯人をでっち上げるなど、前代未聞の事である。
 しかも、この主任検事は、将来を期待されていた人物で、功名心からではないかというのだから、あきれてしまう。

 今回の場合、無罪になった厚生労働省村木厚子元局長が、拘置所内で、自ら書類を調べ、日付の改ざんに気がついて弁護士に伝えたという。人生を賭けた彼女の必死の執念が垣間見えるようで胸が痛む。
 しかも、こうした一連の事実がマスコミにすっぱ抜かれたのは9月21日のことである。その日の内のスピード逮捕といってしまえば、誠にカッコが良いが、正直、あまりに速すぎて、逆に保身や組織防衛の為ではないかと疑りたくなる。
 データ書き換えについては、本人がすでに今年の1月か2月頃、特捜幹部や同僚に打ち明けていたことが分かっている。
 早い段階で上司も認識しているとするならば、これは明らかな組織犯罪である。
 最高検による記者会見は、マスコミで報じられた、まさにその日の午後9時過ぎのことだった。前々から段取りが決まっていなければ、こんなに早い逮捕、記者会見など出来ることではない。
 検事総長に次ぐナンバー2の次長検事を中心に、最高検幹部が居並ぶ会見も異常異例のことである。
 名誉回復の為に誠意を見せたといえなくはないが、どうも怪しいと思うのは私一人ではあるまい。
 検察庁の名誉にかけて、早く幕を引きたいという思いと、出来れば個人犯罪で済ませたいという思いがチラチラうかがえるようだった。

 加えて心配なことが2つある。
 1つは、今回の失態を、当局がいたずらに糊塗し、歪曲しようとすれば、かえって検察に対する国民の不信は募るばかりになる、ということである。正義を求めて、不正を許さぬ断固たる姿勢の検察であってこそ、国民の安寧秩序は保たれている。
 国民にとって司法の権威が根底から揺らいだらどうなるのか。
 この際、徹底的に捜査検証を行い、ウミは全て出し切らなければならない。そして、検察組織を本来のあるべき姿に戻し、国民の信頼を取り戻すことが第一だ。

 もう1つの心配は、今回の不祥事によって、他の犯罪のケースでも同じことが行われてきたのではないかという疑心暗鬼が定着してしまうことである。
 最近の鈴木宗男氏逮捕や、目下騒がれている小沢一郎議員に対する疑惑についても、同じように検察の恣意的な冤罪ではないのかなどと思われては大変だ。
 すでに小沢疑惑について便乗して、逮捕された秘書が、無罪を言い出しているし、庇おうとしている民主党議員もいる始末なのである。

 今回のことで、今までも言われてきたことが、例の「可視化」の声が一段と高まってくるのではないか。
 可視化とは、警察や検察の取り調べの全過程を、録音、録画で明らかにし、全てを白日のもとに曝け出すことだ。
 確かに密室の中でどんなやり取りがなされているのか、我々には皆目分からない。
 弱い立場の容疑者と、権力を背景に持つ取調官とでは、格段に力の差があることも事実だ。人権問題を思えば可視化には一理ある。
 しかし、一方で、罪を犯したと思われる容疑者を証拠に基づいて追求する場合、おのずから緩急自在のテクニックも必要とする。
 全面可視化では、事実に迫れないという担当者の声にもうなずける。本来有罪の人まで処罰されないということになれば、それこそ大問題なのだ。
 ここは、やはり短兵急に答えを出すことではなく、この機会に充分な議論を尽くすということであろう。

 前述の如く検察は捜査権と公訴権を持っている。
 その権限に国民が大きな不信感を抱き始めているのが現状だ。
 この際、検察庁は組織防衛とか保身などかなぐり捨てて、本来の信頼を取り戻す為に、遮二無二努力することを厳しく求めたいと私は思っている。

言いたい放題 第90号 「好きになれない中国」

 石原慎太郎都知事は、10月12日から開かれる北京市主催の国際会議に出席する予定であったが、「やくざがやっていることと同じ、あんな不愉快な国には行かない」と訪中をとりやめた。
 尖閣諸島沖で、中国漁船と海上保安庁の巡視船衝突事件が起こったが、その後の、中国の過激な対応をみると、まさに「やくざ」の言い分で、日頃彼らの言う「友好」のカケラも無い。

 中国各地で相次いだ対日抗議デモでは、当たり前のように日本の旗を焼いたり踏みにじる光景で、毎度のことながら腹が立つ。
 他国の威信を込めた国旗を燃やすなど、知性も教養もない。レベルの低い国の連中がやることだ。
 彼らのプラカードには、「小日本人は釣魚島から出て行け」とあるが、「小日本」とは日本に対する蔑称で、連中の頭には宗主国というあきれた妄想が残っているのだ。

 しかし、デモを一番恐れているのは、実は中国政府、中国共産党自身であるということで、これは見逃せない事実である。
 かつて1989年天安門事件があった。胡耀邦元総書記の追悼集会だったが突然、民主化の激しい嵐となって、中国を揺るがす大事件となったのである。
 中国は急激な経済発展をとげ、今や日本を抜いて世界第2の経済大国となった。
 しかし、一方で、圧倒的多数の国民は極度に貧しく、これら恵まれない民衆の怒りは、まさにマグマとなって爆発寸前なのだ。
 反日デモであれ、何であっても、要は、いつ政府への不満が噴火するかわからない。これが最大の恐れなのだ。
 05年の反日デモの時、一部が暴徒化して日本料理店などに破壊と略奪行為が行われた。これを許した中国に対して、世界の、とりわけ欧米からの大きな批判の声が上がった。
 今や世界の大国となったと自負する中国にとって、最も痛いのは、国際的イメージが傷つくことだから、あの時、必死に収束をはかったものだった。
 今回も、当局はかなり厳しく規制をかけたようで、北京でのデモも200人程度と小規模であった。
 勿論、楽観は許されない。あの国のこと、油断は禁物なのだ。
 ただ、国内の動きを押さえているだけに、国民向けには、日本に対してより強硬な姿勢をとらざるを得ないという側面がある。
 日本に少しでも甘い態度を取れば、批判の矛先が直ちに自分たちに向けられるからである。

 そもそも、今回の事件は、我が国の領海内での中国漁船の侵犯行為である。
 9月7日午前10時20分、尖閣諸島北西部15kmで、違法操業中のトロール船を海上保安本部の巡視船「よなくに」「みずき」が発見した。直ちに停戦命令を行ったが、これを振り切って逃げ、しかも、なんと2度にわたって巡視船に衝突してきたのである。
 結局は公務執行妨害容疑で船長を逮捕したが、本来は外国人漁業規制違反、領海侵犯事件の疑いで逮捕すべき事案ではなかったか。
 となれば、船員全員に対しても捜査を行う必要があるのだが、何故か、13日になって14人の船員と、中国船の返還を行ってしまった。
 菅内閣はなんとも弱腰で、早くも中国の圧力に屈してしまった構図となっている。
 中国は、丹羽宇一郎大使を深夜も含めて何度も呼び出し、「船長を即時無条件釈放しないなら、強い報復措置を執る、その結果は全て日本側が負う」と、恫喝まがいの厳重抗議を続けた。
 深夜に、国を代表する大使を呼びつけるなど、外交上の礼儀すらわきまえていない。いつも、中国は礼節の国などと自称しているが、これがかの国の実像だ。
 我が国の対応はといえば、仙石官房長官が、ただ不愉快を表明しているだけという何とも情けない姿である。本来領海侵犯に対して国家として憤りを込めて、断固抗議して当たり前なのだ。

 中国はすでに種々の報復措置を行い始めた。
 東シナ海のガス田条約締結交渉の延期(2年前に両国政府が共同開発で合意したもの)、日中間の閣僚級、省庁間の交流停止、航空路線の増便をめぐる航空交渉の中止、日本への観光団の縮小などである。
 特に驚いたのは、1000人規模の日本青年上海万博訪問団の出発直前に受け入れを延期したことだ。これは、今年5月、来日した温家宝首相が、鳩山首相との首脳会談で、自ら提案した「日本みやげ」だったのにだ。
 最近、レアアースの事実上の輸入禁止も始まっているといわれている。
 レアアースはハイテク製品に欠かせない希少資源で、なんと世界産出量の97%を中国が握っている。日本への悪影響大だ。
 こうした、日本にとって厳しい外交圧力は、今後も一層強くなっていくこと必至だ。我々も相当の覚悟を持って望む必要がある。

 日本にとってこれから大事なことは、中国を牽制する為に国際世論に訴え、日本の正当性を正確に伝えることだ。
 特に重要なのは、日米関係だ。政権交代以来、民主党政府は沖縄基地問題等において、すっかりアメリカの不信を買ってしまった。
 これは、日本にとって大きなマイナスで、中国は、こうした新政権のギクシャクした日米関係につけ込んでいると見ても、大きな誤りではないと思う。
 菅首相と温首相とのニューヨークでの会談が中止となったが、そんなことは大したことではない。どうせ今、会ったところで、相方からよい答えが出るはずもないからだ。
 それよりも重要なことは、オバマ大統領との会談であった。ここで菅首相が日本の立場をどこまで説得し理解させられるかで、これからの命運が決まると心配していた。
 23日、一応両首脳が会談を行い、日米間の固い絆を世界に明確にアピールすることが出来たようだ。
 前原外相とクリントン国務長官との初の会談でも、「米国の防衛義務を定めた日米安保条約第5条は、尖閣諸島にも当然適用される」と合意した。
 前原外相は、「今回の事件は、日本の領海内で起きたことだから、国内法制によって粛々と対応するだけだ」と最初から発言していた。民主党内で唯一の正論で、この主張を変えないで欲しいものだ。これからの問題は、強力な日米同盟を如何に構築していくかで、その為には沖縄問題解決など、日本の責任を果たしていくことで、まさに民主党政権の能力が問われると思っている。

 この際、そもそも尖閣諸島はどこの国のものか、改めて付記しておきたい。
 なんの問題もなく、明確に言えることは日本の領土だということだ。
 1895年(1月14日)、清国など他国の支配の全く及んでいないことを確認した上で、日本領土に編入したものである。
 下関条約(1895年4月17日)で割譲を受けた台湾とは全く異なる日本の領土だ。(中国は割譲された台湾の一部と主張)
 1951年、サンフランシスコ平和条約で米国の施政下に入ったが、沖縄返還協定によって72年日本に返還された。国際法上何の瑕疵もない。(中国は、同条約で施政権を米国に引き渡したのは不法で、中国政府は承認していないと主張。)
 尖閣諸島に石油資源があるとわかったのは68年頃だが、それまで、中国は領有権を主張したことがなかったのだ。中国の意図は見え見えではないか。
 日本はかねてから、尖閣諸島は我が国固有の領土で、だから、そこに「領土問題は存在しない」と主張し続けてきたのである。
 余談だが、台湾から帰化した蓮舫大臣は、過日「領土問題云々」と発言していたが、これは日本の基本的姿勢と異なっている。留意しておく必要があると思った。
 中国は、東シナ海は中国大陸棚の延長線上にあり、沖縄トラフまで全て中国の領土だ、とさえ主張している。その時々で自分の国に都合の良いように言いたい放題、呆れるほかない。
 中国は南シナ海の海洋権益を広げようとして、この6月にはインドネシア沖でも一触即発の事態を起こしている。同じことを東シナ海でも行おうということで、まさになりふりかまわずの中国の覇権主義の現れなのである。

 今、この文章を書いている時(9月24日)、船長が処分保留で釈放されたというニュースが流れた。政治的配慮による異例の展開となったのだが、一体、これが正しい結論なのか。だとするなら、最初から逮捕などさせなかったらよかったのに・・・。
 菅政権の判断の甘さと弱腰を、今後強く追及されなければならない。

 いずれにしても、「あんなやくざのような国には行かない」、石原知事と同じ思いの私である。

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