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言いたい放題 第70号 「菅首相の止まぬ変節ぶり」

 民主党の両院議員総会が7月29日、憲政記念館で開かれた。
 2時間に及ぶ総会は、荒れ模様で、菅直人首相や枝野幸男幹事長らの退陣を求める声が次々に飛び出した。
 先の参議院選挙で敗れたのに、誰も責任を取らない。その姿への厳しい声だった。
 菅首相はひたすら低姿勢で、陳謝と弁明で終始した。
 長年政治の世界を歩んできた私から見れば、この総会はいわゆる明らかなガス抜きである。
 言いたいことを言わせて、目前の嵐をなんとか乗り切ることだけに汲々とする。そんな光景は見苦しかった。

 「敗北の原因は消費税をめぐる自らの不用意な発言で、心からお詫びする」と繰り返していた。
 30日には、国会召集日なのに突然首相は記者会見を行った。記者から逃げ回っていた菅首相は、やっぱりマスコミに嫌われることは得策ではないと考え直しての異例の会見だ。
 ここでも菅首相は「民主党の敗因は私の消費税発言で、これが大きく影響したと反省している」と繰り返していた。
 ちょっと違うのではないか・・・。これでは、消費税問題さえ出さなければ負けなかったと言わんばかりに聞こえるではないか。
 全ては消費税が原因だと決めつけ、ひたすら詫びているが、そんな単純、短絡的な言い訳で通用すると思っていることにこそ、大きな問題があると私には思える。
 確かに、首相が消費税を打ち出したことは、あまりに唐突なことであった。党内議論もやってないし、当然合意があった訳ではない。
 おまけに、すぐ批判が出ると今度は「低所得者には負担はかけない。還付する」など、不可能なことを、深い配慮や検討も無しに口角泡を飛ばして演説する。
 野党時代は、言いっぱなしで通ったが、政権担当者にそんな軽々しい発言が許される筈もない。
 つまり、「消費税発言」を通じて、国民は菅首相の実像を正確に見たということなのだ。彼は総理の器ではないと判断したのだ。
 こんな口先だけの思慮分別の無い首相には、とても国を任せられない、そしてそれを支える民主党の内部の統一性の無い混乱ぶりにも、愛想を尽かしたのだ。

 菅首相は、衆議院選挙の時の政権公約について、「出来る限り誠実に実現させる」とも強調した。
 「ちょっと待ってくれ」と、思わず私は唸った。あのマニフェストが、如何にいいかげんなものか、多くの有権者はすでに知っていて、それが民主党離れの原因にもなっている。そんなことも判っていないのか。
 子ども手当も、高校授業料無償化も、高速道路無料化、農家への個別補償も、あのマニフェストに書かれた公約は、選挙に勝たんが為の甘いものばかり、あれは利益誘導という選挙違反行為だ。
 財政事情の悪い中、とても100%実現できるものではないことを、もはや知らぬ人はいないのである。
 公約を守ると言えばいかにも良く聞こえるが、誤った約束事は早く改めるのが誠実というものだ。公約を全てそのまま実現せよとは、今や国民は思っていないし、求めてもいないのだ。
 厳しい日本の現状を直視し、例えマニフェストに書かれているものでも、無理なもの不可能なことは、率直に国民に詫びて変えていく、それが政権担当者側の責任ではないか。
 公約だからと、ただ頑なに進める事は、むしろ有害だと私は思っている。

 今、消費税を上げることは経済状況を考えて私は適切ではないと思っている。しかし、いずれは避けて通ることは出来ないテーマである。
 今まで、選挙を有利に進める為に、口を閉じてきた民主党だが、菅首相がはからずも消費税論議を提起した。ならば、ここは本気で国民に語っていくべきではないか、言い換えれば、これから始まる国会で堂々と議論を進めるべきではないかと私は思う。
 首相の国会召集日の記者会見では、消費税引き上げについて「代表選挙で約束するという扱いは考えていない」と、微妙な言い回しをした。つまりは消費税棚上げ発言ということなのである。
 あぁやっぱり「こんな政治じゃ、日本はダメになる!!」か・・・。

言いたい放題 第71号 「所在不明の高齢者、何故だ!」

 100歳以上の高齢者の所在や生死がわからないという事態が、次々と明るみに出て、すでにその数は60人を超えているという。発端になったのは足立区の事例で、悲惨なことに遺体はミイラ化していたという。
 色々な痛ましいケースがある。神奈川県秦野市の104歳の男性は、住民票記載の住所で長男夫婦と同居していたことになっていたが、実はその長男夫婦は老人介護施設に入っていて、現場は空き家であった。
 茨城県の鉾田市では101歳の男性が行方不明だが、その家に新聞がたまっていることから、ヘルパーが不審を抱き調べさせたら、妻は施設に入院していて認知症で何もわからなかったという。
 あぁ、なんと悲しい話ばかりなのか。
 世界一の長寿国となった日本、そのことをいささか自慢し、誇りに思ってきたのだが、こうした連日の報道をみていると、空しい思いがつのるばかりだ。

 私の場合、女房や家族に恵まれ、よもやこのようなことは起こるまいとは思うが、長生きしさえすれば、幸せとは限らないと、つくづく思う。
 中には、犯罪につながりかねないケースも起きている。杉並の113歳女性の場合、その夫は元都職員で、本人宛に遺族年金が支給されていた。実に約50年にわたって本人名義の口座に支払われていたというのだが、それでは一体誰が受け取っていたのだ。
 今、100歳以上のお年寄りは約4万人いるといわれていが、これはかなりあやしい数字になってきている。
 前述のケースを考えると年金不正受け取りもかなりの数にのぼる可能性もある。
 足立区のミイラ化遺体の場合、彼名義の口座に最初は老齢福祉年金、後に亡くなった元教員の妻の遺族共済年金が多いと切りかえ、引き続き入金されていた。計1845万円を家族の者が不正受給したことになるのだ。

 かつて、私が郵政大臣の時代、(100歳になった)高齢者に賞状と記念品を贈ることになっていた。私が直接御自宅に行き手渡して家族の温かい歓迎を受けたものだ。何度もその光景はテレビ新聞で報道されたものだ。
 そういえば、あのようなニュースを最近あまり見なくなったような気がする。
 一応100歳の誕生日を迎えた年度に、総理大臣からは記念品が贈られることになっているが、今度の件で、実際は、その実務を担う市町村が、必ずしも全員に渡していなかったということではないか。
 全ての人を訪ねていたのなら、その場で不明も死亡も確認されるはずだ。
 このような不幸な状態を生んだ一義的責任は、行政機関の怠慢にあると言わざるを得ない。
 長妻昭厚生労働大臣は、まず100人未満と思われる110歳以上の年金受給者と対面調査をすると発言した。しかし、そんなのん気なことをいわずに全国の都道府県市町村、つまり行政側に、具体的指示をすべきだ。100歳以上の4万人程度の高齢者調査は全国自治体が各々一斉に調査すれば簡単には終るはずだ。
 国の指示に従わず、調査を怠った場合はその地方自治体名を、具体的に公表すればいい。
 全国の地方議員は全面的に行動を起し、行政側を叱咤激励して徹底的な調査を開始させるべきである。
 幸い、来年春は地方統一選挙が行われる。地方議員の行動をよく見つめ、正しい評価を下せるチャンスにもなるではないか。

 しかし、今日のような事態を招いた最大の、そして根本的な理由は、家族の崩壊にあると私には思えてならない。
 自分の一番近い身内の者の所在が何年もわからない、一体そんなことがあっていいのか。捜索願すら出していない家族とは一体どんな人達なのか。
 夫婦別姓問題で私が指摘したように、日本の良き伝統の「家族」を否定し、大切にしない風潮が近年広がりつつある。
 社会党の福島瑞穂党首など、「個人」を「一家族」とするなどと訳のわからないことを言っている。
 父母、親子、兄弟が尊敬し合い、慈しみ合い、助け合って、良き家庭をつくる。その家庭が、地域と連携して良きコミュニティを形成しやがて日本という国家を作り上げる。
 この日本の素晴らしい姿が、次第に消えつつあるのではないか。
 近頃、幼児虐待や子殺しが大きな社会問題になっている。
 自分が産んだ子を、無責任に厄介者扱いする鬼のような母親、近所で連日子どもの泣き叫ぶ声が聞こえても、知らんぷりを決め込んで警察にも連絡しない人達。大阪の二児遺棄事件で異常に気づいた人は多いが、児童相談所へ通報したのはたった一人であった。
 出来るだけ近所と関わりを持ちたくないという人が増えているというが、そんなことで世の中は成り立たない。この世は一人では絶対に生きられない。万が一災害にでもなった時、誰が助けてくれるのか、やがては自分に返ってくることを知るべきだ。
 この件で通報を受けた相談センターの対応も最低だった。マンションを一応訪問したのだが、インターホンを押しても応答がないので、安否確認をしないまま帰ったという。まさに無責任時代だ。

 いずれにしても、長い年月、家族の為、社会の為、そしてこの国の為に、何らかの形で尽くしてきた高齢者を悲しませてはならない。
 家庭と社会で、温かく包み込むように高齢者を支えてあげたい。
 家庭からも周囲からも、全て関係も断ち切られた孤独で不幸な人を思うと、目頭が熱くなる。
 それにしても、国会の、特に予算委員会で、この問題を大きく取り上げようとしなかったのは何故か。不毛の議論より、この重大問題の解決を促す議員がもっと多く居てもいいのではないか。

言いたい放題 第73号 「菅首相ではやっぱりダメだな」

 参議院選挙が終って、初の臨時国会が開かれたが、実に短時間であっけないものであった。予算委員会の質疑を見ても、菅首相には本格的に政治に取り組もうという熱意や誠意が感じられなかった。
 良し悪しは別にして、野党時代の菅氏は、もっと歯切れが良くて弁がたった。度々相手の大臣が答弁に行き詰まったり立ち往生したものだったが攻守所を変えると、こんなものかと早々に化けの皮が剥がれた感じだ。
 特に今、肝心の政治と金の問題になると、のらりくらりとした言い逃れに終始して、「第一義的には国会で議論していただくのが適当」と、ごまかしてしまう。
 許されないのは、「役職を辞任したのは政治家として最大級のけじめだ」という答弁である。
 とんでもないことで、せめて鳩山氏や小沢氏が国会議員を辞めたのならまだしも、公約した政策を遂行できずに追いつめられて総理の座を投げ出しただけではないか。小沢氏の場合など、選挙を考えた菅氏が静かにしろと突き放して距離を置いただけのことではないか。
 秘書が起訴されたり有罪になったりしたのだから、実態解明の為に国会で証人喚問や、せめて参考人招致に応ずるべきだ。それを与党の代表として菅首相が指示し実現させるのが、指導力というものだ。
 小沢氏の問題について、検察審査会は起訴相当としたが、二度目の議決がどうなるのか、今みんなで、ひたすら待っているという構図だ。
 これは他人任せのようで全くおかしい。当然、臨時国会でこそ究明されるべきことであった。
 おそらく、菅首相のあきれるほどの腰の引け方は、これから行われる民主党の代表選挙を考えてのことであろう。
 民主党内では、親小沢派の二つの勉強会が開かれたり、鳩山内閣時代の官房長官や副だった人達が公然と首相批判を強めている。
 しかし、そんなことで、肝心の政策も含めて、ぐらぐらしていたのでは、国や国民にとって大きなマイナスだ。

 閉会した予算委員会について菅首相は、「建設的な議論が出来たと」記者団に語ったが、全く嘘だ。ほとんど釈明に追われて、確固たる政策など一向に示せなかったではないか。
 沖縄問題では、米海兵隊の力を否定していたのに、「我が国の安全、アジア地域の安全にとって必要だ」と前言を平気で翻している。
 あれだけ脱官僚を言い続け、「官僚政治を打ち壊さない限り日本の改革は進まない」と豪語していたのに、逆に官に依存し、今やぐずぐずの腰砕けだ。
 予算編成も、内閣の小委員会で大枠を決めると言っておきながら、一律に下げるとはいえ相変わらずの概算要求を基本にする考えのようである。
 消費税問題などは、ただ自分の唐突な発言を謝るだけで終始し、一方で財政健全化に取り組まなければならないとも言う。
 「だから何なのだ」とイライラするばかりだ。

 各新聞には、総理の一日の動静が事細かく載っている。よく見ると、夜といわず昼も、連日のように有名高級店で会食が続いている。
 ホテルオークラの「山里」、ホテルニューオータニの「なだ万」「Taikan En」、都市センターホテル「梅林」、ANAインターコンチネンタルホテル「雲海」、「つきじ植むら」、フランスレストラン「アピシウス」、あの「広島原爆の日」はグランドプリンスホテル広島「羽衣」と、全て有名高級店のオンパレードだ。
 会食の相手はといえば、時に鳩山夫妻であったり、議員仲間や、多いのは内閣補佐官、更に連合会長やマスコミ政治部長など多彩だが、何が目的なのかすぐわかる単純さだ。
 短命を承知で、だから今のうちに普段行けない高級店を回ろうという貧しい根性か、これがみんなの税金、公費であることを考えると腹立たしい。
 自民党時代、歴代総理の奥様、いわゆるファーストレディは、つつましく静かに夫に寄り添うようにして、陰で支えてきたものだが、民主党になってからガラリと変わった。
 外遊の時はタラップを手をつないき、ある時は韓流スターと食事をして喜々としていた鳩山夫人、今度の菅夫人は、かつて菅氏の不倫が発覚した時「バカたれ」と叱ったように、歯に衣着せぬ発言で知られる。亭主を尻に敷くタイプだ。
 なんと驚かされるのは、菅氏が首相になるや、直ちに自分の本を出したことだ。
 「あなたが総理になって、一体日本の何が変わるの」(幻冬舎新書)というタイトルで、なんだか、その能力の無さを妻から問われているような感じさえする。
 橋本龍太郎元首相の夫人のように没後、回顧録を出した例はあるが、在任中、しかも、就任直後に首相夫人が本を出すなど、全く異例はことで前例はない。
 評論家の大宅映子女史の言うように、「9月の代表選挙で負けることを考えて緊急出版したのか」という声にも頷けるではないか。
 出版社曰く、「7月20日初版1万5000部だったが、1週間を待たずに6万部を売れました」。えっ、初版の部数の4倍もあらかじめ印刷していたの?
 なんとも奇妙な話だが、ちなみに通常の印税10%で計算すると、今の時点で450万円超となる。時流に敏感でしっかり稼いで、まさに賢夫人か?
 私の今出している本、「こんな政治じゃ、日本はダメになる!」(角川学芸出版)、好評だが、初版1万部、まだ増刷の話は無い。うーん残念。

 いずれにしても、様々な角度から見て、菅総理ではやっぱり日本はダメになると思うのだが、あなたはどうお考えだろうか。

言いたい放題 第74号 「ハマコーの姿に悲哀」

 浜田幸一元議員が逮捕されたと聞いて驚くと共に、なんともわびしい思いにかられた。
 政界の暴れん坊として良くも悪くも勇名を馳せた浜田氏とは、同時代、国会で一緒だった。
 自業自得とはいえ、あの年齢にもなってこんな事件で逮捕されるとは、なんとも残念で情けない。
 彼は千葉県の富津町会議員から県議を経て衆議院議員に当選するが、常に破天荒な行動で物議をかもしていた。
 文字通りの非行少年から、よくぞ国会議員になったものだと思うが、様々な折に、不良の地が現れていた。
 大平氏と福田氏で総裁をめぐって争った1979年のいわゆる「四十日抗争」の時、自民党本部でバリケードを自ら破壊して、怒髪天をつく形相で怒鳴っている姿を私は直接見て知っている。
 「子どもの将来の為にこんなことをしていていいのか!」と、如何にももっともらしく叫ぶのだが、本人のやっている行動と全く相反している姿に、思わず吹き出したものだ。
 米のラスベガスに行って190万ドル(当時で4億6000万円程度)も大負けし、その支払いを政商の小佐野賢治氏が支払ったとかで大騒ぎになった。
 結局、80年ロッキード事件がらみの裁判で、支払いの一部がロッキード社からの資金から出されたという検察の捜査結果が出て、自ら国会議員を辞職した。
 しかし、なんとその3年後には、再び当選するのだから不思議だ。人生かけて政治に尽くした私が、何度も破れているのに、彼はなんともいい選挙区を持ったものだ。

 88年には、予算委員長になるのだが、委員長席から共産党の宮本顕治議長は殺人者であると言い出し、大混乱となって委員長をクビになった。宮本殺人説は従来から一般にも言われていて、格別目新しいことではないのだが、何も委員長席からそんなことを突然言い出す必要は全く無く、なんとも不思議な人であった。
 さすがに彼は日頃の行状から、国会議員を7期つとめても大臣にはなれず、広報委員長や副幹事長どまりであった。
 自民党の役員会が開かれた時、何故か森喜朗代議士に浜田氏は毎回必ずくってかかり、批判する場面が続いた。森氏はなんとも困惑に表情だったが、騒ぎが大きくなることを考え、かなり自分を押し殺している風だった。同席していた私は、何もそんなに責めなくてもいいのではないかと、不愉快な思いで声を掛けた時もあった。
 一方で、驚くほどの人情家で、役人達を大事にしたものだ。私とも不思議に気が合って私の後援会の大会等に参加してくれて、自作の「母さんの歌」を熱唱して、聴衆の涙を誘ったこともあった。
 議員を辞めてからは、テレビのバラエティ番組等で常連となって、お茶の間の人気者になっていた。
 近年は、テレビでしか顔を見ることが無く、膨大な借金で破産宣告を受けたなど悪い噂ばかりであった。
 彼の御子息は防衛大臣になったが、その頃私はテロ対策特別委員長時代であった。
 大臣になりたての頃は、とても危なっかしくて、委員長の私は出来るだけ他の大臣に答弁を振ったものだが、後年は自信を持っていて、しっかり答弁をして頼母しく思ったものだった。

 逮捕直前の様子がテレビに映ったが、齢81歳、話をする口元が震えていて、その変わりように驚かされた。
 真実はこれから法廷で裁かれて明らかになるだろうが、なんといっても国会議員を長年勤めた人、老惨な姿をこれ以上さらして欲しくないとしみじみ思った。

言いたい放題 第75号 「3キロ太った」

 公務を離れて1年以上が経過した。
 色々な支持者に出会うと、「少し太ったのではないですか?」と言われたりする。「どこがァ、太ってなんかいませんよ!」と、思わずムッとして反発する。
 「前とちっとも変わりませんね」「若くて相変わらずダンディですね」と言われると、それがお世辞とわかっていても、つい顔が緩んでくる。
 相変わらず単純な自分に苦笑する。

 実は、あれからわずか1年の間に、正直、3キロばかり体重が増えている。食べるのもお酒も、まぁ一般の人から見れば相変わらず沢山の量だが、前とほとんど変わってはいない。血液検査もγ-GTPを除いては百点満点だ。
 週3回はスポーツクラブに通って汗にまみれ、身体を絞るように鍛錬もしている。なのに何故少しずつ体重が増えるのかと思うのだが、よく考えれば、やっぱり国会議員時代の忙しさとの相違のようだ。今も結構忙しく充実しているが、当時の仕事量はやっぱり桁違いで、その日常生活の絶対的違いが、じわじわと体重につながっているようだ。
 今思えば、普通の人の何倍も働き続けて来たわけで、われながら、よく頑張ったものだと、誰かの言葉ではないが、秘かに自分をほめてやりたい思いがする。

 5度、大臣の役に就いたが、中でも54歳の郵政大臣の頃が一番体力気力共に優れていたように思う。毎朝6時には秘書官とSPを引き連れて必ず走ったものである。
 任期中に全国の郵政局を踏破したが、その全ての地方でも走った。
 沖縄を訪れた時には、船のマストの頂上から得意のダイビングを行って、記者団はじめ随行の人達を驚かせた。(その勇姿は写真にして自宅に保存している、念のため)
 国会開会中の大臣稼業は、想像を絶する秒刻みの暮らしだ。
 国会の答弁に立つ時は、当日までほとんど徹夜続き、その上私の場合、必ず文章は自分で書くので余計忙しく、まさに寸暇を惜しんでである。
 海外に出掛けた時も毎朝マラソンは欠かさなかった。国家公安委員長時代、カナダで開かれたテロ対策閣僚会議に出席したが、4日間、昼間は会議会議の連続で、町を観光することなど全く出来ない。
 しかし、この時も毎朝6時に6キロマラソンをして、オタワの町はほとんど全て走りながら見学することが出来た。

 大臣は、国際会議に出席する機会が多い。
 特に通産大臣時代は、国内だけでなく世界を相手にしての仕事だから度々出掛けたものだ。
 しかも、当時野党は様々な理屈をつけて、直前まで大臣を引き留める悪習があった。時には、パトカー先導でサイレンを鳴らして空港まで走り、搭乗時間ギリギリに飛び込むという離れ業をやってのけた。
 アメリカやヨーロッパになると、日本とは昼夜が逆で、往きの10時間余りの夜間飛行中は、もっぱら会議の為の勉強勉強で、随行役人と協議の連続だ。一睡もしないで現地に到着し、そのまま会議に出席したことも度々だった。
 数日間の会議を終えると、又、直ちに帰りの夜間飛行で、今度は予算委員会などでの国会答弁準備で休む瞬間もない。帰国してまっすぐ国会へ直行し、答弁に立つという場面など普通だった。
 よく身体がもったものだと思うが、心身共に充実していて、国の為に全力をあげて働いていることに、誇りと自信に満ちていて、生きがいを感じる日々であった。

 通常は、まず早朝大臣室に入り、スタッフとの綿密な打ち合わせから一日が始まる。
 ぎっしりと詰まった日程表通り、衆議院、参議院の会議室と大臣室を何度も往復する。
 なぜか、いつも移動時間が足りなくて、ほとんど走っての移動だ。秘書官、SP、関係官僚が一団となって走るから、国会見学客がビックリしていたものだ。
 国会議事堂は実に広くて、隅から隅まで走り回ると大変な距離になる。当時は万歩計をつけていたが、だいたい1日1万歩以上、時に3万歩を走った記録が残っている。
 最近、中井大臣など、SPや秘書官をまいて、女性とデーとしたりと、閣僚達の数々のスキャンダルが報道されている。一体よくぞそんなことが出来たものと、自分のあの頃と比較して、全くあり得ない話とあきれたり、腹を立てたりしている。

 そんな激しい暮らしから解放されて1年、前述のように、あの頃と違って知らぬ内に運動量が確実に減っていて、余分な肉が付いていたという塩梅である。
 近頃は、もうスポーツクラブに通う程度ではとても追いつけない。
 深夜テレビの広告を見て、減量の為の健康器具やサプリメントを買って試したりしたが、あれは絶対効果無しだ。よく見ると「人によって異なります」と書いているではないか。
 もともと「楽」して痩せることなんかある筈がない。
 やっぱり、食べる量やお酒を減らすことなのか、しかし、あと何年生きられるかと考えると、食べない飲まないのはなんとも勿体ないではないか。
 近頃一応、週一回断酒をはじめたが・・・あぁ・・・。

言いたい放題 第76号 「本は宝だ」

 無冠になっても、政治の現状から目を離す訳にはいかない。
 国会の様子をマスコミを通じて見つめているが、なんでもっと国民本位で物事を考えて行動してくれないのかと、今の政治家に対する不満な思い、しきりである。
 9月の役員改選をめぐって、民主党内の大混乱ぶりはなかなか収まりそうもない。
あまりの無知無能ぶりをさらけ出して、国民から見放された鳩山由紀夫前首相、なんと今度はその側近とやらが蠢動(しゅんどう)し始めている。
 蠢動とは、我ながらいい表現で、まるで虫などがうごめくように、つまらない者達が策動したり騒いだりしている、の意である。
 菅氏につこうが、小沢氏と連携しようかどうでもいいが、せめて国家国民のことを考えてくれよと大声で訴えたい。

 もっとも、私がいくら怒っても、国会に席のない者には動きようがない。せめて講演やホームページで、歯ぎしりする思いで訴え続けるしか道がなく、この点は残念だし、支持者に申し訳ないと思っている。

 それでは今の立場になって私は不幸かといえば、決してそうではない。いや、正直に言ってむしろ幸せ一杯という面も多い。
 何よりもいいのは、前のように時間に縛られることが無くなったことだ。
 いつでも自由な時間がとれて、家族や友人達とゆっくり過すことが出来るぐらい幸せなことはない。
 そして、この立場になって一番嬉しいのは、本を読む時間に恵まれるようになったということだ。
 晴耕雨読というが、最近は時間があれば本を貪るように読んでいる。
 本好きの女房と向かい合って読書、この時だけは多弁の私も無口になる。
 今までは、どちらかといえば、必要に迫られて政治や経済の専門的な本が多かった。楽しめる小説類は、もっぱら車の中か、トイレで読んだものだった。
 今は、夜中も含めて時間はたっぷりで、全くの無制限、いくら何を読んでいようと許される自由人だ。
 満員の自民党政経塾で、とにかく機会を見て本を読めと教えている。
 「精読」、「熟読」、「乱読」なんでも良い。悪いのは、「積(つ)ん読」だと、塾生を笑わせたりしている。

 今、店に拙著も出ているが、私は何冊も本を書いて世に出し、自分では一人前の書き手のつもりでいた。
 しかし、色々なジャンルの本を読む度に、プロ作家の力量のすごさに驚き、自分の非力を教えられるような思いである。
 プロ作家は、生まれながらに天才的な頭脳を持っているとしか思えない。その上、大変な調査を重ね、常に知識を磨いている。
 そして、なによりも作者の人生そのものの発露が小説なり作品になっているのだ。
 どんな本でもいい。乱読であろうがかまわない。ともかく本を読めと若い諸君に繰り返し教えている。
 沢山本を読んでいるうちに、いつの間にか、不思議に君の知性や人格が作り上げられていくのだからと・・・。

 ところで、最近、特に私の心を打った本を推薦したい。
 その一冊は、「テンペスト(上・下)」池上永一著(角川書店)だ。
 作者は、沖縄県の生れで早大出身、私の後輩(特に関係ないのだが)である。
 この本は、沖縄の伝承と現代社会を、たくみに融和させて独特の世界を作り出している。
 物語は19世紀、琉球王朝の末期だ。琉球では帯刀が許されず、武器の使用が出来なかった。上流社会の男子は武器の代わりに、教養と美意識を研ぎ澄ますことを求められた。
 清国と薩摩の間接的な支配を受けていながら、琉球は大国を圧倒する美と教養によって、かろうじて王国を維持することが出来たのである。
 科試と呼ばれる最難関を突破したエリートは、即戦力として行政の中枢機関に登用され国の舵取りを行う。
 名門孫氏に生れた真鶴は、美しい女だが、神童といわれるほどの才気に溢れていた。
 しかし、この国では女人の官への登用は皆無である。
 孫家の再興を願う父親の夢を叶える為に、彼女は宦官と偽り、男になりすまして寧温と称し、王宮に入った。時に男になり、時に女になって、500年の歴史を持つ王朝を守る為に、絢爛豪華、波瀾万丈のドラマの展開となる。
 850頁を超える大作には、琉球王朝に寄せる作者の熱い思いが満ちている。
 この壮大な物語の内容を、ここで簡単にまとめて紹介することなどとうてい出来ないが、是非、この本を購読され熟読することをお薦めしたい。

 もう一冊は、講談社文庫から出されている百田尚樹著「永遠の0 (ゼロ)」だ。
 この本は発売から半年経て、2009年には「最高に面白い本大賞」に選ばれている。とても彼のデビュー作とは思えない才能溢れた小説だ。

 司法試験浪人を4年も続けて、ニートとなっている26歳の青年が、フリーライターをしている姉から依頼されて、第二次大戦で亡くなった祖父の生涯を調べる為に、様々な人々を訪ねることになった。
 零戦パイロットであった祖父についての評価はマチマチで、ある人は臆病者といい、別の人はパイロットとして天才で人格的にも素晴らしい人だったと言う。
 人によって異なる祖父の人物像に戸惑いながらも、何かに惹かれるように人々を訪ねる。やがて祖父こそ本物の男なのだと、その雄々しい姿が明確に浮かびあがってくるのだ。
 零戦闘機は、太平洋戦争で、世界に誇る日本の名戦闘機だ。パイロットの優れた飛行技術と相まって、大いに米軍を脅威に陥れた。
 名パイロットとして、まさに歴戦の勇の祖父は、自分の能力の全てを駆使して、敵と敢然と戦い続けるのだが、、一方で日本に残した妻や子のために、断じて生きて帰ることを決意していた。
 最後は特攻で散華するのだが、本を読み進めるごとに、戦争とは何か、そして、その中で国民は何を考えどう生きてきたのかを熱烈に問いかけてくるようであった。
 私は人間の尊厳と愛を貫いた祖父の姿に、何度も感動し、泣かされた。
 すでに戦後65年、戦争を知らない人々が圧倒的多数だ。そして、自己中心で、他の為に尽くすことを忘れつつある時代だけに、この本こそ、若い人達に是非読んで欲しいと強く思った。
 当然、私の息子や娘達にも薦めた。彼らも私と同じように、感激し、何度も涙をこぼしたという。
 その姿を見て、何かホッと救われたような思いがしたものである。
 
 さて、次はどの本を読もうか。
 読者離れと言われて久しいが、書店に行けば新しい本が続々と出版され、あふれている。今の私にとって、本は何物にも代え難い、まさに宝の山なのである。

言いたい放題 第77号 「夏のお化け」

 連日の猛暑が続いて日本列島の熱は高まるばかりだ。熱気は甲子園だけでいい。
 特に気になるのは、高齢者の熱射病による死亡だ。私の場合、相変わらず異常?なほど元気だが、自分の年齢を忘れて、「可哀そうに」と老人への同情しきりといったところである。

 夏はなんといってもお化けのシーズンだ。遊園地や、色々な場所でお化け屋敷などは人気のスポットなのである。
 人間国宝の一龍斉貞水師など、得意の怪談話の独演会で売れている。
 ところが、なんと政界でも近頃、お化けが復活の気配で、こちらは国の行方に影響するだけに喜んでいる訳にはいかない。
 一度死んだ人が再び出て来るのがお化けだが、それならば政界のお化けは、鳩山由紀夫前総理と小沢一郎前幹事長といったところか。
 5月9日、鳩山氏は、長野県軽井沢町でグループの研修会を開き、約150名の衆参議員を集めた。
 そこへ、なんと小沢一郎氏を招いた。小沢氏の参加で、この研修会は大いに盛り上がり、9月の民主党代表選で小沢氏を代表候補に担ぎ出そうとの気運まで起こったという。
 野党時代ならとやかく言うつもりはないが、今は民主党政権だから、党の代表はイコール総理大臣だ。だから、この動きは簡単に見過ごせない。
 お化けが又出たと、のん気に看過することは出来ないのである。

 ついこの間、(平成22年6月2日)、鳩山首相は小沢幹事長を道連れにして辞めたばかりだ。
 鳴りもの入りで政権交代を果たして、なんとわずか8ヶ月での退陣だ。
 「総理が一年ごとに交代する」と、あれほど自民党政権を批判し続けたのに、この有様だ。
 言うまでもなく、民主党はその場限りの、内容の無い、選挙目当ての政策ばかりで、スタートしたとたん実現性の乏しさがたちまち露見してしまった。
 その上、なによりも金まみれの、あまりにひどい金権体質が国民の決定的顰蹙(ひんしゅく)を買った。
 最初は80%という異常に高い支持率だったが、あっという間に10%台にまで一気に下落して、いわば国民の声によって鳩山首相は退任させられたのだ。
 首相を辞めた鳩山氏は、国会議員も辞めますと、実にカッコ良く公言したのだが、これもたちまち覆して、「やっぱり続けます」と豹変、なんとも厚顔無恥な話であった。
 小沢氏を道連れにしたことは一般に好評であった。首相に就いた菅直人氏は、世論に極めて敏感で、早速、小沢氏とは距離を置こうと「静かにして欲しい」と明確な小沢外し体制を敷いた。
 小沢氏は政治と金の問題で、何の決着もついていない。国会でも説明責任すら果たしていない。
 その上、資金管理団体の事件をめぐる検察審査会の最終結論は、代表選後に出される予定で、未だ出されてはいない。
 常識的に見れば、この2人は政界ですでに死んだ状況にあったと言って言い過ぎではない。
 ところが、鳩山グループは依然として40人程度を擁し、小沢氏にいたっては実に150人に及んでいる。
 これらが結束すれば、仮に小沢氏の代表選出馬となった場合、まずは当選確実で、そうなれば日本の金権総理大臣の誕生となる。
 とんでもないことではないか。

 鳩山氏は、このところ菅首相の依頼を受けて、温家宝首相等を「日本代表」として訪問し、次のロシアで開かれる国際フォーラムへ出席し、メドベージェフ大統領との会談も決まっている。鳩山氏に対する菅首相の御機嫌取りの配慮であることは明らかだが、その訪問先の中国北京で、菅氏続投を認める発言をしている。挙党態勢が前提条件だが。
 今回、彼が軽井沢の自らの研修会に小沢氏を招いて歓迎したのは、両者の仲介を買って出て、自分の位置を守りたいという気持からであろう。
 小沢氏は、このままでは存在感を失うと危機感がつのると見えて、最近は復権への動きが活発になっている。
 朝日新聞(8月20日号)によると、14日夜、引退した議員を前に、小沢氏は「このままじゃ、お国がダメになる。ダメになっても(菅首相)は権力にしがみつくだろう」、「民主的な手続きで代えるとしたら9月しかない」と語ったという。「このままではお国がダメになる」、それは私の本の題名だぜ!とあきれたが、様々な会で代表選出馬の意欲を、ことさらに誇示していることは間違いない。
 だが、その可能性はあるのだろうか。
 政治と金をめぐる世論の風は、当然のことだが今も厳しく、決して収まる気配はない。今更、天下取りで返り咲くようなことがあれば、たちまち袋だたきが起こることは目に見えている。
 おそらく、小沢氏のねらいは、総理大臣に就くことは不可能だから、せめて何らかのポストを獲得して、小沢グループの結束力を高め、できれば院政もどきの状況をつくりたいということではないか。
 いづれにしても、民主党内の代表選を前にしての、こうした慌ただしい動きは見苦しい。
 どこまでも党利党略、個利個略で、そこには、この国の為にどうするとか、国民の幸せの為に、といった本来のまともな政治家の思考はうかがえない。

 夏のお化けは、小話や物語の中だけでいい。政治の世界の亡霊は、亡国につながる。これこそ本当に怖いお化けなのだ、ということを多くの人に知って欲しいものである。

言いたい放題 第78号 「夏休み」

 猛暑の中、夏休みの子どもらは元気一杯だ。ただ、近頃の子ども達は、塾や学校の部活動が忙しい。私はこの夏休み中ぐらい孫達と少しの時間でも一緒に行動したいと思うのだが、孫の予定表の方がびっしりで、なかなかチャンスが無い。オータニホテルのプールで一日遊んだくらいか・・・。
 せいぜい、夕食を共にしようと、自宅に呼んで、おじいちゃんパスタ(私は料理自慢、特にイタリアンパスタが)を提供するくらいだった。

 菅直人首相の夏休みは軽井沢のホテルで、8月10日から4日間、家族と避暑を楽しんだようだ。
 米国などの大統領は、比較的長期間休暇をとるようだが、日本の場合は一般的に短い。
 だから、菅首相の夏休みを批判するつもりはないのだが、なんとも気の毒なことに、丁度その間、円高が急速に進んで、日本の経済危機が迫っていた。
 直ちに対応を協議する為に、官邸に戻るか、担当大臣を呼んで、具体的対策を立てなければならないのだが、菅首相は一向に動く気配がなかった。仙谷由人官房長官や野田佳彦財務大臣に為替相場を直視するよう電話を入れただけであった。
 菅首相が軽井沢に入った翌日(8月11日)、円相場は1ドル84円72銭をつけた。実に15年ぶりの高値を記録したのである。
 例えば、トヨタ自動車は、1ドル90円を基準にして経営を進めている。円高で1円上がれば実に300億円の損失という。輸出関連企業は大変な損害を受ける。輸出に頼る日本経済全体を見れば、円高は相当深刻な問題であることは勿論だ。菅首相や担当大臣の認識が無さすぎる。いや完全な経済音痴ではないのか。
 一部エコノミストは、この円高は日本政府の無策の結果だと批判している。

 景気を心配する米国や欧州は、自国の通貨を安く導いて輸出を少しでも有利にするよう努力しているのに、日本政府は、「通貨の動きは市場に任せるべき」と平気で繰り返している。
 中・長期的に見るならば、為替レートは各国の資金供給比率によって決まるものだ。
 リーマンショック以来、アメリカではドルの供給量が120%も増えたが、日本はわずか1%増でしかない。
 これでは、円かドルに対して少ないのだから、当然円高になっていく。
 オバマ大統領は、「米国は本来、もっと物を売るべきだったのに長い間、海外から買いすぎてきた」と8月11日の演説で強調した。
 輸出戦略の重要性を訴え、その結果として輸出増を通じて雇用創出をはかろうとしている。9%を超える失業率を少しでも改善しようと必死なのだ。言い換えれば米国の失業率が改善されるまでは円高状況は変わらないということか。
 政府や日銀は資金を供給することは大事だが、目下のところ、その具体策を示そうとしていない。
 ここへきて政府は、追加経済対策を検討しなければと、ようやく動き出したというのだが、あまりに対応が遅いのにはあきれてしまう。
 しかも、動き始めたといっても、菅首相が19日に直嶋正行経済産業大臣から円高の影響などヒアリングを受けるとか、今後、荒井聰経済財政政策担当大臣や野田財務大臣から景気の現状などを聞き取り、対策の必要性や内容を決める方針というだけなのだ。
 しかも、けしからんことに、仙石官房長官は菅首相と入れ替わるようにして、16日から夏休みに入り、政調会長の玄葉光一郎氏も夏休み中であった。4〜6月期のGDP(国内総生産)が、民間予測を大幅に下回ったと内閣府が発表した日に、である。景気減速の懸念が一層強まっているのに「どこ吹く風」といった塩梅なのである。
 民主党政権は明らかに経済無策だ。
 担当大臣が経済の素人ばかりで、その本質を知らない。
 その上、平気で休みをとっている。他の有力者達は、9月代表戦の行方ばかりが気がかりで、研修会やら種々の会合を重ねて大わらわである。
 「こんな政治じゃ、日本はダメになる!」
 猛暑の中、背筋が凍る思いである。

言いたい放題 第79号 「小沢出馬で大混乱の民主党」

 過日の私のホームページで、夏のお化けとのタイトルで小沢、鳩山両氏の動きを揶揄したが、9月1日告示の代表選に向けて、民主党内の動きが一層激しくなっている。
 ここへ来て、ついにというか、とうとうというか小沢氏が出馬に踏みきった。
 菅首相との真っ向勝負となるのだが、実際にやってみないと、どちらに軍配があがるのかわからない。
 しかし、はっきりしていることは、菅首相続投なら、あの優柔不断ぶりでこの厳しい状況をとても乗り切れなそうもないし、小沢氏となれば、独裁、唯我独尊、その上、カネまみれで、日本の行方が危ない。
 いずれにしても民主党政権では、日本の政治が良くなるとは思えない、というのが悲しい現実ではないか。

 それにしても代表選をめぐる昨今の民主党内の動きを見ると、情けないばかりだ。いずれか天下を取るのか、どちらについたら自分に有利か、政治そっちのけで、もっぱら自らの保身ばかりを考えて汲々としているのだ。

 まず、菅首相は、大慌てで、1年生議員を集めての意見交換会を開いた。なにしろ全議員の3分の1を占めるのが新人(米)議員だから、まずここを押さえたいという見え見えの魂胆だ。
 しかも、なんとこの日程は、8月25日の日本青年館で行われた「小沢一郎政治塾」と合わせていて、いわば塾への出席を牽制しているという図になっている。
 一番困ったのは156人の1年生議員で、さて、一体自分はどちらに出たらいいのかと右往左往だ。
 時の総理大臣と直接対談できるのだから、なによりもここを優先的に考えるのが普通なのだが、小沢氏の腕力を知っている新米議員にとっては、そう簡単に判断を下すことができない。
 テレビ等報道陣が執拗に追いかけて取材していたが、彼らのコメントは、どちらからも嫌われないようにと、一体何を言っているのかさっぱりわからない。「しどろもどろ」とはこんな状況をいうのだと改めて思った。
 次々とテレビに出てくる一年生議員達、さっぱり見たこともない顔ばかりでなんとも頼りない。若いのはいいのだが、私から見るとまるで坊やか娘といった風情で、一体こんな人達に政治がわかるのだろうかと、そちらの方が心配になる。
 かつて小沢氏は、新人議員に、「国会の仕事よりも、まずは選挙区を徹底的に歩くことが大切だ。次の選挙に勝つことを優先的に考えて行動するように」といった指導を何度も行ってきた。
 しかし、それでは1年生議員は研修生ということか。そんな研修生に高い税金を払うなど全く無駄ではないか。
 様々な人生の経験を重ね、政治家としての勉強も積み、即戦力として国政の場で働ける人が本来選ばれるべきなのだ。これから勉強します程度の人には、高額な歳費(給料)や豪華な議員宿舎等々、諸々の議員特権などを与えるべきではない。
 近年の選挙を見ると、やたら若ければいい、若い女性なら尚いいといった安易な風潮になっているが、本当にそれで良いのだろうか。

 8月24日には、鳩山氏は平野前官房長官と共に、小沢氏との対談を行った。 彼は何度も菅氏続投を明言してきたが、その裏で小沢氏へのご機嫌取りにも忙しい。
 要は、菅氏と小沢氏の間を取り持つふりをし、どちらにころんでも、自分がキングメーカーになれるようにする思惑だったのだ。だから、小沢氏が出馬表明するや、「自分は小沢氏を支持するのが大義だ」と前言を翻して平然と言ってのけた。彼独特のいつもの豹変ぶりだ。
 一方、小沢氏は、出なければ党内の求心力を一気に失うことが目に見えている。ここで決断しなければ自分の政治生命は終わりかねない。なによりも「カネ」の問題で検察に呼ばれているし、検察審査会の決定も抱えている。なんとしても総理になって、特権をもって、全ての疑惑を不問とされることを考えているのだ。

 折から、円高と株安は、益々深刻な状況になって、ついに一時、円は83円台となった。24日夕には、12日に続く2度目の野田佳彦財務大臣の「口先介入」が行われたが、円高を沈めるどころか、逆に失敗に終わってしまった。
 当たり前のことだが、市場は政府や日銀が無策であることを見透かしているのである。
 株価も日経平均で9,000円を割り込んだ。日経平均は輸出関連比率が高いから、円高で輸出企業の業績が悪くなれば、当然のように株価は落ちる。
 今、アメリカやヨーロッパはドルやユーロの通貨安をテコに、輸出主導で景気回復をしようとしているから、確かに協調介入は難しいと私も思っている。しかし、だからといって、何もしなければ、いよいよ手詰まりになるばかりだ。
 かつて小泉政権の時、政府は市場でドルを売って円を買った。円安に誘導する為の巨額為替介入を行い、成果を挙げたという実績がある。勿論状況は違うが、政府や日銀は、何らかの円高対策をスピーディに打ち出すことが重要なのだ。
 菅首相は経済界からの話を聞いて「検討したい」と、今になっても具体的なものに触れずに呑気に語っている。

 民主党代表選挙で頭がいっぱいで、そこまで手がまわらないというのが本音なのだろう。しかし、こんな姿はまさに本末転倒だ。
 代表選よりも日本の今と未来の為にどう対応するのか、生命をがけで働くべきなのだ。
 民主党政権よ、直ちに行動を起こしてくれ。
 野に在る私は、本当にやりきれない思いにかられている。

言いたい放題 第80号 「真価の問われる予算編成」

 いよいよ、2011年度予算に向けて、まず概算要求の季節を迎えた。
 予算案作成は、まさにその政権にとって真価を問われる政治的最大のテーマである。
 かつて、平成5年細川政権が誕生した時、わずか8ヶ月で崩壊した。数々のスキャンダルがあって、それが大きな原因といわれているが、細川政権が挫折した最大の理由は、予算編成が大幅に遅れたことと、その中味が欠陥商品だったからである。

 昨年、民主党が政権を得て、初の予算編成を行ったが、概算要求額の場合実に95兆円を超え、2010年度予算は、結局92兆3000億円という過去最大のものとなった。
 選挙中は野党であって、まさか政権を獲得できると思っていなかったのか、マニフェストであまりのバラマキ宣言を行い、予算が野放図に膨れあがってしまったのだ。
 財源の税収はわずか37兆円、やむなく44兆円に及ぶ国債発行となったが、税収より多い国債という名の借金は、まず前代未聞のことである。
 我々が常に心を痛め、なんとかしなければと努力してきた財政再建など、どこ吹く風といった具合であった。

 さて、その概算要求づくりが大詰めを迎えているのだが、民主党内は今、代表選を控えて党内が2分されるかどうかの瀬戸際で、それどころではない。それでも作業は一応着々と進められている。不思議なことだと思う人も多いが、実は議員に関わりなく、各省庁の役人達の手で黙々と進められているというのが実態なのだ。首相はじめ閣僚達は、全体的な方向は打ち出しているが、実務は別で役人任せ、つまり官僚主導なのである。

 ところで、7月にまとめた概算要求基準は、国債の元利払いを除き、歳出の上限を71兆円とし、各省庁一律に前年度予算を1割削減するというものである。
 一律10%の削減は、一見、なんとも良いような方針だが、よく見ると、ゴマカシ可能な魂胆が見え隠れしている。
 概算要求組み替え基準では、1割を超えて削減した場合は、各省庁の努力を促す為と称して、削減額の3倍までの特別枠の要求を認めるということになっている。いわばボーナスをつけるということなのだ。
 一応、特別枠は、雇用拡大や経済成長に寄与する事業を優遇する為のものなのだが、実は、付け替えで1割カットを骨抜きにしようとする動きが見られるのだ。
 つまり、省庁の役人達の考えは昔ながらに達者で、どこかで1割以上を削り、他の部門で特別枠の3倍要求のボーナスを確保し、これで埋め合わせにしようとしたりするのである。
 例えば、農林水産省の場合、10年度に大幅に削減した農地改良関連予算を特別枠に盛り込んで、これを機会に「復活」させようとしている。
 防衛省では、思いやり予算(在日米軍向)を特別枠に付け替えて、既存予算をその分削減することにして辻褄を合わせるのだ。
 我々自民党政権時代は、いわゆるシーリング(概算要求基準)をつくって、あらかじめ上限を定めて、各省庁の要求に一定の抑えをかけていた。
 鳩山政権ではこれを廃止した為に、予算の歳出要求が大きく膨れ上がった。その為に、今回「概算要求組み替え基準」という新たなルールを作ったのだが、付け替えという、いわゆるゴマカシが生まれてしまったのである。
 国家国民にとって必要なものは、きちんとしたルールに基づいて要求すべきである。小手先だけの下手な細工は、かえって禍根を残しかねないと私は思っている。

 ところで、民主党がマニフェストで主張してきた目玉政策はどうなるのか。
 公約違反で今年は半額であった子ども手当は、来年度は満額の2万6000円を払うということだった。しかし、目下のところ、どうやら断念するようだ。
 もともと財源不足で、最初からそんなことは不可能なことで、これは一般常識であった。
 今年の月額1万3千円にしても、3分の1は地方や企業の負担にさせられていた。話が違うではないかと、当事者から大きな批判の声が上がったが、今年はどうするのか、目下のところは何も示されていない。
 すでに行われてきた米農家の個別所得保障に加え、今度は麦や大豆や更に漁業にまで対象を広げると言っているが、厳しい財源を思えば、かなり無理な話ではないか。
 参議院選挙も終った今、他のバラマキ予算は、例えば高速道路の無料化のように、次々と修正して、知らぬふりを決め込むようである。

 景気対策、とりわけ円高対策等、今一番求められている対策について、一体どのように解決策を立てていくのか、全くその方向性が見えてこない。概算要求に続く、本格的な予算案編成の動きを、我々は自分のことと考えて、しっかり見守っていかなければならない。
 予算編成こそ、日本の今と将来を決定する最大の政治作業である。下世話な(小沢氏の言)党内のゴタゴタを早くまとめて、真剣にまともな予算を編成して欲しいものである。

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