第941回「旧統一教会は私の宿敵だった」

 深谷隆司の言いたい放題第941回

 「旧統一教会は私の宿敵だった」

 前にも書いたが、私は1976年、2度目の選挙の時、鳩山邦夫氏と戦った。この時旧統一教会関連団体「国際勝共連合(1968年創立)」は彼を全面的に応援した。散々迷惑を受けたものである。だからこの団体は私の宿敵で不快感は今も変わらない。

 旧統一教会は1954年韓国で文鮮明が創設した新興宗教である。1964年日本で宗教法人の認可を受けたが、初代会長は立正佼成会の久保木修己で当初は立正佼成会と縁があった。

 1980年以降、高額商品を販売する「霊感商法」や「合同結婚式」が社会問題化した。不安や恐怖心に乗じて献金する信者が多く、今回の事件の背景もここにある。

 当時の世界はいわゆる冷戦時代で、西側諸国は共産革命を阻止するため「反共運動」を展開していた。旧統一教会は「勝共連合」を作り、政策上共通の立場として政治家に接近してきた。

 数ある宗教団体右派の一つだが、憲法改正や北方領土返還など自民党の主張と一致する政策や理念を打ち出していた。

 支援の申しこみや会合への出席依頼なども多く、政治家はその組織票と選挙協力でこれを受け入れるようになっていった。

 はっきり言ってこの団体は明らかな反日で、天皇を侮辱した儀式まである。教祖文鮮明は、日本人は敗戦まで36年間統治していた韓国への贖罪のため徹底的に貢がなければならないと考えていた。だから日本から莫大なカネを吸い上げることは当然とこれを実践してきたのである。

 いま、旧統一教会と自民党の関係が取りざたされて大騒ぎになって、茂木幹事長が多くの議員に接点があることを公表した。しかし、中身を見ると関係団体に祝電を送ったとか、会合に出席したとか、一部の信者に選挙の応援をしてもらったといった程度で大した関わりとは思えない。

 政策面で共通することがあって疑心暗鬼が生まれたようだが、旧統一教会が自民党を操った実体はないし、政策立案のブレーンであったわけでもない。

 信者数公表56万人、創価学会827万人と比べて全く小さく政策に影響するほどの存在ではないのだ。

 一般に違法行為や常識から著しく逸脱した行為が頻発した団体との関係については、公人である政治家は慎重であるべきは論を待たない。茂木氏は「今後一切関係を持たないことを徹底していく」と述べたが、地方議員も含めて関係を断つことは大事である。

 ただ憲法の政教分離の原則は、国家が特定の宗教団体を優遇もしくは忌避しないことを定めたもので、宗教団体の政治活動は認められている点には留意しなければならない。

 旧統一教会はその信仰ではなく、霊感商法や高額献金による破産などの反社会的行為を問題とすべきで、主張が似ているからといって自民党を「断罪」し、安倍元首相の国葬にまで影響を与えようとする一部メディアの論理のすり替えには気をつけねばならない。

 むしろ、これからはオウム真理教が宗教法人法で解散命令に追い込まれたように、旧統一教会についても粛々と法人格をいかにすべきかの議論がなされるべきではないかと思っている。