深谷隆司の言いたい放題第773回

 「大和なでしこ」

 昨日(9月10日)、塾長を務める「温故知新塾」で、武士道精神を1時間半かけて語った。

 最近のテレビなどの報道を見ると毎日のようにスポーツ関係のスキャンダルが流れている。

 暑い盛りの7、8月は話題が少なくテレビなどの世界では夏枯れと言われてきたが、レスリング、アメフト、ボクシング、剣道、体操・・・と、毎回ヒール役が出現して、特にワイドショーなどは大盛り上がりである。

 ちょっとした会見で長尺の映像がタダで手に入り、後は無責任なコメンテーターにしゃべらせる。制作費もかからず、しかも簡単に番組が出来るのだからこんな都合のいいことはない。

 しかし、こうした姿を見ると、日本人の倫理観や道徳観が劣化しつつあるようで本当に残念でならない。

 かつて新渡戸稲造は「武士道」という本を書き、世界的なベストセラーとなった。

 ベルギーの法学者から「日本に宗教がないのに、どうして道徳教育を授けるのか」と聞かれ、宗教の役割を「武士道」が果たしてきたと考え、英文で書き出したのである。

 まだ日本は国際的に知られておらず、日清、日露戦争などから、「野蛮な好戦的民族」と中傷する向きもあった。日本人はそんなものでは無いと、愛国心に駆られ、外国人に向かって、日本の男児の心に宿る伝統的精神を「武士道」の名において書いたのである。

 武士道の3つの実践すべき徳目は義、勇、仁で、サムライにとって卑劣な行動、不正な振る舞いなどは、最も忌まわしいものであった。

 もう一度武士道精神を取り戻さなければならない、私は真剣にそう考え、これからも語り続けたいと思っている。


 同じ10日、テニスの全米オープン女子シングルスで、大坂なおみ選手が優勝するという快挙を成し遂げた。相手のセリーナ・ウィリアムズ選手は、審判の警告に激怒し、審判をののしったあげく、集中力を失って自滅した。観客はウィリアムズ選手に加勢してブーイングを浴びせ続けた。

 表彰式で大坂選手はインタビューで、涙ながらに「みんなが彼女を応援していたことを知っています、こんな終わり方になったことは残念です」と言い、相手選手に「プレーしてくれてありがとう」と頭を下げた。観客は初めて彼女に賞賛の拍手を送った。

 勝っておごらず、惻隠の情で相手を思いやり、ガッツポーズなどしない。そこに日本の武士道精神を見たような思いであった。大坂選手はハイチ出身の父と日本人の母の間に生まれた。

 まさに大和なでしこ、久々に、桜の花を見るような清涼爽快な気分になったのは私1人ではあるまい。