深谷隆司の言いたい放題第726回

 「敗者に思いを」


都議選において自民党は惨敗で終わった。

過去最低の38議席を大きく割り込む23議席、まさに歴史的敗北であった。

私は平成19年の第1次安倍内閣の時に行われた参議院選挙を思い出している。松岡農水大臣自殺、赤城大臣の事務所費問題、久間防衛大臣の「原爆投下しょうがない」発言などが続き、選挙前の内閣支持率は30%前後まで急落、改選議席6437に減らす大敗となった。2ヵ月後に退陣したが、ねじれ現象で政治は混乱し、これが21年夏の民主党政権誕生の遠因となった。

今回は森友学園の国有地払い下げ問題、加計学園の獣医学部問題、豊田代議士の暴言事件、稲田防衛大臣発言、その上、下村都連会長の闇献金問題とまさに泥沼状態で、これではどう頑張っても自民党の勝利はおぼつかない。あまりにも候補者がかわいそうでならなかった。

台東区のいずみひろし君の場合、辻代議士、服部区長、自民党区議団、それに後援会はじめ各種団体と、熱心な態勢で整然とした戦いが出来たのだが、3000票差で惜敗した。「不徳のいたすところです」と本人は言うが、不徳は国会側と私は怒りさえ感じている。「私も何度も苦労した。敗れたときが始まりだ。一緒に頑張っていこう」と励ますしかなく、悲しかった。

中央区の石島ひでき君は、都民ファーストの会に惨敗したが、相手は区議を2年しかつとめていない素人だ。豊洲市場、築地市場問題ひとつとっても、全く役に立つとは思えない。保守王国を誇った中央区、たった1つの自民党議席を失ったことは大きな痛手だ。そもそも都民ファーストの会を中心に強大な小池連合が出来てしまったが、これでは小池知事の追認議会になってしまうのではないか。都民から選ばれた二元代表制、お互いに緊張感をもって激しい議論のなか、初めて良き都政が生まれるのだが・・・。

文京区のなかや文孝君はわずか215票の僅少差で辛くも当選した。夜中11時近く、当選決定の報で事務所は沸いたが、私は区議の諸君に「自重せよ」と戒めた。嬉しい気持ちは私も同じなのだが、色々な背景を思うと手放しで喜んでいるわけにはいかないと思ったからだ。

なかや君は大臣秘書官等、私の元で政治を学んだベテランだ。今後、都議会の中で自民党が埋没しないためにも、彼に期待する面が多い。どうか都民のために正々堂々の発言で存在感を一層増して欲しいと祈らずにはいられなかった。


戦いすんで日が暮れて・・・、空しさは残るが、気分を転換させて、次の仕事に取り掛からなければならない。幻冬舎から出す新刊「それでも すばらしい日本人(課題)」の最終校正、松村先生に依頼されている300号の黄龍の作成・・・、ありがたいことに、私にはやるべき仕事が山積し、休む暇はないのである。