第684回「築地市場移転問題」

 深谷隆司の言いたい放題第684回

 「築地市場移転問題」


831日、小池都知事は117日に予定されていた築地市場から豊洲市場への移転を延期すると表明した。選挙の際、「移転について立ち止まって考えたい」と言っていたが、これに沿った結論で、一部には好評のようだが、現実はそんな甘いものではない。

移転延期の理由として 1.安全性の問題 2.巨大かつ不透明な費用の増加 3.情報公開の不足の3点を挙げているが、23は、今後長期にわたって検討されるべきテーマで、しかも挙げて都庁と都職員自身の問題、そもそも当面の延長判断とは別物なのではないか。

安全性が重要な課題であることは言うまでもない。そもそも、 移転先の豊洲市場の敷地は、かつて東京ガスの工場が操業していた影響で土壌や地下水の汚染が確認され、都は約850億円をかけて汚染物質の除去等を進めて来た。

敷地内約200ヶ所で継続的にモニタリング調査を行ってきたが、これまで7回の調査では環境汚染基準を下回る数値であった。現時点でも、都の担当者は「万全の汚染対策を講じており、調査は念のため行っている。法的にも義務付けられていない」と釈明している。

念のために言うが、今日まで安全性についての一連の発言は全て東京都が行ってきたものである。都民はこれを信じるしかない立場なのである。

気の毒なのは築地市場の関連業者達だ。今日まで東京都の一方的な指示に従って準備を進めて来た。それが、何の前触れもなく、引越し2ヶ月前の突然の延期である。

移転先の店舗の内装工事契約を済ませた仲卸業者、新しい冷蔵庫のリース契約など既に結んでいる業者も多い。この先リースや電気代などに維持費が発生する。延期で契約解除すれば違約金のおそれもある。しかも、結論を出す時期も明らかではないから先行きの不安は尽きない。目下補償の話もない。私の元にも陳情が寄せられているが、彼らの悲鳴にも似た声を聞かせたい。

小池知事は「都民ファースト」というが彼等も都民、一番迷惑を受けている都民ではないか。

現在の市場は80年経過している。発がん性物質のアスベスト建材が使われている老朽化の建物、雨漏りも酷い。安全性、衛生面の不安を抱えたまま引き続き使用することも大問題だ。

都の試算によると豊洲市場は稼動しなくても空調や警備などで1日あたり約700万円かかる。移転が半年後なら12億円の財政負担増になる。関連業者の補償も考えれば、都の負担は広がる一方なのである。 

選手村や競技施設が集まる臨海部と都心を繋ぐ環状2号線建設が五輪開催までに間に合うのか・・・。

小池知事の言動で、これからも起こるであろう混乱を、どうやって解消するのか。「前任者の責任」で済まされる問題ではなく、混乱解消は総て知事の務めなのである。

かつての民主党は、出来もしないことを選挙公約で挙げ、政権を取ってからその無能無責任さで国民から愛想をつかされた。

そうならぬよう祈るのみである。