第652回「甘利大臣辞任に思う」

 深谷隆司の言いたい放題第652回

 「甘利大臣辞任に思う」


 丁度、朝日新聞の社会部記者と懇談中、家内から甘利大臣が辞任しましたと電話があった。直前まで大臣の疑惑についてのテレビ中継が続いていた。私も心配して観ていたのだが、記者との約束を果たすため近所の店にいたのだ。

 甘利大臣は私の現職時代、山崎派に属し、顧問をつとめていた私にとって武部元幹事長、林現大臣と共に、周囲からよき弟分といわれるほど親密な仲であった。

 引退した私に今も盆暮れの挨拶を欠かさない律儀な人で、信義を重んずる義理人情の政治家である。

 平成24年の第2次安倍内閣発足以降、政権の屋台骨として重要閣僚を続けてきた。特にTPP交渉で、世界を舞台にしての活躍は目覚しいものがあった。

私は通産大臣時代、シアトルでのWTO会議の折、あまりに高圧的で勝手な主張を振り回す米国大臣に激怒して怒鳴りつけたことがあったが、彼もそんな場面があって、わが意を得たりと喜んだものである。

週刊文春と週刊新潮をみると全体像がよく分かるような気がする。文春は大臣と秘書への金銭提供の状況を告発者側の主張をそのまま詳細にわたり書いているが、後者は告発者の胡散臭さを克明に書いている。

私の率直な思いは、お粗末極まりない秘書達の行動と、ものを頼む相手に最初から録音や写真を撮るえげつなさへの怒りである。

私の大臣時代を振り返ると、秘書達の行動について常に不安を抱いていたことを思い出す。折りあるごとに「万全の注意を持って対応せよ」と繰り返し、特に金銭について厳しく指導したものだ。しかし、結局は彼らを信じて彼らに全てを任すしかなかったのだ。

大臣として所管の役人たちに囲まれ、国家国民のために寸暇を惜しんで働き続け、自分の個人事務所に寄ることも少なく、まして秘書達の行動をすべて監督把握することなど、ほとんど不可能なことであった。

甘利氏の秘書らは、大臣からきちんと処理するよう命じられても守らず、金銭授受や接待に嬉々として明け暮れていた。万死に値する、断じて許されない。

依頼の側の建設会社も、総務担当者やらの動きも「不快」の一言に尽きる。そんな相手だと見極められなかったことがかえすがえすも残念だ。

「後援会を作ってやる」と言われれば、まずありがたいと受けとめ、相手の身辺をしっかり調べることなど普通はしない。時代は大きく変わったのか、性善説などもはや無いのかと思うと哀しい。  

甘利氏に代わって石原伸晃氏が経済再生担当相になった。彼は自民党都連会長だ。私は最高顧問だが、つい最近選考委員長になって彼の会長再選を決めたばかりである。早速電話で「頑張って欲しい」と激励した。

厳しい時代、日々努力している安倍総理をしっかり支えて欲しいものである。