第651回「施政方針演説について思うこと」

 深谷隆司の言いたい放題第651回

 「施政方針演説について思うこと」


22日の衆参両院における安倍首相の施政方針演説は、聴き応えのある、なかなか立派なものであったと思う。

私は、五大臣を務め、そのたびに施政方針演説作成に関わったが、日本が直面する問題は膨大多岐にわたっていて、これをまとめる作業は容易なことではなかった。

施政方針演説作成の経過をたどると、最初は各省庁の現場から、それぞれの主張や方針を整理した形で文案が出される。これを所管大臣中心に各省庁で精査し、書き加えて上にあげる。最終的には官邸サイドで纏め上げて行くのだが、文章全体が膨大で、どうしても総花的になってしまう。なによりも多くの人の手を経ているから「読み人知らず」といった感じの味気ないものになりがちなのである。

勿論、最終的には首相自身も加わって推敲するのだが、それでも「そつ」は無いが物足りないものになってしまうのだ。

歴代首相は当然自分のカラーをなんとか打ち出そうとする。私の知る限りでは今まででは中曽根首相が自分のカラーを一番出したように思う。

今回の安倍総理の施政方針演説を詳細に読んでみると、今までに無いほど自分の意思が連ねられていて血が通っている。おそらく、相当な決意と決断を持って、かなりの部分を自らの手で書き上げていったのではないか。

「継続こそ力。3年間の内政、外交の実績の上に、今後もぶれることなく、この道をまっすぐ進んで行きます。困難な課題にも真正面から挑戦し、結果を出してまいります」と結んでいるが、是非頑張って欲しいと強く思った。

朝日新聞の社説は相変わらずで、1億総活躍プランで「同一労働同一賃金の実現に踏み込む考え」を明言したことについて、「あれは野党が訴えた政策で、これを主張したことは、参議院選に向けてのアピールだ」と切り捨てていた。憲法改正についても、「今から提起しておくことで参院選での議論の地ならしをする狙いがありそうだ」と書き、「安保法制のときのように、選挙前にあまり語らず、選挙後に数の力で押し通すよりましだ」と皮肉たっぷりであった。

この新聞は、大事な日本のために共に努力しようなどという発想は皆無で、やっぱりどこかの国の御用新聞かと改めて思ったものである。


せっかくの施政方針演説が、甘利大臣の疑惑から野党退席となって精彩を欠くものになったことも、誠に残念でならない。

一日も早く説明責任を果たしてもらいたいと、かつて親しかった先輩の一人として心から願っている。