深谷隆司の言いたい放題 第299号
「石原都知事講演の波紋」

 アメリカ・ワシントン訪問中の石原知事は4月16日、現地で講演して、「東京都が尖閣諸島を購入する」と発言して、今大騒ぎになっている。確かに意表を突く発言だが、大阪の橋下市長の言うように、「都知事らしいですね。普通の政治家では思いつかないこと、石原都知事にしかできないような、そういう判断と行動だと思う」と、同じような感想を私も持っている。
 
 そもそも、尖閣諸島とは沖縄県八重山諸島の北約170キロにある五つの島と岩礁の総称である。
 1895年、どこの国にも支配が及んでないことを確認した上で、日本の領土に編入する決定をした。勿論この時、異議を唱えた国は皆無であった。これは国際法に基づいた決定で、まぎれもなく日本の領土なのである。

 第二次大戦に敗れて、沖縄と共に一時期アメリカの施政下に置かれたが、1972年日本に沖縄の返還とともに戻ってきたのである。
 その後、この周辺に石油資源があることが分かってから、にわかに中国と台湾が領有権を主張し始めた。誰が見ても筋の通らない主張である。
 日本は一貫して、これはまぎれもなく日本の領土で、だから、「領土問題はそもそも存在しない」との立場をとってきたのである。
 
 ところが、近年、この日本の主張も立場も怪しくなってきた。
 2010年9月に起きた中国漁船衝突事件での、菅政権の対応は、全くの弱腰外交で、明らかな領海侵犯であるのに、中国の圧力に屈して、船も船員も直ちに返してしまった。
 その後、隠ぺいしていたビデオで明らかになったが、日本の巡視船に自ら衝突して逮捕された船長さえ、不当にも釈放してしまったのである。この船長は帰国後英雄扱いになったという。
  こんなへっぴり腰で、日本の領土はとても守れない。中国は着々と軍事力を強化し、経済面も含めて強くなっている。よほどの覚悟と勇気を持って事に当たらなければ、じりじりと後退を余儀なくされるばかりである。
 
 この島は、民間人が所有していて、国が借りている形になっている。当初、この民間所有者は手放す気持ちは無かったというが、今は了解しているようである。
 
 私が塾長をしている自民党政経塾を出た中山義隆氏が、実は今、石垣島の市長である。彼は「領土領海を守る上で、個人所有よりは国や県が所有管理する方が得策だと考える]と語っているが、まさにその通りだと思う。

 あの島を都民の税金で買うことがいいのかどうか、これから都議会で当然議論され決められることではある。
 しかし、石原氏が言うように、「尖閣諸島周辺は豊饒な漁場で、自然エネルギー開発でも大きな可能性を持っている。島々を舞台として様々な施策を展開する」と、これが都民と密接につながるものになれば、理解を得られるのではないか。

 玄葉外務大臣は、石原氏が、「今の政府の姿勢では(領土保全は)危ない」と発言したことについて、「全く当たらない」と反論しているようだが、一体どんな根拠があっての事なのか。大見得を切るほどの実績も無いのに、「よく言うよ」といった感じではないか。
 本当は、中国側の反発への不安が見え隠れしているのである。

 一体、これから中国がどう出るか。一石を投じたこの発言に対する動きに、注目したいものである。