深谷隆司の言いたい放題 第298号
「北朝鮮問題、腹の立つことばかり」

 故金日成主席生誕100年、そしてなによりも金正恩新体制発足の祝砲として用意された長距離弾道ミサイルの発射実験が、大失敗に終わった。
 一体、この事態を北朝鮮はどう発表するのか、私は大いに興味を抱いていた。何しろ過去2回の「衛星?」打ち上げに失敗した時も、平気で成功と言い続けた国である。
 ところが今回は、4時間半後にあっさりと失敗を認めたのである。
 よほど自信があったのか、今回の実験に当たって170人を超える記者を各国から呼んで、自由な取材を許していた。おそらく新指導者の寛大さを示すためであったろうが、これがすっかり裏目に出てしまったのだ。隠すことが不可能だったのである。
 国威掲揚の為のミサイル発射実験に失敗して、一体だれが責任を問われるのか、何しろ、オリンピックに出場した選手が負ければ、監獄に送られるという国だ。かなりの制裁が待っているだろうことは疑いの余地もない。恐ろしい国である。

 それにしても、このミサイル発射実験の為に大変な費用が掛かっている筈である。韓国政府の発表を見ると、690億円にのぼると言う。
 北朝鮮の年間輸出額からみて、1年間輸出で稼ぐ分の約56%の巨費を投じたことになる。
 それでなくても国民は慢性的な食糧難、エネルギー不足で塗炭の苦しみに喘いでいる。かかったお金は食糧不足の3年分に相当するとのことだが、それならばこのお金を国民のために使えば、どんなに救いになったことか。
 もっとも、北朝鮮には表に出ない裏経済が存在し、それが軍需産業というのだから、この実験も、彼らから言えば、国家国民の為なのだ。
 
 かつて、アメリカのジョージ・W・ブッシュ大統領は「悪の枢軸」発言で、イラン、イラク、北朝鮮をテロ支援国家と指定した。その後アメリカは2008年になってこの指定を解除した。北朝鮮との核開発を止めるための交渉の故である。
 しかし、北朝鮮は相変わらずの武器輸出国家であり、核開発をちらつかせては、交渉を有利にしようとの魂胆は見え見えで、危険国家であることに変わりはない。
 今度の打ち上げ失敗で、急いで交渉力を回復させなければならないから、さらなるミサイル発射や、核実験を一層進める危険がある。
 ヒラリー・クリントン国務長官は、再指定を検討すると言っているが当然のことである。

 国連安全保障理事会は緊急会議を開いたが中国が慎重で、非難決議や制裁決議がなかなか難しいようである。事務総長は非難声明を出したが、それだけでは国連の役目を果たしたことにはならない。
 私は、昔から国連は無能力、と言ってきたが、今大事なことは国際世論を喚起させることと、具体的制裁を含む強い対応を各国に取らせることだと思う。
 こういう時こそ、日本は外交政策で活躍しなければならないのだが、残念ながらその意欲も力もない。
 民主党の外交担当最高顧問があの鳩山氏で、イランにまで出かけて世界の顰蹙を買うのだから話にもならない。
 腹の立つことばかりの毎日である。