深谷隆司の言いたい放題 第297号
「弾道ミサイル失敗と日本の教訓」

 13日の朝から緊張が走った。
 最初は韓国から、北朝鮮の人工衛星と称する長距離弾道ミサイルが発射されたという報道で、ほとんど同時にアメリカからも同様の発表があった。
 その時の日本は「まだ未確認」とあったから、又、後手に回っているのかと腹立たしかった。 
 結果的には、発射はされたが失敗であったとのニュースが流れ、なにはともあれ、よかったとほっとしたのである。
 肝心の北朝鮮からは、目下の時点(12時現在)で何の発表もない。国家の威信をかけての結果だからなんと言い訳をするのか、今から楽しみである。

 北朝鮮は、4月12日から16日までの間に、金日成主席生誕100年にあわせて人工衛星を打ち上げると発表していた。
 日本は勿論、韓国、アメリカは激しく非難したが、今回は友好国中国やロシアまで警戒感をあらわにして非難した。
 北朝鮮が弾道ミサイル技術を磨くその先には、まぎれもなく核弾道ミサイルの開発があるからである。
 数千キロもの射程距離を持つ核弾道ミサイルは、日本や韓国は勿論、アメリカ海兵隊の基地があるグアムまで届くのだ。

 万が一、不測の事態が起こった時、日本は大丈夫なのかという心配があるが、残念ながら備えは日本には無いと言わざるを得ないと私は思っている。
 あの小沢一郎氏が、「危機管理の仕組みが日本には全く定められていない。何日もかけてPAC3(地対空誘導弾パトリオット3)を沖縄に持って行ったようだが、そういう事態は予告なしにくる。何日もかけて運ぶなんてナンセンス。日本政府は、しっかりとした自らの意見も政策も打ち出せてない」と言ったというが、これは私と同意見ではある。
 ただ、「あんたも政治家なのだから、それをやらせる責任があるだろう」と思うのだが・・・。

 それにしても、こんな大変な時に、よりによって田中直紀防衛大臣では話にならない。
 一応、野田首相を議長とする安全保障会議(私も国家公安委員長時代メンバーであった)の決定に基づき、田中大臣は「破壊措置命令」を出した。
 ただ、「迎撃ミサイル発射の判断は、現地指揮官に任せる」ことにしたことは、大きな問題として残ると私は思っている。
 要するに責任回避だ。国家存亡の危機に、少なくとも、「全ての責任は俺がとる」という防衛大臣の決死の覚悟が伝わってこない。シビリアンコントロールの決意が全く見られないのだ。

 もっとも、迎撃ミサイルを打って当たらなかったら、日本の防衛力の足元が見られる。しかも、その後の対応を想像するに、政府はただ右往左往するだけであったと思う。
 北朝鮮のミサイル発射が失敗に終わって、日本が醜態をさらけ出さないだけでもよかったといったところか。
 この機会に、国の守りについて政府は真剣に取り組まなければならない。与野党を問わず、国防態勢を整える為に真摯な協議を重ね結論を出す必要があると強く思っている。
 それにしても、後継者、未熟な金正恩第一書記の動向は一層目が離せない。