第295号「南京大虐殺は本当か その5〜証拠写真を検証する〜」

深谷隆司の言いたい放題 第295号
「南京大虐殺は本当か その5〜証拠写真を検証する〜」

 2005年2月8日に草思社から出された「南京事件 証拠写真を検証する」は、是非多くに人に読んでほしい貴重な書である。
 著者は東野修道氏(亜細亜大学教授、日本「南京」学会会長)、小林進氏(南京事件研究会会員)、福永慎次郎氏(南京事件研究会会員)である。
 南京大虐殺を主張する人たちは、その証拠として数々の写真を提示してきた。
 彼ら南京事件研究会写真分科会は、その関連写真を延べ3万点以上見て、その中で証拠として使われている写真143枚について徹底した検証を行ったのである。3年の歳月をかけた公正かつ画期的な研究だと私は思っている。
 
 一般に、当時の南京の写真は、虐殺を主張する不幸なものばかりと思われているが、12月17日、日本軍入城以降、主に日本人特派員によって撮影された写真も多く、陥落後の様子がどんなものであったか、その一端が伺える。
 昭和12年12月21日付の東京朝日新聞は、「抗日のお題目忘れた南京市民」、「日ごと深まる親密さ」との見出しで、早くも平和が蘇る南京の様子を、如何にものんびりした筆致で書いている。
 日本軍の入場している写真から、子供たちに囲まれて日本兵がお菓子を配っているもの、環境に順応していく支那人の様子など、大虐殺とは無縁の写真が数多く載っている。
 昭和13年1月27日の「朝日版支那事変画報」には、日本軍の手厚い保護を受ける「支那負傷兵」の写真もある。いくら統制されていたとしても、日本のマスコミが、こんないい風景だけを沢山選んで映し出すとは思えない。
 これらの南京市内の穏やかな風景のどこに、南京陥落からわずか6週間で30万人殺したなどという話が出てくるのであろうか。

 一方、大虐殺の写真だが、圧倒的にねつ造されたものが多い。
 アメリカの写真雑誌「ライフ」が、1937年(昭和12年)10月4日号で載せた「爆撃後、泣き叫ぶ幼児」の写真は有名だが、アメリカの世論に強烈な印象を与え、これで日本軍への非難が一気に高まったと言われている。
 しかし、この写真は南京でのものではなく、第2次上海事件さなかの、8月28日、上海南停車場のものであることが判明している。
 この写真と全く同じものが、フランク・キャプラ監督のアメリカ宣伝映画「バトル・オブ、チャイナ」にも出てくる。なんとそこには、大人の男がホームから子供を抱え線路に移動させている場面まである。
 又、記録映画ビデオ「激動・日中戦史秘録」には、この幼児の傍で発煙筒が煙を出し、幼児が振り向いた場面まで映っているという。
 激しい爆撃の後、線路の上で泣き叫ぶたった一人の幼児、一体、どうしてここに幼児がいるのか、誰がそんな光景を撮ったのか。なにをどう考えてもおかしいことばかりではないか。
 実は世界的に知られた写真家中国系アメリカ人H・S・ワンが撮影したもので、明らかな偽造写真、作り物だったのである。

 本田勝一「中国の日本軍」では、日本刀による斬殺写真が載っている。日本兵の残虐さを示すものとして使われていて、これも有名である。
 しかし、よく見ると、刀を持つ軍人の左足が前に出ている。首を切るとすれば右足が前に出てなければならない。
 私もいささか武術の心得があるが、このまま刀を振り下ろせば自分の足を切ってしまうのだ。
 そもそも、この本に出てくる軍人たち、彼らの服装は日本軍のとは違うのだ。連続写真である筈なのに、影の方向がそれぞれ全く違う。明らかのおかしいことばかりである。合成写真と判断を下しているが、その通りであろう。
 同じ本田勝一の「中国の日本軍」に、農民婦女が一団になって日本兵と歩む写真を載せ、「婦女子を駆り集めて連れて行く日本兵たち。強姦や輪姦は7、8歳の幼女から、70歳を越えた老婆にまで及んだ」と説明している。
 ところが、平成10年になって、実は昭和12年11月10日号の「アサヒグラフ」に載っているものと同じ写真であることが分かった。
 写真説明は「わが兵士に守られて、野良仕事より部落へ帰る日の丸部落の女子供群」とある。他に3枚の写真もあって、「子供たちの自然な笑顔」、「部落民の嬉しそうな顔」、「うららかな秋日和の中で綿を摘み取る日の丸部落の人達」と説明されている。写真説明を一つ変えただけで、全く意味が反対になる。
 これを見れば、日本兵の悪行どころか、逆に善行が示されているのである。

 この本は、まだまだ多くの具体的例を挙げている。服装も背景も冬の南京にそぐわない。エキストラを総動員して海外向け戦争プロパガンダを展開したに違いない。
 現在では、発掘された国民党宣伝部の極秘文書で明らかになってはいるが(中国は無視、あるいは知らないふり)、抗戦用写真が外国人名義で全世界の新聞雑誌に出るように、国民党宣伝部が必死に努力し、成功したということなのだ。
 高山正之氏が、「米国人が意図して創った」と喝破したように、この宣伝に真っ先に飛びついたのが、シカゴ・デイリーニユーズやニユーヨーク・タイムズの特派員たちで、「ライフ」の名前も出てくるのは勿論である。
 この本の結論は、あらゆる写真を検証した結果、大虐殺を証明する写真は一枚も無かったということなのである。

 読めば読むほど、心は重くなるばかりで、私もいささか疲れた。
 こんなねつ造された戦争プロパガンダの写真によって、いつまでも日本が敵視されてはかなわない。なによりも日本人自身が、このことによって自虐的になっていることを残念に思う。特にこれからの日本を担う子供たちの事を考えると心が痛む。
 戦争を肯定するのでは断じてなく、むしろ再び戦争の愚かさを繰り返さないためにも、我々は勇気をもって、真実を語っていくことが必要なのではないだろうか。

 中国に対しても、今までのように、ひたすら頭を下げ続けることでは何も解決しない。むしろ、中国の国内事情を思えば、卑屈に対応すればするほど、絶好の日本批判の種として、この問題が執拗に繰り返し利用されるだけではないか。
 そんなことより、双方の学者を交えて、歴史の事実をきちんと検証してゆくことこそ大事なことではないかと私は思っている。

 いずれにせよ、「南京事件 証拠写真を検証する」を、是非、一人でも多くの人に読んでもらいたいと切望して「まとめ」としたい。