第284号「正則学園高等学校卒業式」

深谷隆司の言いたい放題 第284号
「正則学園高等学校卒業式」

 3月5日、朝9時からの卒業式に出席した。
 私はもう40年近くこの学校と関わり、理事、後援会長になって30年にも及ぶ。今は塩澤一彦理事長だが、亡くなった先代の伊作理事長からのお付き合いである。何よりも気に入っているのは、数少ない男子校で、質実剛健を旨としているからである。
 私の好きな言葉の一つは「らしくあれ」ということだが、近頃の世の中、男らしくとか、女らしくとか、親らしくといった言葉は死語になってはいないか。男は「男らしく」育てたいものだが、この学校の校風はまさにそこにある。「日本人らしく」の教育で、どんな時でも、国旗を大切にし、国歌は必ず式典で斉唱する。こんなことは当たり前の事なのだが、その当たり前が通用しなくなっているのだ。
 明治29年創立で、政治家では第55代内閣総理大臣石橋湛山、詩人では西条八十、石川啄木、歌人斉藤茂吉、など錚々たる人達を輩出している。
 
 2003年、神田錦町の校舎を新築した。2007年からは、今時珍しい詰襟が制服である。学問は勿論だが、体育にも力を入れ、剣道、柔道をはじめハンドボールなど様々だが、特に野球では甲子園に出場している。文化活動も活発で、近頃はビックバンド部が、各ジャズ大会に出場しゴールド賞を獲得している。台湾やニユージーランドの高校と姉妹校になっていて、研修旅行を実施し、国際感覚を身につけさせている。
 なんだか学校案内のようになってしまったが、要は私が自慢の学校なのである。
 
 今回の卒業式では、晴れ舞台だからと、塩澤理事長の肝いりで、全卒業生に直接卒業証書を舞台で渡すことになった。私も壇上で卒業生の様子を心に刻むようにして見守っていた。
 過日、孫安希与の卒業式で聖心女子学園に行ったが、ここでは卒業生が終始泣いていて可憐だった。しかし今日は泣く子はいない。
 答辞で立った子は、挨拶が終わると竹内校長に「握手をしてください」と、両手で固い握手を交わしていた。私の方が、じーんと胸を熱くしていた。卒業生の内、3分の1近くが皆勤賞だが、その賞状は生徒と保護者宛てになっていた。

 私は恒例で挨拶に立ったが、「今の時代は、政治、行政、経済ともに悪く、その上、自然環境も最悪だが、こうした状況を乗り越え、立派な日本を創るのは君達だ。体を大切に頑張ってくれ」と短く、しかし、力一杯の声で檄を飛ばした。
 この子たちが、存分に活躍できるような社会をつくらなければと、心のなかでひたすら祈っていた。