第268号「皆に励まされて」

深谷隆司の言いたい放題 第268号
「皆に励まされて」

 1月23日、中央区の自民党区議団のメンバーが私を招いて新年会を開いてくれた。
 二年前、政権交代の嵐の中で、都議会国会とも惜敗したが、昨年の地方統一選挙では、13人の自民党候補者が全員当選し、保守王国の牙城をいささかも揺らぐことなく守ってくれた。議長もわが党の石田英朗君である。
 この中には、深谷政経塾や自民党政経塾で学んだ人が何人もいて、冷たい小雨の中、店の入り口で私を迎えてくれ、帰りは全員で送ってくれた。
 私は、とても恵まれていて、どこへ行っても同志たちや、特に塾生や弟子たちが丁重に迎え、世話を焼いてくれる。
 そんな場面を見て「今時、珍しい光景ですね」と何度も言われて、秘かに喜んでいるのだ。
 新年会が多くて、どこの会場でも長くいられない。今日だけは最後まで居てくださいと念を押されて、あらかじめ他の会に顔をだし、後は終わりまで腰を落ち着けることにした。
 「痛飲三斗」と言うがまさにその通りで、注がれるまま、ぐいぐいピッチを上げた。談論風発、愉快な話題で尽きない。
 途中で原田賢一幹事長が立って、「今の政治の状況を見るとどうしようもないほど最低だ。ここはお疲れかも知れないが、どうしても深谷先生に出馬してもらいたい。この現状を何とか変えて安心できる日本にして欲しい」と大声で訴えた。
 ベテラン議員の押田まり子さんや鈴木久雄さんも手を叩き、「全員で力一杯やります」と、誓いの乾杯を何度も繰り返してくれた。
 色々の意見もあろうし、一体いつ選挙になるかもしれず、「何が何でも出るのだ」といった若い頃のがむしゃらな心境はない。むしろ、淡々とした心で暮らしていたから、どう答えていいのか、戸惑い、複雑な思いであった。
 しかし、彼らの一途な願いに感動し、涙が出るような嬉しさであった。
 どのようなことになるのか、いずれにしても天の命ずるままに生きようと思った。
 そして、たとえどのような立場になろうと、この人たちの気持ちを忘れずに、この国の為に、この地域の為に、この命の尽きるまで働こうと誓った。

 ちなみに、会場になったのは、新川の「香取鮨」だが、今から四十年前、初めて衆議院選挙に出る為に、中央区で選対会議を開いた場所である。
 今はこぎれいな建物に代わって二代目三代目が奥さんと共に頑張っていて、味の評判もいい。熱心に応援してくれたご両親はすでにいない。
 なにしろ知名度も後援会の地盤もなかった頃であったから、集まりも悪くて、せっかく来てくれた有力者宅間町会連合会長さんが、「これではやりようがない」と立腹する始末であった。この方もかなり前に逝ってしまった。
 その選挙は自民党の公認も得られず「無所属」であったが、無事当選を果たし、あれから長い私の政治家としての歴史が続いたのであった。

 ああ、時の流れはなんと早いものなのだろうか。
 楽しく、ちょっと寂しい、感慨無量な一夜であった。