第266号「新春に思うこと」

深谷隆司の言いたい放題 第266号
「新春に思うこと」

 1月は新年会で忙しい。昔ほどすべてに出ている訳ではないが、それでも連日だから大変だが、こんな時しか会えない人も多いいから出来るだけ頑張ろうと思っている。
 
 昨年の暮れから、10冊目になる本を書いている。
 いつも夢中になるたちだから、目覚めが早い時など朝4時から書き始めたりしている。
 一旦書き始めると時の立つのを忘れて、会合以外の時間は、ほとんどすべて書斎で過ごしてしまう。1日10時間以上も座りっぱなしのこともあった。腰も痛くなる。
 
 昨年12月、有名な作家門田泰明先生ご夫妻と食事をした。実は、何度もお誘いしたのだが、なかなか時間が取れなかった。忙しいからと言われたのだが、私から見れば、小説を書く手を少し休めればいいのにと思ったものだ。
 しかし、実際にこうして本を書き出すと、夢中になって書き続け、少しの時間も惜しくなってくる。
 新年会の時間が来ても、もう少しと粘って秘書を困らせている。今になって作家の心境がよく判るのだ。
 門田氏は腰痛にも苦しんだと聞いたが、これはいわゆる職業病であろう。
 してみると、今私は作家なのか。しかし、そうはいっても、このような暮らしを何年も続けられるかと考えたら、それは到底出来ないことだ。
 改めて小説家の苦労と大変な仕事ぶりに感心したものである。

 ところで話は変わるが 大震災の後だけに、被災地は新年会どころではないようだ。
 とても「新年おめでとう」という言葉を使うわけにはいかない。そこでみんなで相談して、「新年、有難う」と言うことにしたと、かの地の人から聞いた。
 なんという素敵な言葉であろうかと思った。
 あの厳しい災害の中で、東北人らしい粘りと逞しさを私達に見せてくれた。そして、誰も恨まず黙々と復興のために努力し続けている。
 彼らに寄せられた国内外の温かい支援に、ひたすら感謝して、「ありがとう」と素直に応える朴訥な人々に、むしろ私の方こそありがとうと言いたいくらいである。
 「絆」と言う言葉が定着したようだが、大災害の後、家族のありがたさを多くの人々は知った。地域との連帯の大切さも教えられた。そしてみんなでこの国を支え復興させようと思うようになった。
 世界の人々が礼儀正しい日本人の姿を見て絶賛している。確かに外国では、災害時、争って物資を奪い合う光景がしばしば見られる。日本人の場合、今回もそうだが略奪や暴動の類はない。
 戦後、経済の発展の陰で、道義が乱れてしまったように見られたが、まだまだ捨てたものではない。日本人の道徳観や連帯感はしっかりと根付いていて、このような国難の時、はっきりと目覚めるようであった。こうした日本人の美しい心を定着させる事こそ、私達の責任だと強く思った。
 さて、パソコン打ちはこのくらいにして、又、原稿書きに戻ろう。