第263号 「菅前総理と会う」

深谷隆司の言いたい放題 第263号
「菅前総理と会う」

 1月6日、東京都健康保険組合の新年会に出席した。東総協と東振協と呼ばれる団体だが中小企業を中心とした85の健保組合で、被保険者数425万を数える大きなものである。
 かつては極めて順調に推移してきたのだが、2008年度より実施の高齢者医療制度が始まり、過重な負担金もあって巨額な赤字計上となって、今や財政危機に陥り大変な苦労を強いられている。
 
 かなり前からこの団体の来賓は、なぜか私と菅直人氏であった。数々の大臣を務めたから当然私が上座であったが、近頃はこちらが無冠で彼はなんと総理大臣、政権交代の故とはいえ立場は逆転している。
 この日は私が最初に来ていて、後から彼が来た。
 来賓祝辞の段になって、主催者側が気を使い、「お出でになった順にご挨拶を」と言って私を指名しようとしてくれた。
 私は、「いえ、どうぞ菅さんからお先に」と言うと司会者は戸惑いながらも菅さんを指名した。
 演壇に立った彼、「先に深谷先生が来ておられるのにご厚意で譲っていただいた。深谷先生、ありがとうございます」と丁寧な言葉、おまけに挨拶が終わると、かなり離れている場所にいる私のところまで来て、「ありがとうございます」と握手を求めてくるではないか。
 今度は戸惑うのが私の方であった。
 彼は、いつも普通の応対ではあったが、そんなに丁重な態度をとる人ではなかった。やっぱり、総理として苦労して人間が変わったのかと驚かされた。
 今、私は3月の終わりか4月に出す予定の次の本を執筆中で、丁度、菅総理時代の問題点を、かなり辛辣に書いているところである。
 これでは筆が鈍るなと、ちょっと困った。

 次に私が挨拶に立って、「私は一昨年、旭日大綬章を拝受しました。皇居で、まず天皇陛下から勲章を直接賜り、勲記は菅総理から渡されました。
 今日、彼に順番を譲ったのは、その時の義理を返したのです」とやって大うけであった。
 この組合は財政赤字を解消する為に、昨年、保険料率を大幅に上げている。積立金を取り崩してもいるのだが、とても対応できる状態ではない。
 菅総理も挨拶の中で、「消費税を上げて対処するしかない、野田総理もこの件だけは譲れないと強く言っていた」と述べていた。
 少子高齢化が進む中、増え続ける高齢者医療費をどう負担してゆくのか、これはもっとも重要な課題である。
 現在、後期高齢者には、公費が5割投入されているが、前期高齢者(65歳〜74歳)にも投入することが必要であろう。
 増え続ける医療費の適正化対策を早く講じることも大切だ。
 我が国が誇る国民皆保険制度を維持してゆくためには、やはり、今進められている社会保障と税の一体改革は避けて通るわけにはいかないと私も思う。
 「ただし、その前に、いや同時でもいいが、国の無駄をとことん排除していかなければならない。
 この前、自民党の大島副総裁にも直接言ったが、まず国会議員の数を大幅に減らすべきだ。無駄な役にも立たない議員が近頃、ごろごろいるではないか。
 衆議院では定数480人だが、直接選挙区の300人にしたらいい。参議院も当然減らす。その後に公務員の大幅削減を断行すればいい。自ら痛みを分かち合わずにことを進めるのでは、公務員の、ましてや国民の理解が得られる筈がない。
 消費税を社会保障目的税として引き上げて、安定財源として確保するためには、まずこのことが先決ではないか。
 私が、今現職なら、議員提案でも何でもして、こうしたことを実現させるのだが・・・」
 久しぶりに、思わず挨拶に熱が入るのだった。

 新年会は大変だが、色々なことがあって参考になるし、それだけに面白い。
 また、頑張って回り続けるか・・・。