第259号 「金総書記死去の対応の稚拙さ」

深谷隆司の言いたい放題 第259号
「金総書記死去の対応の稚拙さ」

 今年は東日本大震災に始まって波乱にとんだ年だったが、最後に北朝鮮の金正日総書記の死去で終わるとは思っていなかった。
 このところ、各地を視察する報道が流れ、健在ぶりをアピールしていただけに突然の病死には驚かされた。さっそく謀殺説まで流れた。まさかそんなことはあるまいと思いつつも、でも、あの国だから何でもアリかと考えてしまう。

 1994年、金日成が死去したが、以来金正日が国の指導者として君臨してきた。
 独裁体制を敷き、父と同様、自身を神格化させ、社会主義国としては前例のない権力の世襲をしたのである。
 この国では、金正日に絶対の服従を強いられる。彼に対する忠誠心が求められ、これに反する者は躊躇なく投獄される。
 17日に死去し、2日後に正式に発表されたが、大泣きの人々の姿が何度となく報道されていた。我々の常識を超えた異常な激しい泣きっぷりには驚いたが、こうした反応を態度に出さないと、忠誠心の無さが問われ弾圧されること必定なのだ。そう考えるとあの芝居がかった泣き方が納得できる。

 北朝鮮から逃げ出してきた、いわゆる脱北者から、ベールのカーテンに阻まれて何も見えなかったかの国の実態が垣間見える。
 大規模な援助をしてきたソ連が崩壊して以来、災害も相次いで、餓死者が出るほど国家経済は困窮した。90年半ばからひどい状況は変わらず、2005年から復活を目指すが一向に好転することは無かった。
 2400万人の国民のうち、穀物の配給制度の恩恵を受けている人は平壞市民と軍人の一部の400万人程度といわれている。いつも100万トン前後の穀物が足りず、外国の支援なしにはやっていけない国なのである。
 09年、デノミネーション等、愚かな政策を行ったが、インフレを抑える事も出来ず大失敗に終わっている。国民総所得は韓国の39分の1と言うのだから、想像できない困窮ぶりである。
 そんな中、贅沢三昧に暮らすのが金正日一族と軍など国の要人たちなのである。

 北朝鮮による大規模なテロや国家犯罪は枚挙にいとまがないほどである。
 1983年10月、ミヤンマーを訪問中の全斗煥大統領一行は地雷によって21人が爆死、47人が負傷した。幸い大統領は到着が2分遅れて難を逃れた。いわゆるラングーン爆破テロ事件である。
 例の金賢姫が起こした大韓航空機858号の爆破事件では乗客乗員115人が亡くなった。
 前にも書いたが、そんな犯人金賢姫を恩赦されたとはいえ、日本に招いて手厚くもてなした民主党中井バカ大臣がいたのだから恥ずかしい。
 日本人拉致事件など腹立たしくて、今更言いたくもないが彼らの悪行の一つである。
 にせ札製造(スーパーKと呼ばれる精巧なもの)から麻薬や武器輸出(スカット・ミサイルやテポドン等性能がいい)、果ては核兵器製造をちらつかせて援助を求める厚顔さで、世界中に紛争と火種をまき散らしてきた。

 こんな国の独裁者の急死、後継者が28歳の金正恩と言う若造(失礼)だけに、これからどう動くか全くわからない。軍を含めて彼が完全に権力を掌握したとは考えられないだけに不安である。

 万が一、多数の難民が日本に流れて来た時はどう対応するのか、その数20万人にも及ぶと予測する人もいるが、民主党政権は、そんなことは考えてもいない。
 今度の金正日死去という一大有事にも官邸はほとんど動かず、無能ぶりが目立った。
 午前10時に北朝鮮が「重大発表をする」と予告しているのに、新橋で街頭演説をするために出かけ、死去の報道が出てから慌てて戻るという醜態をさらした。蓮舫大臣など、そんなことも知らずに会場で愛嬌を振りまいていたというのだからあきれる。
 正午の発表なのに何のコメントも出さず、やっと6時25分、ぶらさがり記者会見でコメントを言う始末であった。
 あらかじめこうした事態を察知しなければならないのに、玄葉光一郎外務大臣は、何も知らぬまま、のんきに訪米中であった。

 あらゆる意味で、今、日本は危機的状況を迎えている。
 政府は反省を含めて、国家国民を守るために、ともかく全力を尽くしてほしものである。