第255号 「東国原フグ毒事件」

深谷隆司の言いたい放題 第255号
「東国原フグ毒事件」

 11月10日の夜、フグ中毒に当たったという女性の事件が報道された。私はフグ大好き人間で、その上、かつて浅草フグ組合の顧問もしていたから、今時ふぐに当たるなど、一体どうしてと大いに興味を持った。
 
 事件を起こしたのは銀座の老舗「ふぐ福治」で、ミシュランで3年連続二つ星を獲得した有名店である。(私は元々ミシュラン不信論者だが)
 日本では都道府県の条例や食品衛生法で、調理師に対して有毒部位の提供を厳しく禁じている。肝をはじめ様々な部位に含まれているテトロドトキシンは猛毒で、呼吸麻痺して死に至るケースも多く危険なのだ。
 当然のことだがこの店の調理師の免許は剥奪された。刑事告発されたから警視庁も捜査に乗り出したが、話題としてはこれで一件落着かと思っていた。 

 ところが、この肝を注文した客が、なんと宮崎県知事を務め、過般は東京都知事選挙にも出馬した東国原英夫氏だとわかって俄然大きな話題となった。
 それも町でナンパして連れ込んだ女性が被害者になったというのだから、お笑いではないか。
 ふぐの毒で口をピリピリさせて飲むのが「通」と言いながらであったと聞いて、如何にも彼らしいと思った。
 本人は大分県では肝を出すと、得意になっていたというが、ここも勿論禁止されていて事実ではない。
 九州の知事をかりにも務めた人の発言とは思えない。もっと言えば、そもそも本来、知事になれるような人物ではなかったということなのである。
 落選したからよかったようなものだが、それでも都知事選挙で約170万票も集めたのだからあきれるではないか。

 近年の選挙では、ろくに役にも立たない人が、ただ若いとか、ちょっと名が売れているというだけで当選する場合が多い。現在の国会議員の顔ぶれを総点検してみれば一目瞭然だ。
 永年政治一筋に生きてきた私から言えば、年々、政治も政治家も安っぽくなっていくようで何とも空しくてならない。
 どんな選挙であれ、有権者がもっと真剣に人物を選択していかないと、政治はますます悪くなる一方だと思う。

 週刊誌等では、被害を受けた女性とのやり取りが面白おかしく書かれていた。そんな中身はどうでもいいのだが、その後の彼女のセリフが面白い。
 「あんなおじさんとは二度と関わりたくありません」と言ったという。少し気付くのが遅かったようだが、率直な思いであろう。
 
 次の衆議院選挙に出ようかと、東国原氏は言っているようだが、「あんなおじさんには二度と関わりを持ちたくありません」と有権者は思うのか、そこのところが分からなくて、私の心配はつきないのである。