深谷隆司の言いたい放題 第245号
「合宿その後」

 TOKYO自民党政経塾の合宿が終わってから、何人かの塾生から感謝のメールや連絡がきた。
 何れも「素敵な時間を過ごせた」ということで、改めて合宿の成果を知らされて嬉しかった。
 今の時代、130人を超える大所帯の研修合宿など、経験したくても、まずないであろう。わが政経塾の6年間に及ぶ試みが、次第に実を結びつつあるようだ。

 そのメールの中から一通、掲載してみる。本人の承諾は得ていないが、受けとった私がいたく感動し、是非、他の人に伝えたいと思ったからである。


ーーーー本文を掲載(原文を一部変更)ーーーー

 「東京自民党政経塾6期生のHといいます。初めてではありますが、今回の熱海合宿に参加させていただきました。
 多岐にわたる分野で多くの先生方から専門的な講義を受ける機会を設けていただき誠にありがとうございました。
 私はGグループの発表者として壇上に上がったのですが、これはおそらく一生忘れることのできない本当に貴重な経験をさせて頂いたと思っています。
 メモをして準備をして壇上に上がったのですが、いざその場に立つと頭の中がパアーっと真っ白になり何もかもが吹き飛んでしまいました。国旗に礼をするという、当然の事も出来ませんでした。
 普段、なかなかお話しする機会もなくおそらく面識も乏しいであろう深谷先生から帰り際に「良かったよ」と言われた一言が僕にとっては意外で(一学生の顔を覚えていてくれていたのが意外で)、今日になった今でも深く心に残っております。
 あの4分間は言葉では言い尽くせないほど大変勉強となる貴重な経験となりました。
 発表の間、深谷先生が以前お話しした「聞く人は、壇上に上るまでの仕草や態度も見ている」と言う教えは意識していたのですが結果的に国旗に対する礼を欠くなど不十分な結果となってしまいました。実践する難しさを実感いたしました。この経験を次に繋げたいと非常に強く思っております。
 年内の政経塾はもう無いのですが、また来年、先生の講義を受けられると思うと楽しくて仕方ありません。先生には今年一年間、教えを頂きまことに有難うございました。

 先生、良い年をお迎えください。」

ーーーー以上ーーーー


 この塾生は8班に分かれて行ったディスカッションの「まとめ」で、登壇した代表の一人で、勿論よく覚えている。
 代表者8人全体に言えることだが、私が思っていた以上に態度、内容などいずれも立派であった。
 4分間という短い時間内で1時間に及ぶ議論の内容を話すことは元々難しいことだ。よほど真剣に、まとめる努力をしなければ出来ないことである。

 一般に、人前で話をするのを安易に考える人が多い。そのくせ「どうもうまく話せない」などと言う。
 相手は貴重な自分の時間を提供して、何かを得ようと期待しているのに「いい加減に」、「適当に」語るなど許されることではない。
 私の場合は、政治家であるという自覚を以て、どんな時でも「話すこと」に真剣勝負で臨んできた。
 大臣時代の答弁は勿論、代表質問の時など、どれほど内容を徹底吟味し、何度も原稿を書き推敲したことか。
 東洋大学で客員教授をしていた頃など、学生以上に予習復習三昧だった。大学院で博士号を目指す学生達に、どんな些細な事でも誤って教えることなど絶対に出来ないからだ。
 最近は講演も多いが、未だに話すことの難しさを感じ、時には、引き受けなければよかったなどと考えたりする。
 政経塾でも同じで、講義の内容に手を抜くなどは絶対にない。必ず原稿を書いていて、極端な場合は何処で笑わすかまで検討し準備している。飽きさせずに語ることは特に大事だからである。
 塾生には、いつもそんなことを伝えてきたが、合宿での代表者の話しぶりは、私の教えをしっかり守ってくれていて感激であった。

 それにしても、このメールでもわかるように、わが塾生はなんと真面目で素直で謙虚なのであろうか。
 女房も「こんな素敵な良い人がいるのですね」と感心していた。
 「いや、うちの塾生はこのような人ばかりさ」

 私の鼻は一層高くなるばかりであった。