第241号 「年金問題での不愉快な投書」

深谷隆司の言いたい放題 第241号
「年金問題での不愉快な投書」

 朝日新聞の投書欄に、67歳の社会福祉士と称する人の意見が載っていたが、何とも不愉快な内容であった。
 80歳の高額年金削減に賛成として「一般に年齢が高くなるにつれて支出も少なくなり、生活にさほど多くの資金を必要としなくなるものです。結局、年金が高齢者の預金となって社会に循環しなくなるのは問題です」といかにもしたり顔で書いていた。
 一体、高額年金と言うが、食べて暮らしてなお預金までするほど高額だと思っているのだろうか。
 しかも、なお続けて「親の年金をあてにして子が就職しないケースもありますし、親の死亡を隠して不正に年金を受給して生活する不心得者まで出ています」と書いている。ダメな子は確かにいるが、それは年金とは別の話、まして、不正受給者は犯罪行為、これを放置してきた行政の怠慢をこそ批判すべきで、ピントが狂っているとしか思えない。
 さらに「使って社会に還元しないような必要以上の金額を80歳以上の高齢者に支給することは、年金の目的からも問題です」と書いている。こうなると、この人は高齢者に憎しみでも抱いているのかと勘繰りたくなる。
 ご本人も67歳、もうあんたも高齢者なんだよ!
 こんな、愛の心の無い人が社会福祉士と言うのだから、日本の福祉は三流以下、まったくやりきれない話ではないか。

 早速11月4日の同投書欄で反論が出ていた。
 84歳の方だ。
 「あの意見に悲しい思いで反論する」として「高齢者は外出や衣食などの支出も減るのが一般的と言うが、認識不足も甚だしい。(中略)高齢なるがゆえに粗衣粗食でよいはずはない。(中略)今80歳以上の高齢者は戦時中は命の危険にさらされ、戦後は祖国復興のために献身してきた世代だ。今になって世代間の公平などと言われるのは情けない」
 更に、「国難の時だから痛みを分かち合うという気持ちは高齢者も十分に持っている。高額年金を削減するというなら、所得税の累進課税を強化して、高齢者も含めた高額所得者にもっと多くの税金を払ってもらうべきではないか。
 それをせずに年金の削減など非情にして暴論と言わざるを得ない」と喝破している。
 全く同感、さすが経験を積んだ高齢者と、思わず拍手したい心地であった。
 「あんたも後期高齢者でしょう」と言われそうだが、私の場合、自分ではまだ高齢者と思っていないので、つい若いつもりで、高齢者に同情するような口吻になってしまうところがあるようだ。

 一方、その前日、同じ投稿欄で「若者が働き高齢者孝行する」という27歳の女性の声が載っていた。
 この人は目下、研究と就活という楽ではない二重生活を送っている大学院生である。
 「私たち若者は自分の希望と能力にぴったりの職を得て、働いて税金や年金をたっぷり納め、今まで頑張って働いてこられた御尊老に年金で孝行申し上げたい。政府や企業は長年の仕事に耐えた高齢者に報いるシステムを構築するよう努めるべきだ。個人がそれぞれ望む未来を生きられるよう祈るばかりである。」と結んでいた。
 なんだか心が洗われたような気がした。最近、「御尊老」などと言う言葉などめったに聞いたことが無い。
 このような若い人たちが立派に働ける社会をつくらなければならない。政治の責任は大きいと改めて強く思った。

 新聞の声欄は、世相の動きをよく表している。時折目を通すことは大事なことだと思う。
 世の中にはいろんな人がいるから、腹が立ったり、慰められたり・・・。
 不思議なことに、それでバランスがとれているのかも知れぬ。