深谷隆司の言いたい放題 第239号
「ギリシャに振り回されたG20」

 2日のこの欄で、為替介入の効果について、日本単独では一時しのぎに終わってしまう。各国の協調が必要だと指摘し、その為にもG20(主要20か国・地域首脳会議)でどこまで理解してもらうかが重要と書いた。 
 しかし、やっぱりというか、もっぱらギリシャ問題に振り回されて、日本に関わることなど、ほとんど真剣に議論されることはなかった。
 極端な批判が出れば、今後、単独介入は出来なくなるという懸念があったが、特に意見が出なかったということで、それはなんとか避けられた。しかし、別にお墨付けを貰ったわけでは無い。むしろ、先進国には日本の単独介入への不信感が強いと感じられた。
 景気が減速する欧米にとっては、通貨安で輸出を増やしたいという思惑もあって、なかなか一筋縄ではいかないのである。
 G20 の様子を見ていて、野田総理の存在感の無さには本当に悲しくなった。大言壮語の安住財務相など、居るのか居ないのか、ほとんど役に立ったとは思えなかった。

 それにしても、ギリシャの混迷ぶりはどうだ。あれだけ勢い込んでいた国民投票の実施を、あっさり突然撤回してしまった。
 フランスのサルコジ大統領とドイツのメルケル首相の強談判の結果だ。
 ギリシャの混乱は今やイタリアにも飛び火した。欧州金融市場でイタリアの国債価格が急落したのである。
 イタリアはドイツ、フランスに次ぐユーロ圏3番目の経済大国だからこれは大変なことである。
 ベルルスコーニ政権の基盤は不安定で、抜本的な財政再建策もなかなかまとまらない。借金は増える一方で、国内総生産(GDP)比120%超もの政府債務を抱えている。

 最も日本の状況はもっと悪く、数字の上で見ると、国債や借入金などを合計した借金は、2011年度末の残高で1022兆1047億円と、ついに1000兆円を超えてしまう見通しになった。
 公的年金などの社会保障基金も加えたIMFの試算では、日本の政府債務残高は、国内総生産(GDP)の220%に達している。

 「イタリアは自ら、国際通貨基金(IMF)に対し改革の実行状況についての監視を頼んだ」と発表したが、要はIMFの力を借りて再建に取り組もうということだ。
 今回、IMFは、資金繰りの危機に直面した国々に対する新しい貸出制度を作ることでG20各国と合意した。IMFの資金が足りなくなる場合にはG20各国が資金を出すことで、今後細かい制度づくりを進めることにしている。
 おそらく中央銀行のような、世界のグローバルな機能となっていくのではないか。

 ちなみに、IMFについて少し触れるが、これは187か国が加盟する国際連合の専門機関である。
 財政危機に陥った国に資金を融資し、財政再建を監視するなどして世界の通貨制度を安定させている。融資した国に専門家チームを3か月ごとに派遣し、検査を行い、問題点を指摘した上で、順調に進んでいれば融資を続ける。
 すでにIMFの監視下に入っている主な国には、韓国、タイ、インドネシア、ブラジルなどがある。

 G20は4日、欧州の危機が世界に広がらないよう各国が協調するとの首脳宣言をまとめて閉会した。
 世界経済が危機的状況にあるとの認識を示し、各国が結束して危機を克服する姿勢を打ち出した。
 世界の荒波の中で漂う日本丸、しっかりした舵取りで態勢を建て直し、尚、世界の為にその役割を果たしてゆく、これは容易なことではない。
 今の民主党、野田総理にそれが出来るのか、本当に心配でならない。