久しぶりに、若い中国の友人と再会し、25日の一夕、赤坂のジパングで痛飲した。
 先月、突然メールが来て、この日に日本を訪れているので、是非会いたいという。
 相手は杭州浙江大学の主任教授を務める張宏医学博士で、日本で行われる核医学会総会で招待講演を行うというのだ。
 今回は奥さんの田梅さんも一緒だった。
 彼女は日本と米国の12年間にわたる留学を終えて、卓越教授の称号を得て、夫と同じ大学の付属病院副院長に赴任したばかりだという。
 日本に来るたびに何度か食事をしたり、数年前には杭州を我々夫婦が訪れ、彼らの可愛い子供さんとも触れあっている。
 

 会う2日前に、再びメールがあって、丁度、兄の張敏氏も湖北省の市長らと訪日するので一緒に参加していいかという。勿論、喜んで歓迎すると答えて、この夜は総勢5人の会食となった。
 
 実は私は、この張敏氏と最初に出会って、その後、張夫婦との交流となった。縁とはまことに面白いものである。
 彼は中国内陸部の武漢で活躍している工学博士である。
 平成13年に、私は湖北省の武漢市にある華中科技大学の客員教授に就任したことがあったが、これは彼の紹介によるものだ。
 この近くには有名な三峡ダムがあって、かつては工業が盛んな地域で、大学も数多くあった。
 大学では日本の歩みや経済の動きなどを意欲的に講義したが、当時は日本の状況についての情報は少なく、熱心に聴く学生の姿が印象的であった。

 中国と日本の間では領土問題などがあって、時に対立することも多い。
 2010年、尖閣諸島沖で日本の海上保安庁の巡視艇と中国漁船との衝突事件が起こり、中国各地で大変な抗議活動が繰り広げられた。
 特に目立ったのが学生によるデモだったが、華中科技大学だけは自粛して騒ぎにはならなかったと記事に書かれていた。何となく自慢したいような心地であったことを、今でも鮮明に覚えている。
 前にも書いたが、このジパングは、日本料理の名店「なだ万」が経営しているだけあって、料理はすこぶる美味い。その上支配人の小熊君が気が利いているから座も弾む。
 ビール、ワイン、それに私のオリジナル焼酎「深谷」、と酒量も急ピッチで上がる。席を変えてカクテルまで飲んでお開きになったが、相手もなかなかな者、一歩も譲らない。

 なんだか自分たちの息子夫婦が帰ってきたような心地になる。田梅夫人も、「日本のお父さん、お母さん」と何度も言ってくれるから、自然にそんな気分になるのだ。
 「また是非、杭州に来てください。私達が案内します」。

 前に行った時はあまり時間が無くて、十分に杭州の地を堪能してはいない。
 かのマルコ・ポーロは、世界で最も美しい見事な都市と呼んでいたという。
 長い歴史に彩られた景勝地、詩人や芸術家が絶景を楽しんだという西湖を、是非、船で遊覧したい。石仏で知られる飛来峰へも・・・。
 私達はすっかりその気になっていた。
 来年4月ごろ、一番いい季節に訪ねることを彼らと約束したことは言うまでもない。

 前述のように日中間では様々な問題が山積している。今後も多くの混乱が予想されている。
 お互い、国の利害を考えて主張すべきことは主張していかなければならない。妙な妥協はかえって火種を残すだけだ。
 しかし、こうした問題は、両国外交の不断の努力で少しずつ解決していくしかない。
 政治的問題を別にすれば、両国の間には歴史的にも文化的にも、お互いに共有しているものは多い。だから、これから日中間で大事なことは、積極的な人的交流ではないだろうか。
 もっと人間同士の交流を深めていくことこそ大事だと、楽しい酔いごこちのなかで、改めて思ったものである。