深谷隆司の言いたい放題 第223号
「強気、弱気?小沢氏緊急入院」

 6日の夜11時すぎ、小沢一郎氏は体調不良を訴え、文京区の日本医科大付属病院に救急車で運ばれたという。裁判という屈辱的な場に立たされたことが、大きく響いたに違いない。
 本当の意味で、世に鉄人はいないということで、少なからず同情の念を禁じ得ない。心から回復を祈っている。

 それにしても、初公判後に開かれた記者会見はひどかった。
 すでに体調が悪かったのかもしれないが、いやしくも政権与党の、場合によっては天下を握ろうとしている政治家の取るべき態度ではなかった。
 会見場を見渡して、「いっぱいいるな、今日ぐらいはサービスしよう」から始まるのだが、そこには世間を騒がせたことに対する一片の反省も感じられない。
 会見ではあらかじめ質問数を限定し、しかも結果はわずか4人の質問者で終わらせてしまった。
 焦点となっている4億円の融資を受けた理由を尋ねた記者に何も答えず、その原資は何だったかの問いに、「私の金だ、詳しく聞きたければ検察に聞いて。検察は強制捜査をずっとやっている。私の知らないことまで全部調べているから(検察に)お聞きください」と、本人は検察への皮肉のつもりか、嫌味たっぷりで答えていた。

 証人喚問について聞かれると、「君はどう考えているの?司法の公判が進んでいる時、立法府がいろいろ議論すべきだと思っているの」と怖い目つきで逆質問。国会での説明も必要だと言うと、「ああ、そうなの。三権分立をどう考えているの?」と重ねて言ったが、その後が面白かった。
 「裁判所は法と証拠に基づいて最終の判断をする場だ。色々な力や干渉で左右されたらいけないから司法は独立している。もうちょっと勉強してから質問してください」とのたまったのだ。
 その前段で彼はなんと言ったのか。
 「この間の判決も、何の法的な証拠もない、裁判官が自分の推測と推断で事実を認定し、それに基づいての判決です。前代未聞のことで、司法の自殺に等しい」と司法の判断を真っ向から否定し批判しているのだ。
 自分の都合のいい時には司法の公平と独立を説き、都合が悪くなると司法の信憑性に疑問を投げかけ批判する、これがまともな政治家の取るべき姿勢なのかと腹立たしい思いがした。

 はっきり言って記者の姿勢も問題ではないか。
 まるで小沢氏に畏怖の念を待っていて、最初から腰が引けているのだ。
 メディアへの不信感をあらわにしている小沢氏に、太刀打ちできる勇気ある記者が一人もいない。色々の点で明らかな矛盾が見えるのに踏み込もうとしない。怖がって何も言えないといった感じだが、これではあまりにも情けない。
 ところが、インターネット配信サービスの記者が尋ねると、いっぺんに表情を変えて、「世論調査が必ずしも国民の声を代表しているとは思えません。頑張ってくれと言う大勢の方もいますし、今後も頑張っていきたい」と和らいだ答であった。
 何でも「ニコニコ動画」というらしいが、小沢氏はこれまでもこのサイトを使って積極的に発信している。
 大手メディァの世論調査では小沢氏に否定的結果が多いのだが、どうやらネット上では支持を受けているようだ。
 剛腕、強気と言われている小沢氏だが、実は神経こまやか、あんがい弱い人ではないか。
 そういえば東京地裁の法廷で、9人で構成されている弁護団に囲まれるように座っていた。そうしなければ不安で仕方がないのではないかと、これは私の勝手な推測だが・・・・。

 検察が不起訴とした事件を、民意で覆したのが今回の検察審査会の強制起訴だ。
 この仕組みは2009年に導入されたのだが、今回が初の裁判になる。
 小沢氏は、検察が不起訴としたのだから、こうした形で裁かれるのはおかしい、直ちに裁判を辞めよと主張している。
 ここで私たちが間違ってはならないことは、小沢氏の場合、検察が不起訴とした理由は、犯罪は成立するが起訴するほどではないといった「起訴猶予」ではなかったという点である。
 証拠が足りないから、「嫌疑不十分」ということで、限りなくクロに近い灰色であるということなのだ。
 新しい制度の中で、市民感覚に照らしてどうも疑わしいから、法廷できちんと調べてくださいということなのだ。
 さて来年4月に答えがでるのだが、一体どんな結末になるのか、ここはしっかり見つめていく必要があると思っている。