深谷隆司の言いたい放題 第218号
「小沢元秘書有罪判決」

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26日、東京地裁は小澤一郎民主党元代表の資金管理団体「陸山会」を巡る事件で、政治資金規正法違反(虚偽記載)の罪に問われた三人の元秘書に対して有罪判決を下した。一部マスコミなどで、無罪になるのではないかとの憶測もあった。
 丁度、大阪地検特捜部のフロッピーディスク改ざん隠ぺい事件があって、検察の取り調べに対する不信が高まっていた。今回の土地取引事件でも、地裁は東京地検特捜部の調書の多くを「威迫と利益誘導があった」として証拠採用しなかった。
 石川知裕衆議院議員は特捜部の取り調べを「隠し録音」し、これが不採用の原因になり、大久保隆規元秘書の場合は、なんと取り調べた検事が、例の「村木事件」で証拠改ざんした前田恒彦元検事とあって検察自らが取り下げていたのだ。
 だからひょっとして無罪?という思いがあったのだ。
 しかし、私は、昨年
6月に角川学芸出版から出した拙著「こんな政治じゃ、日本がダメになる」で、確信をもって明白に「有罪だ」と断じている。だから、自分の予言通りの今回の判決に、秘かに満足しているのである。
  小沢氏の資金管理団体「陸山会」が6年前に土地を購入した。しかし、この購入原資はこの時、政治資金収支報告書に記載されなかった。これだけでも政治資金規正法違反にあたる。
 この
4億円の資金の出所を隠すために、わざわざ銀行から借りたことにし、その処理を午後に行なった。ところが土地購入代金を支払ったのが、その日の午前中であることが分かり、たちまちそのインチキが暴露されてしまったのである。
 なんとも子供だましで呆れるが、秘書たちが政治資金の出入りをごまかすために、日常的にやっていたからこんなミスを招いたのではないかと、拙著の中で書いている。

 後からあわてて、石川議員は、あれは小沢氏が亡き父からの相続の分ですと言い訳をしたりした。
42年も前に父はなくなっているのに・・・。
 
石川議員の発言はくるくる変わって信頼できないから、むしろ自白調書を採用しない方が賢明であったと私には思われる。

 今度の判決のもう一つの特徴は、裏金受領も事実として認定したことである。これで、小沢事務所の「ゼネコン利権」を天下に明確に示したのである。

 最初の強制捜査で(
20093月)、陸山会事務所のパソコンから、ゼネコン各社から下請け業者を迂回させて年間億単位の献金を受けていたことを示す一覧表も見つかっている。いわゆる[天の声]についての業者の供述も多い。
 小沢ダムと言われる胆沢(いさわ)ダムの受注をめぐり水谷建設から渡ったとされる
5000万円について、石川議員は完全黙秘を貫いたが、授受の現場となったホテル喫茶店のレシートなど客観的証拠もあり、その上、裏金を用意した元常務、運んだ元専務、授受に同席した別の建設会社長らが次々と証言していて、判決が事実と認める決め手となっている。別口の大久保元秘書に5000万円を手渡した元社長の証言もある。

 水谷元会長は、「驚いた。会社から裏金が出たことは事実だが、石川議員に渡したところは見ていない」と記者に語ったようだが、弁護しているつもりかもしれぬが、「語るに落ちる」とはこのことだ。

 元秘書
3人の有罪判決があったのに、小沢氏は会見もコメントも出さない。未だ民主党政権に対して隠然たる力を持っている小沢氏のこうした姿勢は、国民軽視で絶対に許されることではない。
 野田首相は、昨日の予算委員会の答弁の中で、「政府の立場として司法の判断についてコメントすることは差し控えたい」と述べたがこれは全くおかしい。せめて「司法の判断を厳粛に受け止める」程度のことを言わないと、裁判軽視の誹りは免れないと思うのだが…。要は小沢氏を恐れて及び腰なのだ。
 下手に対応すれば党内対立が激化する。
もしかしたら、政治とカネについて、自らやましいところでもあるのか。そういえばこのところ、閣僚達のスキャンダルが週刊誌で次々と取り上げられている。野田首相の外国人違法献金はその後どうなっているのか。

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6日には小沢氏の初公判がある。何故か無罪になるというマスコミもある。小沢氏の公判は「虚偽記載があったのか」、「共謀があったのか」が争点だが、剛腕小沢氏、秘書が彼との相談も無しに、巨額な金銭を自由に動かせる筈もない。

 「知らない」で通るなど我々の常識にはないのだが、果たしてどうなるのか。悪は許さないという厳しい目で注目したいし、これらの動きに対して、野田首相がどのように対応していくのか、しっかり見極めなければならないと思っている。