言いたい放題 第210号 「何とかしてくれ、祈りたい気持ち」

 前原誠司民主党政調会長は、一体何を勘違いしているのだろうか。
 確かに野田政権になって、政調会長の権限が強化されることになったようだが、7日、米ワシントンで行った講演は、まるで総理になったような発言で驚いた。
 早速党内で反発が起こっているが、私から見ても当然のことだと思う。

 一つはPKO(国連平和維持活動)の中身についての見直し論だ。
 我が国がPKOに参加する場合、参加五原則という基本方針がある。
  1.紛争当事者間で停戦合意が成立
  2.受け入れ国を含む紛争当事者による同意
  3.中立的立場の厳守
  4.以上の条件が満たされない状況が生じた場合に撤収が可能
  5.武器使用は、要員防護のための必要最小限に限定  

 この内、5について、自衛隊と共に行動する他国軍隊についても防衛する必要があると明言した。一見正しい主張に聞こえるが、憲法9条で禁じている「海外での武力行使」や「他国の武力行使の一体化」に抵触しかねない内容である。

 又、武器輸出三原則の見直しにも言及した。
 日本の場合、すべての武器や武器技術の輸出は政府方針で禁じている。
 確かに、今の世界の流れを見ると、新兵器について技術を出し合い開発費を分担できる国際共同開発、生産が主流になっている。日本国内でも経済界などでそうした声もある。だから、必ずしも間違ってはいない。
 しかし、問題なのは、そのような議論は国内でまだ十分に煮詰まっていないという点である。
 ましてや、肝心の民主党新政権内で、こうした議論は全く為されていないし、第一、極左勢力まである党内でまとまる筈もないのである。

 藤村官房長官は、「持論で発言したもの」と冷ややかだし、一川防衛相も直接聞いていないと不快感もあらわだ。しかし、不愉快と言うだけで済む話ではない。世界の国々が注目している。あれが日本の考えかと受け止められるのだ。

 この他にも講演で中国を刺激する発言をしている。
 これから10月にも野田総理は中国を訪問しようとしているのに、である。
 良くも悪くも中国は隣国だし、世界に影響を与える大国になっている。別にへりくだる必要はないが、うまく対応することは大事だ。
 これから新政権がどのように話し合っていくのか、今が極めて重要な時期なのだが、その出鼻をくじくような発言ではないか。
 ところが、こうした前原氏の勝手な発言に対して、何故か野田総理は一言も触れようとしない。温厚な人だからだとか、党内融和のためだとかでは通用しない。断じて看過できない重要問題なのだ

 スタートしてからまだわずかの日しか経っていないが、それにしても党幹部や閣僚たちの勝手な発言が目立っている。
 5日の記者会見で、小宮山厚生労働相は来年度税制改正で、たばこ増税を明らかにした。「700円くらいなら値上げしても税収は減らないからここまでたどり着きたい」、「健康を守るためなのだから、本来、厚労省が権限を持つべきで、たばこ事業法で財源として財務省がもつのはおかしい」と、言いたい放題である。
 健康のために・・・、一言でいえば「余計なお世話」だ。
 安住財務相は、「あれは個人的な発言」と切り捨てているが、大臣たる者、個人的発言など許される筈もない。

 更に、会社員に扶養されている専業主婦らが、国民年金の保険料を納めなくても年金をもらえる「第3号被保険者制度」は将来廃止が望ましいと語った。
 「こんな重要な問題を軽々に言うな!」と思った。
 朝から晩まで一生懸命働く専業主婦の苦労を少しは分っているのか。専業主婦の労働の対価をどう考えているのだろうか。
 勿論、色々な意見があっておかしくはないが、では、この問題についてどれだけ議論を重ねてきたのか。ここでも私見を述べたに過ぎないとでもいうのだろうか。大臣たる者の自覚も見識もない話ではないか。

 平野博文国会対策委員長の発言で今日も混乱している。この人は鳩山政権の官房長官として、あまりに無能とレッテルを張られた人である。
 「内閣が出来たばかりで態勢が不十分だから」、臨時国会を4日間で閉じたいとやってしまったのだ。
 未熟な大臣達だから、十分に答弁が出来そうもない。ボロを出さないうちに早々に国会を終わらそうという魂胆だろうが、なんと不見識で姑息な判断なのだろうか。
 社民党の福島党首が「大臣はなった時から大臣、不完全などと口が裂けても言ってはいけない」と、珍しく正論を吐いていた。
 「あんたには言われたくない」という元気な民主党の人もいなかった。

 野田政権誕生時、支持率は60%以上で、まずまずの出足ではあったが、これら一連の言動を見ると、人気が下降線をたどるのも早いのではないかと思われる。
 民主党政権になって、なんと2年に3人も総理大臣が交代した。
 民主党ではやっぱり「日本は駄目になる」とは思うのだが、そうも言ってはいられないほど、日本の現状は危機的状況にある。
 せめて頑張って、災害後の復旧復興対策、原発問題の処理、景気対策など、少しでも進捗させてくれないものか。
 祈りたい気持ちでいるのは、私一人ではないであろう。