言いたい放題 第209号 「新政権の顔ぶれを見て」

 民主党代表選挙では、脱小沢対親小沢で党を二分するかの熾烈さだったから、野田氏が勝って、これで小沢氏の影は薄れるかと多くの人は思った。
 ところがさにあらずで、党人事、閣僚人事を見る限り、むしろ脱小沢の影の方が薄くなっているではないか。

 一時は、小沢氏、鳩山氏、輿石氏の3人で新トロイカを組み、党を牛耳ろうとしていると言われていたが、なんとその輿石氏が幹事長に就任した。
 例の相田みつをの「どじょう」の詩も、輿石氏が教えたと、今では誰でも知っているが、代表選で45%の支持を得た小沢支持派の力を無視できないということなのだ。何のことは無い、野田氏の揚げた「挙党体制」とは、とりもなおさず「脱小沢」路線の転換という意味だったのか。

 カネとポストを握るのが幹事長である。この要職を小沢氏側に渡すのかという声も早速起こった。一方で、野田氏は解散をしないとみられているから、そのかぎりでは輿石幹事長はその特権を自由に使えない。うまい選択だと書いた新聞もあったが、本当にそうだろうか。
 今や輿石氏は参議院のボス、そのしたたかさで古だぬきと言われている。
 山梨県教組委員長を経て、今でも日教祖の親玉だ。自分の選挙で現職教員が選挙違反でつかまり懲戒処分等を受けたこともある。
 どじょうとドラえもんと古だぬき、この不思議な組み合わせで、一体誰が主導権を握るのか、国の行方に直接かかわることだから大きな関心と監視が必要だと私は思っている。

 国対委員長に就任したのは平野博文氏、鳩山政権の時の官房長官だ。もっぱら裏方に徹していて影が薄かった。
 官房機密費が問題になった時、「そんなものあるのですか」と、とぼけて見せたが、私に残っている印象はその程度だった。しかし、鳩山氏の信任は厚く、れっきとした小沢氏側であることは言うまでもない。

 前原誠司氏は政調会長になった。
 野田氏とは同じ松下政経塾出身者で、盟友関係と言われてきたが、代表選にギリギリになって出馬し、その関係はぎくしゃくして、しこりを残したと言われていた。
 在日外国人からの新たな献金がすっぱ抜かれて、もし大臣にでも起用されたら、国会で野党から集中質疑を受けて火だるまになること間違いなしだ。
 そこで脱小沢の急先鋒の彼を政調会長に据え、バランスを取ろうというところではないか。

 組閣は2日、正式に決まった。国民新党との連立内閣である。
 ここでも党内融和が最優先の顔ぶれになっている。
 党の各グループ(派閥)から、および代表戦の論功行賞も加わっての人選だ。はっきり言って、完全な「内向き内閣」で、とても一人ひとりを論評する気にはなれない。

 そうはいっても、何も書かないのもどうかと思うので、数人は挙げてみよう。

 一番驚いたのが山岡賢次国家公安委員長だ。
 私が就任した時代、国家公安委員長は自治大臣の兼務ではあったが、国民の安心安全を守る大臣として重要な位置づけであった。
 近年、次第に軽く扱われるようになって残念でたまらない。
 鳩山内閣の時の中井国家公安委員長のスキャンダルなど覚えているだろうか。全国25万人の警察官のお手本になるべき者が、議員宿舎に女性を連れ込んで、
 そのことが週刊誌で暴露されても反省も無い。セキュリテイなどわれ関せずで危機管理能力ゼロの不見識ぶりであった。
 人の噂も75日、日本人は人が好くて忘れっぽい。
 あの山本モナ女史との路上不倫キス事件で、奥さんと謝罪して歩いた細野豪志氏も再入閣、もう誰もそのことを口にしない。

 山岡氏は小沢氏の自称最側近で、国対委員長時代、私も近くで彼の言動を見ていたが、軽挙妄動が多く、いつも小沢側近をかさにきて、仲間からもあまり信頼されていないようであった。
 問題は、彼が「マルチ商法」業界から献金を貰っていたことで、これは格好の野党の攻撃材料となる。
 業界に有利な質問を続けていたとして問題になった議員らで作る議員連盟の会長まで勤めていたのだ。この連盟は批判が起こるや解散し、山岡氏は献金の一部は返したという。今回はマルチ商法などを監督する消費者相兼務だから「返しました」では済まない。
 細川政権の頃のように、私なら確実に首が取れる大臣だが・・・・。

 今度の内閣で2人の女性大臣が選ばれた。
 蓮舫行政刷新大臣は、言わずと知れた仕分けの女王だ。
 スーパーコンピューターの事業仕分けで「2位では駄目なんでしょうか」と言ってみんなに笑われた。機械や化学技術の面で他国に1位を獲られたら、日本は永久に特許料を取られ、その国にいいように振り回される。
 ましてスパコンは日本の最も得意とする分野ではないか。現実にいま日本が世界一になっている。何にも分かっていないのだ。
 あれほど大騒ぎして仕分けしたのに、かなりの分野で元に戻っていて、中には焼け太りと言われるところもある。見せ掛けだけのパフォーマンスは、もういらない。
 びっくりしたのは、亭主を区議会議員に出馬させたことで、それも落選だった。
 防災服の時でさえ襟を立てて、気取って歩いていたが、国会はファッションショーの会場ではない。もういい加減にしてくれと言うのが大方の声である。

 小宮山洋子氏は厚生労働大臣だ。もとNHKの女性アナウンサーで、私が郵政大臣の時、他のアナウンサーと一緒に記念写真を撮っていて今でも残っている。
 ところが国会議員になると、廊下で会っても知らんぷり、別に挨拶してもらいたくもないが、いくら反対党の立場にせよ、礼儀というものがあるのではないかと思ったものである。
 時の小沢代表に違法献金問題で、代議士会で辞任を迫ったこともあるから、それなりに骨があるということか。

 自見庄三郎氏は郵政改革、金融相だが、彼は山崎拓元副総裁の側近で、私の仲間ではあった。
 小泉政権の時の郵政民営化に反対し、選挙で刺客を立てられ落選、07年参議院選挙で国政に返り咲いた苦労人である。医学博士だ。
 郵政改革法案の成立が悲願だが、もはやこれは無理な話ではないかといわれている。中身が無いのに話が長いところがあったが好感のもてる人であった。
 まだ65歳なのだが、すっかり年寄り臭くなって、年寄りの私が秘かに心配しているのである。
 ここまで書いて、なんだかすっかり疲れた気分だ。
 これ以上は説明も必要ないような御仁ばかりなのである。

 重ねて言うが、党内融和の内向き内閣、せめてこれからの動きの中で、少しは、ピリッとしたところを見せて欲しいものである。
 国家国民を見据えた、本物の政治をやって貰いたいと、それだけを心から願っている。