7月8日の読売新聞に、松下政経塾塾長のインタビュー記事が出ていた。
 塾を創設した松下幸之助氏が御存命なら、「いったい、君たちは何をしているんや」と怒るはずです。実際、私の耳にも「政経塾出身者は理屈ばかり」と言う声が沢山届きます。政経塾として責任を感じています。

 私も昔、松下政経塾で講演したことがあるが、その頃の純粋な、高い志の、魅力的な若者は何処へ行ってしまったのかという思いがある。 
 現在の塾長の率直な嘆きがよく分かるような気がする。

 現在、松下政経塾出身の国会議員は与野党含めて38人もいる。
 口ばかり先行の塾出身者に、次第に身内まで危惧の念を持つような状況になっているのだ。
 その上、今、話題の民主党代表選挙に、後出しじゃんけんではないが、最後に名乗りを上げたのが本命と言われている前原誠司氏だ。彼が勝てば即総理大臣になるのだから、事は重大、ここはしっかり見つめる必要がありそうだ。
 今度の代表選では前回も書いたが、こんな顔ぶれで危機的状況の日本が救えるのかといった思いを誰しもが持っている。
 世論調査の人気度では、どうやらダントツで1番が前原氏のようだが、それで決まって本当にいいのだろうかと不安である。かといって他にいないし・・・。

 前原氏の最大のアキレス健は、在日外国人から受けた違法献金問題である。それが原因でいとも簡単に、3月、外務大臣を辞任したのではなかったのか。あれから禊が終わったわけではない。それどころか、この違法献金問題で、政治資金規正法違反の容疑で京都地検に告発され、秋には立件されるかどうかの判断が下されることになっているのだ。
 仮に不起訴処分となっても、その後に検察審査会に持ち込まれること必定で、そうなれば彼が嫌っている小沢一郎氏と全く同じ境遇になってしまうのだ。

 06年、前原氏が民主党の代表だった時、ガセメール事件というのがあった。
 私の盟友の武部氏に関わることだからよく覚えているが、永田寿康議員が持ち込んだメールの真価をよく確かめず、国会で自民党を追及し大恥をかき、わずか半年で代表辞任となった。そういえば外務大臣辞任も半年だった。
 政治家として一番問題なのは、勝手な思いつきで政策を発表し、後で何の責任も果たそうとしない過去の彼の姿勢である。
 彼が国交相になった直後、突然、八ッ場(やんば)ダムの建設中止を宣言し、やんやの喝采をあつめたことがあった。脱ダムの先駆者ぶったつもりであったろうが、地元の大反発で事態は大混乱した。
 ダム建設は当然必要だから始められた筈だし、何よりもそれまでに長い年月と、税金による莫大な資金も投じられている。十分な調査や検討がなされることもなく、ただ人気取りのための安易な発言が、後に大きな禍根を残してしまったのである。
 この方針は次の大臣の時、事実上撤回された。ちなみに次の大臣だったのが、今、代表選に名乗りを上げている馬淵氏である。
 これ以上言うつもりもないが、JAL債権問題でも、最初は威勢がよかったが、いたずらにお金と時間を費やしただけで終わっている。

 これまで前原氏は、脱小沢の中心的な立場であった。せめてこの姿勢だけは堅持して欲しと思うのだが、ちょっと怪しくなっている。
 8月24日、彼は小沢氏と国会内で会見し、「挙党一致で国難に当たるのでご指導をお願いしたい」と協力を要請した。最大勢力を誇示する小沢氏の判断で代表選は左右されることは確かだが、誰もかれも小沢詣での姿はみっともない。
 小沢氏は代表時代、関係の深い鳩山氏を幹事長に据え、党の組織対策費22億円も使ってカネと人事で大勢力を築いたと言われている。
 菅陣営は、こうした状況を排除しようと、反小沢人事の執行部を作り、脱小沢の機運を広げ、やがて刑事裁判を理由に、党員資格停止処分まで行った。
 ここへきて、また小沢勢力は完全に復活しているのだ。

 今まで自民党が政権の立場にあった時代、党の代表はイコ―ル総理大臣という認識の上に立って、開かれた選挙を行ってきた。立候補から選挙に至る間、じっくり時間をかけ、むしろ国民に訴えるように候補者たちは政策論争を繰り広げてきたものである。
 今回の代表選はどうだ。全く時間もなく、政策論争は皆無だ。もっぱら数合わせに終始し、おまけに小沢票欲しさに見えも外聞もないというありさまだ。

 先の松下政経塾の塾長は「理屈ばかりで」と嘆かれていたが、その理屈も議論もない代表選挙になっているのだから始末が悪い。
 どちらにしても、張合いも期待もない民主党の代表選挙だが、繰り返すが、 これで日本の行方が決まるのだから、やっぱり目を背けることなく、冷静に見守るしかないのである。ああ・・・・。