「危機管理に不向きな内閣の時に大事件、大事故は起こる。」
 これは、佐々淳行氏の言葉だ。全て菅内閣のせいではないが、最近の天変地異の凄まじさはどうだろうか。
 29日からの新潟、福島両県の記録的な豪雨は、多数の死者、行方不明者を出し、約37万人に避難指示や勧告が出された。
 泣きっ面に蜂ではないが、東日本大震災、福島原発事故、人体に及ぼす放射能、放射性物質を含む肉や野菜・・・、天災に人災も加わって、今、日本は最大の危機に陥っている。
 こうした状況なのに、国を真剣に憂い、この国の為に人生を賭けようという政治家の姿はあまり見られない。本当に残念でならない。
 特に政権を担う民主党の議員の無責任さ、愚挙妄言には怒りを禁じえない。

 民主党の安住淳国会対策委員長は、30日のテレビ番組で、「国からお金をもらって自分は言いたいことを言い、出来なかったら国のせいにする」等と東日本大震災で被災した自治体の首長を批判した
 「増税も無駄の削減も国会議員がやれ、と立派なことを言うが、泥はかぶらないという仕組みをなんとかしないといけない」とも語った。
 更に被災地の有権者に対して「家、財産、家族が亡くなった人は不満を持っているが、だからといって全部国会議員が悪いというのは感情的な話だ」と言ってのけたのだ。

 ついこの間、松本前復興大臣が被災地で暴言を吐いて辞任したばかりだが、今回の発言も全く同じ次元の発想だ。
 自分がどれだけ偉いと思っているのか、国会議員がどれほどのものと思っているのか。
 自治体の首長や有権者を馬鹿にし、上から目線でものを言う姿には、あきれるばかりだ。
 はっきり言わせてもらうが、安住議員など、昨日今日の若僧議員ではないか。一体、何様のつもりなのか。
 しかも、この発言が問題になると後から気づいて、大慌てで地元知事に電話を掛け、「議院内閣制の本質的な問題点を強く主張したつもり。意図が正確に伝わらなかったことは残念」と弁解したという。(朝日新聞報道参照)
 まるで子供だましのような内容で何の弁明にもなっていない。テレビを通じて、ありのままを国民は見て聞いているのだから、どんな言い訳も通用しない。
 語るに落ちるとはこのことだ。
 大震災の被災地や被災者に対して、万事こんな軽薄な思い、態度だから、必然、復興対策もおざなりなものになってしまう。

 29日、首相官邸で開かれた復興対策本部は、復興基本方針を決めた。
 菅首相は、「具体的な施策と事業規模、財源を盛り込み、本格的復興に向けた政策の全体像が示された」と胸を張った。
 しかし、中身は彼の考えていた増税規模も実施期間も決められずに先送りされ、すっかり骨抜きになってしまっている。
 もともと民主党に最初に示された案には、「時限的な増税措置などにより10兆円程度を確保する」と明記、これと並行して復興債を償還する期間を「5年間を基本とし、最長10年とする」と記されていた。これはまさに菅首相の思いであったのだが、一気に党内で不満が高まり、増税や10兆円の文言は無くなり、おまけに償還期間も消えて、中身のないものになってしまったのだ。

 決定的な背景は、民主党内部で「辞めることが決まっている菅首相の手で、こんな大事なことがまとめられるか」という圧倒的な声が横溢しているからだ。
 もはや菅首相は、党内においてさえ総理大臣として信任されていないのだ。
 ご本人はどこかで流れが変わってくれるのではないかと、妙な期待感があるようなのだが、何とも物悲しい話ではないか。
 本当に悲しいのは、国家国民なのだが・・・・。

 増税反対の声は、私も同感だ。
 前述したように、これでもかこれでもかと悲劇的災害が続くなかで、日本経済は後退し、景気は落ち込み続けている
 ここで増税などすれば、国民の消費意欲は一層後退し、景気は大きなダメージを受ける。
 消費税を上げた時もそうだったが、しばらくの間は税収が増えるどころか逆に減る一方だった。
 まして、今回の場合は、震災復興対策だけに緊急かつ短期間の勝負だ。へたに増税して、景気を決定的に悪くして、しかも国の税収が減ったのでは、災害復興に逆行するばかりだ。

 基本方針には歳出削減や国有財産の売却に加え、新たに特別会計の「埋蔵金」の活用が盛り込まれた。
 埋蔵金と言う表現が適切とは思えないが、確かに29日に財務省が発表した国の特別会計2010年度決算によると、剰余金は11兆1804億円にのぼる。この他に国債整理基金特会の剰余金が30兆7305億円ある。検討すればこの他にも期待できる資金はある。
 勿論、剰余金と言っても、国債の償還などに備えて資金を管理しているのだから、ほかの用途に使うことは難しいという建前にはなっている。
 しかし今回のような災害は、まさに国家的緊急事態だ。
 いたずらに増税に頼らずに、これらの巨額な剰余金を復興財源に活用するぐらいの決断があってしかるべきだと私は思っている。
 そして、こういう時にこそ、自民党が長年の経験を活かして立ち上がるべきではないかと私は思う。議員立法でも何でもいい、自民党が狼煙を上げれば、民主党の中でも必ず賛同者が出る筈だ。実現可能な話なのだ。

 今まさに国難の時、議員諸侯、この国と国民の為に、ともかく謙虚に真摯に頑張って欲しいと祈るのみである。