言いたい放題 第188号 「一刻も早く退陣を」

言いたい放題 第188号
「一刻も早く退陣を」


 7月13日、菅首相は記者会見で「将来は脱原発」と発表した。
 昨年6月、エネルギー基本計画を決定したが、ここでは、「2030年に原子力の発電比率を53%に高める」とあった。これを白紙撤回するというのだが、こんな重大な国家の方針を、わずか1年で180度転換するなど、とても一般的常識では考えられないことである。

 しかもこの内容について、党内でも議論していないし、肝心の閣僚間で熟議したという形跡もない。相変わらずの菅氏の思いつき発言なのだ
 当然、与野党から大反発が出て、「何の具体性もないし、第一辞める人が何を言っているのか」と轟轟たる非難の声が上がっている。
 ある執行部の一人は「たわごととしか聞こえない」と突き放した。

 こうした会見を開く場合は、担当省庁と十分な勉強会を開くものだが、それも無いし、なんと指示すら下りていなかったという。
 ある大臣は、原発の代わりに化石燃料を使えば、法人税を3割増税したと同じコスト増が発生すると言っている。
 産業界では、そんなことになったら製造業は日本に居られなくなるし、雇用も維持できないと悲鳴を上げている。脱原発なら、他の燃料をどう確保するのか、これからの具体的プロセスを示さなければならないのだ。
 一番困っているのは、原発のある自治体で、今までもくるくる変わる菅氏の発言に振り回されてきただけに、もう、いい加減にしてくれと怒っている。

 確かに脱原発について、最近の朝日新聞の世論調査で国民の77%が賛成と答えている。この思いは誰も同じようなものであろうが、ではどうするのかとなると、何の答えもないのだから、いい加減なことを言うなとなって、菅内閣の支持率は15%と最低になるのだ。

 菅首相は長い間、市民派を名乗り、もっぱら、市民の声を代表してと、様々な政策を訴えてきた。
 しかし、政治家たるもの、政策を訴えるばかりでは駄目で、政策を実現させることが本来の使命なのである。
 要するに菅氏は、単なるアジテーターであって、典型的なポピュリズム政治家なのである。国民の求める声には、その良し悪しを別にして、極めて敏感で、たちどころに演説に取り入れる。小さな組織の経験しかないから、大きな組織を動かして政策を実現することなど、およそ出来る筈もないのだ。
 つまり、元々総理大臣などという器ではなかったのだ。資質の無いものが、天下を握ってしまったのだから、こんなに始末の悪いことは無い。不幸なのは国家国民なのである。

 勿論、国民の声に耳を傾けることは大事なことだ。まさにそれが民主主義である。
 しかし、一方で、ただ国民に迎合すればよいというものではないということも、民主主義の鉄則である。
 欧米では、民主主義を大事にするが、これを最善のものとは決して思ってはいない。彼らは軽薄なポピュリズム(迎合主義)をもっとも嫌う。
 それは、歴史的な苦い経験があるからだ。すなわち、ドイツナチスの台頭だ。
 ヒットラーは、憲法に基づいた民主的な選挙で選ばれて天下を取り、やがて歴史に残る残虐な独裁者になっていったのである。
 欧米で考える真のポピュリズムとは、国民に主権を委ねながらも、国民の言うままにならない政治を指すのである。

 菅首相に、今更あれこれと注文を付ける気持は無い。
 長年、そうした軽薄なポピュリズムにどっぷりつかり、それが政治家菅氏の全人像になっているのだから、今更、どう変えよといっても変わる筈もない。
 菅総理大臣を代えるしかないのである。
 それも一刻も早く…である。