大相撲で満身創痍の貴乃花が見事優勝した時、小泉純一郎総理大臣は、「感動した」と優勝杯を手渡した。この言葉は流行語になるほど話題になったものだ。
 今、同じ言葉で「菅、どうした」と揶揄した人がいたが、これも名言ではある。
 毎回の事で、いささか私自身、厭になっているのだが、やっぱり書かないわけにはいかない。
 日本のエネルギー政策の大混乱ぶりはどうだ。その原因は、思いつきでくるくる変わる菅首相の軽率な発言が起因している。

 3月11日に起こった東日本大震災は、地震、津波、原発、風評被害と次々と日本列島を襲った。とりわけ、原発事故は日本のエネルギー政策の根幹を揺るがす大問題となっている。
 エネルギー問題は国家の存亡に関わる重要課題だから、ここはじっくりと腰を据えて、関係者ともしっかり話し合い、熟議して、その方向性を正しく示していくことが肝要である。その場その場の思いつきで決めるようなことがあっては将来禍根を残すこと必定で、決してあってはならないことである。
 ところが、菅首相は確たる検討もしないまま、次々と異なる指示を出して混乱に拍車をかけるばかりなのだ。

 5月6日に菅首相は、突然、静岡県にある中部電力浜岡原発の停止を要請した。放射能の危険を心配する人の多い時だけに、この発言は世論の受けが良く、菅氏は久しぶりにご満悦であったという。
 実は、これにはちょっとした裏話があった。
 菅氏の意向を受けた海江田万里経産相、現地に早速乗り込んで、環境整備を進めていた。現実に稼働していて現在何の不具合もない浜岡原発を、急に止めるというのだから簡単な事ではない。ようやく根回しが済んで、海江田氏が、さて記者会見をしようとしたら、なんと菅首相がさっさと自分で記者会見を開いてしまったのだ。
 苦労は部下に、手柄は自分にというのだから、あきれるではないか。

 このことにすっかり気をよくした菅首相、5月26日には、フランスで開かれていたG8サミットで、「自然エネルギーの割合を2020年代の早い時期に20%超にしたい。そして太陽光パネルを1千万戸設置することを目指す」と大見得を切ったのだ。いわば国際公約ともいうべきこの発言について、一番困ったのは経済産業省だ。何しろ海江田通産相にさえ相談していない。
 格別の調査も検討もなされていないまま、単なる思いつき発言なのだから、後で責任の取りようもないと頭を抱えていた。
 どうやら孫某氏の受け売りらしいとのことだが、菅氏「経産省の抵抗がすごい」と周囲にこぼし、今から(出来なかった時に備えて)、煙幕を張っている。

 今、大きな話題になっているのは、九州電力玄海原子力発電所の再稼働問題である。定期検査が終わり再稼働を行うにあたって、海江田大臣は地元を訪ね安全性を説明し、稼働に向けた要請を済ませていた。6月19日には菅首相も再稼働容認を明言していた。
 ところがここにきて、ストレステストの実施検討を突然指示してきたのである。後述するが、ストレステストとは、EU(欧州連合)で実施しているが、結論が出るまで6ヶ月を要する。玄海原発でいったんは安全宣言を出しておいて、すぐにこれを撤回するという話である。
 「こんなことではやっていけない」と、海江田大臣がブチ切れるのも当然のことである。
 何しろ、思いつきだけで、その場をしのごうという総理大臣、一体この国をどうするつもりなのか・・・。