言いたい放題 第185号 「身内から怨嗟の声」

 「こんなだらしない内閣で大丈夫なのかと、被災地の方々が怒っている。謙虚な姿が伝わってこない。こういう醜態は恥ずかしい。」
 こう記者団の前で吐き捨てるように言ったのは、野党の議員ではない。なんと民主党の国対委員長の安住淳議員である。  
 暴言愚行で辞任した松本前復興担当相の後任選びが難航して、四苦八苦の末、平野達男内閣府副大臣が昇格したが、この人事のドタバタ騒ぎに批判のトーンを一気に上げたのである。

 大臣候補として、菅首相はまず仙石由人官房副長官を視野に交渉したが、あっさり断られた。首相の早期退陣を求めている人なのだから当然のことだ。
 安住国対委員長にも声をかけたが、岡田克也幹事長など執行部が反対してこれも消えた。
 第二次補正予算案や特例公債法案など重要法案の審議を控え、野党と交渉を続けている国対委員長を交代させるなど、考えられないということだ。確かにそのとおりで、菅氏の迷走ぶりが見える。
 もっとも、安住氏自身は、かなり乗り気であったようで、その目が無くなったことも、首相への厳しい批判につながったとみる向きもある。だとすれば私利私欲からの不満か。
 6日の党国対でも「国対の努力があって初めて法律が通るのに(閣僚人事について)官邸から相談がなかった」と憤懣やるかたなしと言った風情であった。
 安住氏の野党並みの批判について、さっそく民主党の長老石井一議員や国民新党代表亀井静香首相補佐官からクレームが出た。
 「閣僚人事で国対委員長に相談するなどあり得ない。極左の内ゲバよりも程度が悪い。極左の連中は理念をもっていた。」と亀井氏が言えば、石井氏は(政権与党を代表して、最前線で働く者が)「自分の家の親父への文句を外に向かって言う奴がいるか。どう見られているか考えるべきだ」と言い、国対委員長失格のレッテルまで貼った。
 まあ、これは正論であろう。

 もう一つ、菅首相の迷走人事があった。束の間の副大臣任命取り消しの人事である。
 菅首相は、中山某政務官に経済産業副大臣就任についての電話を直接かけた。海江田大臣からも連絡があって、モーニングの用意をするようにとまで言われて大喜びしていると、一時間半後に再び首相から電話、「あの話は無かったことにしてくれ」であった。
 なんとも驚いた話で、こうした人事で、一度総理から直接電話があって、その後すぐ取り消されるなど前代未聞だ。長年政治家を務めてきた私も聞いたことが無い。
 仮にあったとしても、みっともない話だから、ほんとは必死で隠すものだが、今回は本人が憤慨して語ったのか、ちょっとした面白い話題となった。

 驚いたことに、7日のTBSの「ひるおび」にまでご本人が出演しているではないか。
 結論から言えば菅相批判に矛先を変えて、最後は辞めさせるべきだとまで言っていた。それなら、最初から断ればいいのに、モーニングにアイロンを掛けさせてと、何とも未練たらしい話しぶりだった。
 コメンテーターの弁護士が、「菅では駄目と言っている閣僚など、何故辞表を出さないのですかね」との素朴な質問をしていたが、これには知らばっくれて答えず、話題を変えていた。

 番組でも度々言っていたが、一体、なぜこんな珍事が起こったのか。国対筋が反対したという話もあったが、これは国対幹部が否定していた。
 中山政務官については、過日、原発がらみで、電力総連の政治団体から850万円にも及ぶ政治献金を受けていたことが分かり、問題になったばかりだ。これでは、副大臣になった途端、国会で早速厳しく追及されることは目に見えている。その事に気づいてあわてて取りやめたという説もあるのだが、さすがに番組では一切触れなかった。
 もっと単純な話で、今の池田副大臣を辞めさせられなかったから、というのがどうやら番組の考えで、だから、任命権すら失った菅氏では駄目なんだと、そう結論づけたかったようである。
 全体的な印象は、副大臣の代わりは誰でもよかったということで、ご本人にとっては気の毒なこと、テレビなどに出なければいいのに、恥の上塗りではないかと思った。
 それにしても、副大臣という地位はずいぶん軽くなったものである。

 最近の民主党政権に対する轟轟たる批判の声はどうだ。
 もはや、菅首相の続投を支持する者は、与野党を通じていなくなったと言っていい。
 さすがにテレビで見ると眼は泳いでいるが、それでも本人は平気を装っていて、いつ辞めるとは決しては言わない。
 いくら何でもお盆までと皆は考えているようだが、それどころか9月上旬の訪米、下旬の国連総会、10月の訪中まで視野に入れているのではないかという観測まである。
 あるマスコミによれば「理解者は一人いればいい」と本人は言っているという。どうやらその一人とは伸子夫人だというのだから、開いた口がふさがらないとしか言いようがない。

 この国をつぶす気か。
 「誰でもいい、国会議員よ、この国の為に断固立ち上がってくれないか!」怒りよりも祈りに近い心境なのである。