言いたい放題 第173号 「亡国の政治家は去れ」

 「まるでペテン師まがい、不信任案に賛成しておけばよかった。」
 これが前総理大臣鳩山由紀夫氏の発言なのだから、開いた口がふさがらない。
 菅氏は総理大臣に相応しくない、このまま続投したら、被災地の復興も原発への対応もままならない。一言でいえば、「このままでは日本がダメになる」というのが、自公で提出した内閣不信任決議案の考えであった。
 しかし、いつ提出するかとなると簡単には踏み切れない。元々、野党だけでは数が足りないのだから、うっかり出して否決されたら、逆に信任したことになってしまう。
 そんな野党の逡巡を抑えて、自公を突き動かしたのが小沢一郎氏とそのグループの動きであった。85人の同調者が署名、確認出来たと伝えてきたのは山岡賢治氏である。この人は全く信用できない、というのが自民党内の共通した認識なのに何故か振り回されてしまった。その上、直前になって鳩山氏も賛成に回ると明言したことから、これなら不信任案は可決すると、一気にそんな雰囲気になり、マスコミも同じような報道になっていった。

 ところが、民主党の議員総会がはじまる前、鳩山氏が官邸で菅総理に会い、辞任を前提と称する「覚書」なるものを交わした。
 議員総会に臨んだ鳩山氏、菅氏の挨拶が終わると、すかさず手を挙げて、なんと「一致結束して不信任案を否決しよう」と呼びかけたのである。
 元々、解散総選挙を一番恐れていた民主党議員たち、すっかりその気になって拍手で賛成し、本会議を開くや大差をもって否決してしまったのである。

 肝心の小沢氏は、何の抵抗もせず、仲間のわずか15人と欠席、棄権でお茶を濁してしまったのである。採決では多くの小沢グループ議員が、あっさり反対票を投じていた。
 前夜、小沢氏は造反を決めた70人の議員を集めたが、あれは一体なんだったのだろうか。いざとなったら、求心力はほとんど無いのだということを暴露されてしまったのである。
 最後まで残って、賛成票を投じたのは松木謙公氏ただ一人であった。
 しかも、議場に入ろうとする松木氏を、力で阻止しようとする民主党議員と、あわや乱闘騒ぎとなった。国民から選ばれた議員を、自分たちの意にそわないとからと、議場に入れず採決に参加させないなどの行為は許されることではない。懲罰処分ものだ。

 小沢氏との連携を模索し、不信任案の早期提出を主張した自民党長老議員たちは、怒りをぶちまけていたという。こうした長老議員の動きに懐疑的であった石破政調会長は、「小沢、鳩山チルドレン達が決起するという誤った情報に振り回されて高揚したのは、間抜けだった」と記者団に語った。この点は私も同感だ。

 そもそも、覚書なるものは、菅氏側の北沢防衛相と鳩山氏側の平野元官房長官が極秘に連絡して作り上げたものである。あくまでも辞めたくない菅氏、不信任案に賛成して党を除名されたくない鳩山氏の2人である。
 この気持ちを汲んで作られた文書だから、どちらも都合よく解釈できる、つまり中身は玉虫色になるのは当然のことであった。本来、国家の命運を担う総理大臣という重席を、数人の者で、しかも密室で決めるなど断じてあってはならないことである。

 立ち会った岡田幹事長は、「退陣の時期は切っていない」と記者団に語り、鳩山氏は「それは嘘だ」という。菅氏本人は「退任するなど言ってないし、そんなことは紙に書いてない」と鳩山氏に不信と怒りをぶつけているという。これが前総理と現総理、ともに民主党政権を作った、かっての仲間なのだからあきれる。
 言った言わないはどうでもよい、それにしても菅氏とはどこまで厚顔なのだろうか。今や、「辞めろコール」は国会の中だけではない、国民全体の声のように巷に満ち満ちている。
 鳩山氏もそうだ。この人の変節ぶりは今に始まったことではない。
 小沢氏と一緒に行動し、不信任案に賛成すると天下に表明していたのに、その3時間後には、「否決のために一致協力してください」なのだ。
 本会議後、菅氏が辞任しない意向を示唆すると、今度は「裏切られた、最低だ、人間のクズだ」とまで記者団の前で言う。そんなクズの不信任案を否決させたのは一体誰なのだ。
 裏切られた、はしごを外されたと小沢グループが反発していると聞くや、すぐに小沢氏に電話を入れて、「しっかり決着をつけます。信じてください」と言ったと報道された。
 「信じてください」というセリフはどこかで聞いたことがある。そうだ、沖縄問題で米大統領に言い、その後何もできないで顰蹙をかったことがあった。
 この人は本当に恥というものを知らない。
 そういえば、恥を知らない連中が、今回、他にもいた。小沢氏と行動を共にすると、カッコよく辞任した副大臣ら4人だ。
 菅総理から慰留されると、待ってましたとばかりに、早々に辞表を撤回した。「空気が一変したから」と、訳の分からないことを言っていたが、要は保身の為なのである。後学の為に名前を書いておこうかと思ったが、馬鹿らしくなって止めることにした。

 菅おろしが不発に終わった夜、小沢氏はグループ議員40人を引き連れてカラオケ屋に行って騒いだという。何とも子供じみているが、その店で周りが止めるのも聞かず、テキーラを呷っていたという。
 秋には政治と金の問題で、自らの裁判も始まる。酔わずにはいられない小沢氏の心情を哀れだと思った。

 かくて茶番劇第一幕は終わった。終らないのは、被災者の苦労と原発の不安だ。
 国民不在、この国を愛することを忘れた亡国の政治家たち、1日も早く政治の舞台から去ってくれないものか・・・・。