近頃、どうも腹の立つことが多い。
 例えば、大相撲八百長処理問題だ。今回、実に23人の力士が処分を受け(あと2人追加処分されるようだが)、谷川親方を除いて他の全ての力士が引退届を提出した。
 最初は不満だったが、受け入れなければ退職金が出ないということで応じたようだ。なんだか弱みにつけ込んだような感じで愉快ではない。
 八百長は一体、いつごろから行われていたのか。今回、処分された者以外にはいないのか、今回の処分が本当に公平だったのか、大いに疑問のあるところではないか。
 夏場所は技量審査として、無料で開催すると決めたが、一体これは何を意味するのか、さっぱり分からない。
 そもそも、前にも書いたが、相撲を一般のスポーツと同じものというとらえ方に私は不満を持っている。
 相撲は日本の伝統文化で、スポーツとしての側面の他に、神事、興業、そして娯楽といった色々の要素を持っている。どれかその内の一つを取り出して、こうだと決めつけることはできない。
 金銭がらみの八百長が横行していたことは、社会常識からいって許せるものではないが、犯罪と確定できない、曖昧な部分が多いように思えた。無理に決めつけて処分して、一件落着としたいという思いが見え見えである。
 これだけの大騒ぎになって、まさに相撲の存亡に関わる事態になったのだから、相撲協会は勿論、各部屋の親方衆はじめ力士達は、もう二度とあのような過ちは犯すまいと心に誓っている筈である。私はそう信じている。
 それではあまりに性善説すぎると言われるかもしれない。しかし、厳密にいって、八百長は阿吽の呼吸で決まるもので、だから力士たちを信じる以外にないではないかと私は思っているのだ。
 百歩譲って、仮に金銭が動くようなことがあれば、今やこれほど監視の目が光ってる時代、決して見逃されることはないと思うのだ。

 そもそも、特別調査委員会の調査そのものが、あまり信用出来るものではないと思えてしかたがない。確実な証拠といわれるほんのわずかな携帯電話のメールと、3人の証言以外に、本当に証明出来るものが何かあったのか。
 この委員会は、どうもマスコミや世間のことばかりを気にしすぎていないか。
 私には相撲に対する深い愛情が全く感じられないのだ。大相撲の大改革は、これをこよなく愛する心から始めるべきだと思うのだがどうだろうか。
 私のような純粋なファンから見れば、功を焦って早く罰して、一件落着させようと考えているのではないかと、勘ぐりたくなる。
 こうした事件を再び起こさないために、旧来の悪弊をどう絶ち切り、健全な仕組みや環境をどう作っていこうか、そこをしっかり見極め改良していくことこそ大事だと思っている。
 改善しなければならない点で、いくつか例を挙げれば、まず支度部屋だ。最近では色々の力士が平気で他の部屋に出入りしている。こうした馴れ合いが問題なのだ。他の部屋への勝手な出入りを禁止する、そんな簡単な事すらできていなかったのだ。
 もう一つは、外国人力士があまりに上位を占めているという点だ。幕内力士42人の内、外国人力士は20人もいる。もちろん、日本人力士が弱いことが原因だが、それにしても多すぎて、これでは日本の国技などとは恥ずかしくていえない。
 モンゴル人は12人、ブルガリア、エストニア、ロシア、韓国、中国、ブラジル、グルジア人と、まさに国際色豊かだ。思わず、これでいいのかなと考えてしまうのだが、私だけの思いだろうか。
 取り組み直前、モンゴルの力士が、同国の横綱と楽しげに談笑していたと話題になったが、本来そんなことは許されることではないのだ。
 八百長相撲はプロでも見極めることが難しいといわれている。やっぱり力士一人ひとりの自覚に待つしかないのだが、ならば日常の教育をもっと徹底することだ。
 協会も各部屋も、若い力士をしっかり教育しなければならない。もっともその前に指導者たちの社会教育、人間教育が必要だが・・・。

 相撲協会が決めた、夏場所は無料ということも一体何のためかわからない。
 仮に謝罪の為というなら、誰を対象にしようというのか、無料で招く相手は誰なのか、どういう基準で選ぶのか。これでは見せかけだけの、詫びたふりをしていると言われても返す言葉がないではないか。
 しかも、本場所ではなくて技能審査だという。本来、年六回の本場所はすべて技能審査なのだが、何が言いたいのか益々分からなくなる。これでは娯楽だけの「花ずもう」ではないか。
 表彰も懸賞金も無いという。お茶屋さんからの飲食のサービスもないのだろうが、これではお茶屋さんの商売あがったりで、大丈夫なのかと余計な心配までしたくなる。
 館内に募金箱を置いて、東日本大震災の義捐金を募るというが、ならば有料にしてその収益金をそっくり被災地に送ればいい、なんとも腹立たしい話ではないか。

 腹の立つときは美味しい物を食べて一杯飲むにかぎる。そんな訳で自宅近くの「鮮彩酒膳しげ正」に寄った。家から15分のところだ。
 ここの主人は、台東区で有名な「金太楼鮨」の出身だ。
 そもそも金太楼鮨は私の古くからの応援者である。ポスターを頼むときは本店に持っていけば、20店舗以上ある支店に自主的に貼ってくれる。
 ここの会長はかなり高齢になった今も、毎朝筑地市場に通っている。頑固な人だがそれだけに一度決めたら筋を曲げることはない。
 私は27歳で台東区会議員になったが、カウンターに座って初めてお寿司を食べたのがこの店で、なんだか一人前になったような気分で、得意満面になったことを今でも鮮明に覚えている。今も出前はこの吉野町店に頼んでいるが、おいしくて安い。

 「しげ正」は寿司店と名乗らず、わざわざ「鮮彩酒膳」としているが、それは自分が修行した金太楼鮨店から2k以内のところで出店したからで、寿司店と名乗っては仁義に外れるというわけなのだ。なんとも今どき、律義なことではないか。
 大震災直後、私は区議会議員等と、浅草雷門前で募金活動を行なったが、丁度、目の前にある店に気がついて、あれはどういう店かと石川議員に聞いたことがきっかけであった。
 7年も前から在る店で、「先生のこともよく知ってます」とのことだった。

 店主は堂々たる太鼓腹の人で、感じの良い奥さんと二人で素朴に営んでいる。
 「今日のお奨めの魚は」と聞くと、「石鯛です」と大きな声が返ってきた。
 震災後は高級店にもお客が来ないので、高い魚はあまり買わないようだ。「それで普段の半値になっているのです」と、どこまでも正直者なのだ。
 自慢の「おまかせ寿司」は1800円、種もいいし握りもしっかりしている。
 店名のように寿司だけではなく、何でもアリで、厚揚げ500円、えびなどのグラタン各550円、ハッスル納豆800円・・・。連れて行った孫たちは大喜びで、おじいちゃんの株が一段と上がったことは言うまでもない。

 腹の立つときは、やっぱり食べて飲むに限る。支払いも安かったので、帰りはご機嫌であった。

 鮮彩酒膳 しげ正
  店主 下重 正法
  東京都台東区雷門2-17-13
  電話:03-3842-9888