日本だけでなく、世界中に、人の不幸を種に稼ごうとする連中が居る。腹立たしいことだ。
 17日海外の外国為替市場で一時、1ドル76円25銭を記録した円相場は、東京市場でも1ドル77円台の高値をつけた。これは戦後最高の高値である。
 大震災と東京電力福島第1原子力発電所の深刻な事故で、本来なら円売り円安が進むと思うのだが、投機筋は逆にこの機会にと狙いをつけるのだからすさまじい。
 いわゆる投機筋は中東・北アフリカの政情不安から、当面投資先が見当たらず資金がだぶついている傾向にある。「投機筋がうわさや風評を流して、朝5時という商いの薄い時機に、猛烈にドル売り円買いをやった」と、これは与謝野経済財政相の弁だ。確かに16日のニューヨーク市場は、投機筋らしい大量の買い注文が入り、これをきっかけに一気に円高が進んだ。

 うわさや風評といえるものに、例えば「日本での銀行、保険会社が、海外資産を売って、円に換金している」というのがある。そうなれば確かに円高は進む。確かに企業が被災した工場などの復興費として、円資産を確保しようという思いもあろうし、資金需要が高まる年度末も近づいている。
 しかし、実際には銀行や保険会社は、目下のところ手持ち資金を潤沢にするために海外資産を売っているという状況はない。日本企業に、資金を戻す動きが表面化していないのに、こうした状態になったのだから、やっぱり投機筋の思惑で円高が進んだとしか考えられない。

 今、震災によって日本の産業界は生産体制等、多大な打撃を受けている。
 自動車業界では、災害地に生産拠点や関連部品メーカーがあり、大きな被害を受けた。三菱自動車を除く11社が生産を停止し、再開の目処も立っていない。
 これは電気業界なども同様で、このまま円高が続けば輸出企業は益々業績を悪化させ大打撃を受ける。
 ようやく持ち直しかけた日本の景気回復に皮肉な言い方だが、冷や水を浴びせかねない事態となっていくのだ。

 一方、円高で良い点もある。
 これから巨大地震からの復興の為に、原油、資材、機器などが大量に必要になるが、円高でこれらの調達費を抑えることが出来るのだ。
 今、国際的に食料価格等が高騰し、国民生活を圧迫しているが、これを緩和することも可能だ。これから、あらゆる必要物資の調達が急増するが、日本が災害から立ち直る為にも、円高はその負担を軽減させることにもなるから全て悪いことではない。

 しかし、とはいえ、これからの日本経済を考える時、当然ながら市場の安定化は絶対に必要なことである。
 幸い、18日早朝、先進7カ国(G7)の財務省・中央銀行総裁による電話会議が開かれ、急激な円高を抑える為に、各国が協調して介入することを決めた。
 仮に日本単独の為替介入を行えば、逆に一気に円安に走りすぎたり、あるいは効果無しの結果になりかねない。しかし、各国が同時に協調介入ということになれば、確実に歯止めをかけることが出来る。これは日本を支持しようとする各国の強い姿勢の現れで、嬉しいことである。
 ただ残念なことに、急遽開かれた会議は、本来なら日本からの要請によるべきだが、フランスのラガルド財政相からの提案だったことに、民主党政府の弱点があるように思えてならなかった。

 直ちに、その効果は確実なものになって、前日より2円以上安い81円70銭台で取引が推移している。
 産業界が今年度下半期に想定している為替レートは、1ドル80~85円だから、ようやく落ち着いてきたといえる。
 あとは、思い切った被災地支援や災害復旧に全力を尽くし、原子力発電所問題を早急に解決することだ。日本が、この最悪の状況を乗り越えた時、はじめて市場の安定が確かなものになる。

 今も、自衛隊、警察、消防が必死で放水を続けている。今回の災害で自衛隊の活躍は本当にめざましく、この存在がなかったら、日本はどうなっていただろうかと思ってしまう。かつて、民主党の首脳は、「自衛隊は暴力装置」だと発言したが、土下座して詫びろと言いたい。事業仕分けとやらで隊員数と予算を削った連中は謝罪するべきだ。
 それでも尚、黙々と自衛官は働いている。
 心から感謝したい。

 ちなみに、広域緊急援助隊、特に今回のハイパーレスキューは、1995年の阪神淡路大震災の翌年、私が自治大臣の時に決め、発足させた組織だ。なんとか頑張って欲しいと神や仏に祈るばかりである。