2月26日の日本テレビ、「北方領土が危ない」を見ていてびっくりした。何よりもあまりに多くの人が無関心で、真剣に考えようとする人が少ないということである。
 中国やロシアでは、領土問題というと眼の色を変えて自国の領有権を主張し譲ろうとはしない。多かれ少なかれ、いずれの国も同じことで自国の領土は決して離すことはない。それに比べて日本人のこの呑気さは一体なんなのか。
 中には「ロシアがそんなに欲しいなら、渡したらいいのに」と、平気な顔で言った若者までいた。腹立たしい思いよりも、そんなことも分からないのかと悲しくなった。
 言うまでもなく領土問題は国家主権にかかわる問題である。 

国際法上、国家領域は、原則として、「国家が排他的に支配する空間」で、その空間は領土、領海、領空に分かれている。簡単に言えば「他国に一切侵されることのない空間」、それが国家で、だからこそここに住む国民の生きる権利が保障されるのだ。
 歴史的に見ても国際的にみても、日本の固有の領土と認められているものを、相手国の強圧的な動きによって、あっさりと渡すなど断じて許されることではない。それは国民の生きる権利を他国に引き渡すこと、国民の命を差し上げることにほかならない。

 もともと北方領土(国後、択捉、歯舞、色丹)は、まぎれもなく日本の領土であった。
ところが、あの第二次世界大戦で日本がまさに敗れんとした時、日ソ不可侵条約を一方的に破り、宣戦布告するや怒涛のごとく我が国を侵略し、あの北方領土を軍事占領してしまったのだ。
 だから、日本政府は基本的立場として四島を、一括して返還することを要求しているのだ。
 本来、四島は同じように日本の固有の領土だから分割して論ずる事はできないのである。

 一方のロシア側は、国際協定その他により、すでに解決済みとの態度をとり、返還交渉の余地はほとんどなかった。
 しかし、1993年(平成五年)、エリツイン大統領が来日し、「日ロ関係に関する東京宣言」を発表した。この中で北方領土問題について、交渉の対象が先に述べた四島の帰属問題であることを明記した上で、「両国が合意した諸文書」と「法と正義の原則」を基礎に、平和条約の早期締結に向けて交渉を継続する旨を盛り込んだ。
 大統領は宣言署名後の記者会見で、「国際約束」の中には色丹、歯舞二島の返還を明記した1956年の日ソ共同宣言が含まれることを明言した。
 東京宣言は、その後の日ロ間の話し合いの基礎となっている。

 ところが、最近のロシア政府の動きは、交渉の継続どころか全くその逆で、メドベージェフ大統領が国後島を訪問するなど、実効支配への方向を誇示しようとさえしているのだ。
 日本政府は、こうした動きにただ狼狽えるばかりで、為すすべもない状況だ。
 菅直人首相は「許しがたい暴挙」と演説するだけであった。そんな言葉だけで「はい、そうですか」などと引き下がる相手ではない。案の条、むしろ一層、逆に強気で、経済発展の為と称して、中国との合弁事業まで国後島で行おうとし始めた。プーチン首相らは、軍事施設の強化などで日本への圧力を図ろうとさえしている。

 何故そのように、ソ連の一方的な動きになるのだろうか。
 その一つは、日本政府に具体的な戦略が無いからである。とくに民主党政権になってから、益々無策だ。
 鳩山前首相は「四島同時に返せというアプローチであれば、未来永劫平行線のままだ」と言って、二島先行返還論を主張する。前原大臣は「あくまで四島一括返還で、あの人は違うことを言う」と反論する。要は何島返えせという、まとまった民主党政権としての方針がないのだ。

 北方四島は日本の領土だという主張は正論だから、これは言い続けなければならない
 しかし、過日の前原大臣もそうだったが、ロシアの首脳と会談する度に、ただ「返せ返せ」というだけでは、相手も又かと辟易するだけで、ことが進展するはずもない
 大事なことは、両国の間にある様々な問題を、より大局的な立場で常に論じ合い、両国の発展のために協力しあって、真の友好関係を、まず構築させることではないか。相手の国は相当したたかで簡単なことではないが、倦まず弛まず、こちらもしたたかに努力を続ける以外にない。それがまさに外交なのである。

 それにしても心配なのは、国民の領土問題についての無関心ぶりだ。とくに前述のような若者の発言などを看過するわけにはいかない。
 日本をめぐる領土問題は、ロシアだけではない。まさに火がついているのが尖閣諸島で、中国とはこの問題で一触即発の状況にある。尖閣諸島は1896年(明治29)、3月、日本領土に編入され沖縄の石垣島に属している。まぎれもなく日本固有の領土である。
ところが、1970年代に入って、この付近の海底に豊富な石油資源、天然ガス層が埋蔵されていることが推定されるようになって、にわかに中国が領有権を主張するようになったのだ。
 理屈は中国の大陸棚が続いているからということだが、この理屈から言えば沖縄まで俺のものだといいかねない。現にそうした動きも出始めている。
「ロシアが欲しいというなら譲れば」などと戯言を、中国の人が聞いたら喜んで小躍りするに違いない。

 領土問題についての非常識ともいえる無関心さは、戦後から今日まで、あまりに平和な状態が続いた故かもしれない。いわゆる平和ボケだ。
 やっぱり、今一番大事なことは、正しいことをきちっと受け止められる人間作り、つまり教育こそ急務だと思うのだ
 日本の歴史をきちんと正確に教える。この国に生まれ育つことがどんなに幸せなことか、そしてこの国をより良くして次の世代に渡していく。そんな優れた日本人を育てることが求められているのだ。
 皮肉ではないが、まず政治家からこうした教育をする必要がありそうだがが・・・。

 重ねて言いたい。領土問題は国家主権に関わる大切なテーマだ。皆でしっかり考え、理解し、誤りなきよう対応していかなければならないと思っている。