言いたい放題 第135号 「あきれた混乱ぶり、迷走菅政権」

 菅総理は一体、何を考えているのだろうか。
 彼等が提出した新年度予算案は自然成立するけれども、関連予算はそうはいかない。参議院では数が足りないから、当然、否決される。衆議院で再可決させるには三分の二の賛成が無ければならない。一時は公明党との提携を模索したようだが、これはどうやら断られたようだ。後は再び社民党と手を結ぶしかないが、沖縄問題で、まとまりそうもない。
 このような手詰まり状況のなか、最も大事なことは党内の結束だが、それが最悪状態なのである。
 政治と金の国民的批判がおこると、まずその対象者である小沢氏の追い落としを始めた。これで少しばかり支持があがると、あとは強気でそれ一辺倒だった。
 しかし、党内の反発が起こると、すぐにトーンダウンだ。
 二月十五日の常任幹事会では、小沢氏の「党員資格停止」をきめた。彼の判決が決まるまでの停止だから、党の定める三段階の処分の内もっとも軽い。一時は離党させる勢いだったのだから、あの頃から比べればかなりの後退だ。

 しかし、そうはいっても小沢グループにしてみればこれは大変なことである。
 何しろ頼りの親分の影響力が低下すこと間違いないのだから、菅首相への反発は強まる一方である。
 十七日には、十六人の民主党衆議院議員が、「民主党政権交代に責任を持つ会」なる新会派を立ち上げ、なんと会派離脱を表明した。
 この連中は比例単独下位当選者ばかりで、次の選挙では再選不可能な人達だ。次の選挙で戦うべき自分の選挙区を持っていないのだから気の毒ではあるが、だからといってこんな造反は許されることではない。
 一応、菅首相が国民と約束したマニフェストを「捨てた」からだということを大義名分にしているが、これは言い訳に過ぎないことは明らかだ。
 私が最初から言い続けているように、もはやマニフェストは財政不足で破綻していることは誰もがわかっていることではないか。見直すことは政権政党として当然のことなのだ。
 大体、本来ならば民主党会派離脱ではなくて離党、というのでなければおかしい。

 はっきりいて、こうした混乱の原因は菅首相の指導力の無さにある。いや、為政者としての資質の問題というべきか。民主党にはリーダーたるべき人材がいないといわれ続けてきたがここまで、ひどいとは思わなかった。
 前任者の鳩山首相の場合もお粗末だった。しかも、今現在も、相変わらずの言動で国も国民も大迷惑をうけているのだから始末が悪い。
 彼はかって沖縄の基地問題で、「最低でも県外」と公約した。その公約はついに果たせなかった。
 ところが最近になって、沖縄タイムスなどに、米軍普天間飛行場の移設問題に対する当時の取り組みを語った中で、「米海兵隊の抑止力を挙げたのは方便に過ぎなかった」と言ってのけたのだ。
 本当に驚きあきれたのは、私一人ではないと思う。彼の発言で沖縄県民の政府に対する不信は一層深まった。米国の失望も大きいに違いない。
 海兵隊を含む在日米軍全体は、我が国の安全と、地域の安定に大きな役割を担っていることは、今更、言うまでもないことである。
 どちらにしても、政治家の言葉の軽さは断じて許されないことなのである。
言いっ放なし、やりっ放なしの無責任な人達は、もう消えてくれというのがみんなの声だ。
 
 菅首相の退陣論は民主党のなかで、益々広がっている。十九日には、樽床伸二元国会対策委員長までが、地元の会合で「管政権の存続が我々の仕事ではない。あと一〜二週間で大きな決断をしなければならない」と語っていた。いわば民主中間派にも退陣論がでたということである。
 しかし、私から言わせれば、彼らは物事をすり替えているとしか思えない。はっきり申せば、今、本当に求められているのは,単に菅首相を代えればいいということではなくて、民主党政権そのものを変えろということなのである。
 このまま民主党政権が続けば、間違いなく日本は駄目になるからだ。
 去年、私は、角川書店から拙著「こんな政治じゃ日本が駄目になる」を出したが、そこで語った通りになっている。予言が当たったとはいえ、なんとも残念でならない。

 民主党内で、菅首相の退陣と引き換えに予算関連法案の成立を図る動きが浮上し、実際に野党の一部に声が掛かったようだが、勿論それにこたえる者はいなかった。

 呆れたことに首相が解散をちらつかせ始めたという。野党対策を「古い政治」と強く否定したことで、初めて解散に含みを持たせたのだ。
 選挙基盤の弱い中堅や若手に対して、解散カードをちらつかせることで、なんとか求心力を取り戻そうとしているのだ。
 それにしても菅内閣の支持率は落ちる一方で、二十一日の朝日新聞の世論調査によれば最低の二十パーセント、「早く止めて欲しい」が、なんと四十九パーセントもあった自民党は、民主党内の「菅降ろし」の動きを解散総選挙に追い込むチャンスととらえている。しかし、解散に追い込む為の最大のカードは内閣不信任案の提出だが、衆議院では民主党が三百七議席を占め、自民党は百十七人と可決に必要な過半数には遠く及ばない。うっかり出して否決されたら逆に菅政権を信任したことになってしまう。
 目下のところ、慎重に提出時期を見極めるしかないようだ。

 最近の「首相動静」を見ると、あわただしい動きがみえて面白い。相変わらず首相は毎晩高級店で美食を楽しんでいる。すべて公費であることは間違いないといわれている。
 問題はその相手が誰かということだ。
 二月十六日のように、内閣政務官や首相補佐官といった内輪の場合が多いいが、十八日になるとホテルニューオータニの日本料理店で、参議院のボスといわれる輿石氏が相手だ。この夜は公邸に岡田幹事長や、安住国対委員長、枝野官房長官、仙谷代表代行等が次々と訪れている。まさに風雲急を告げているといったところなのだ。
 十七日は又もオータニホテルの日本料理店「千羽鶴」で、なんと伸子夫人等と会食とあった。強気の奥さんから励まされたのか、もしかしたら、「もう止めましょうよ」と言われたのか、政界雀の話題には事欠かない。

 政治が、国民からこんなに離れてしまった時代は少ないのではないかと思うと、本当に残念でたまらない。
 「一度位、やらせてみるか」といった安易な考えは、生きた国家と国民を扱う政治に関しては、およそ許されないことなのだ。
 ともかくここ当分は、政局の動向を注意深く見守るしかないと思っている。