言いたい放題 第128号 「菅内閣改造と自民党の構え」

 去る1月14日、第2次菅改造内閣が発足した。
 この2日前には民主党所属の両院議員総会、続く13日には千葉県で党大会が開かれた。
 内閣や党人事の改造の直前に、こうした会を催せば、もしかしたら「自分も」と秘かに地位を欲しがる人の思惑もあって、激しい発言も手控えるし、同時にガス抜きにもなる。
 一体、こんな考えをめぐらした知恵者は誰なのかと思いたいところだが、現実はそんな甘いものではなかった。それどころか菅首相への不満や、政策変更への批判の大合唱となってしまった。
 特に第2次内閣最大の目標ともいうべき首相肝入りの消費税増税や、TPP(環太平洋パートナーシップ協定)への反発が爆発した。
「マニフェストに書いてあることをやらずに、書いてないことばかりをやっている」という声もあった。要はマニフェストそのものが、実際に実行不可能な、日本にとってマイナスの不良品であることの自覚が、党内にいまだ無いということなのである。
 菅首相は、例の身振り手振りで熱っぽく語ったが、何よりも政策について本格的な議論を党内でほとんどやっていない。
 肝心の党内の合意を取り付けないで、次々と事を進めようとするのだから、破綻するのは当たり前だ。
 特に党大会では、消費税増税論者の与謝野馨氏の経済財政相としての起用について発言を求める声が多く、野次と怒号で、一時議事が中断する始末であった。

 それにしても、今度の内閣の顔ぶれを見ると、一体菅首相は何を考えているのか、なかなか理解できるものではない。
 与謝野氏の起用を、野党対策を考えてのことだという人がいるが、自民党も公明党も、鼻白む思いだ。
 彼は2009年の衆議院選挙で、選挙区では落選し、自民党比例区で復活当選した人だ。言うまでもなく、自民党の票によって得た議席である。
 その後、なんと「たちあがれ日本」の結党に参加した。当然のことだが自民党から除名処分を受けている。しかも、その新党は国会議員6人という小世帯だが、昨夏の参議院選では打倒民主党で戦った。
 今まで、彼の著書もそうだが、民主党の経済政策について、「まともな成長戦略もマクロ経済政策の枠組みも示せない政権だ」と扱き下ろしてきた。
 いくらなんでも、そんな人が宿敵ともいうべき民主党政権の大臣になって、自民党との窓口になったり、与野党連携を進められるはずもないではないか。
 民主党内でも、前述のように当然不満の声はあふれている。鳩山前首相も訪問先のインドで、「もし野党とのパイプを期待しているなら、この人事は逆効果だ」と、この人にしては珍しく正論を吐いている。

 国会は1月24日に招集され、6月22日まで論戦が展開される。私の見るところ、おそらく予算委員会が開かれるや、真っ先に与謝野大臣への激しい追求が起こること必定だ。
 そして、最初からという訳にはいかないが、やがて野党が多数を握る参議院で、問責決議が出され、可決される可能性が高い。大臣を諦めなければ審議はストップとなる。民主党内にも不満が圧倒的に多いのだから、菅首相は与謝野氏の更迭を考えなければならなくなる。しかし、そうなれば任命責任を当然問われることになる。
 少し先を考えるだけでも間違いなく、与謝野大臣の起用は大きな火種となる。政権浮揚どころか全く視界は晴れない。
 一般に内閣改造は、支持率アップの為に行うが、目下世論調査では微増というより、期待薄というのが現実のようだ。なによりも、与謝野氏の起用を50%以上の人が支持していない。

 では、解散選挙に追い込めるかといえば、残念ながら無理で、あっても首のすげかえ程度で終わってしまうのではないか。
 このことは日本及び日本人にとって最大の不幸といわなければならない。
 谷垣自民党総裁は、盛んに「解散選挙」と繰り返し主張してはいる。
 しかし、それが可能だったのは、むしろ昨年の臨時国会の時ではなかったかと私は思っている。
 臨時国会での政府提出法案の成立率はわずかに37.8%に過ぎない。これはこの10年で最低の数字で、こんな脆弱な政権は無い。
 小沢氏の政治とカネの問題もあった。大臣の失言や不祥事も多かった。なのに本気で闘う、倒閣への勢いは皆無だった。何故、補正予算をあっさり通してしまったのか。せめて参議院で30日間棚晒しにするくらいの度胸をみせてくれなかったのか。
 かつて、細川内閣をわずか8ヶ月で倒し、羽田政権を2ヶ月でつぶした私から見て、何とも不甲斐ない。
 自民党再生への検討を積極的に進め、政権奪取の意気込みを持つことが、今の自民党に最も必要なことではないか。
 私には「放っておいてもコケる」、そんな安心感が充満しているようにさえ思えてならないのだが・・・。