この厳しい日本の現状の中で、菅首相がどのように政治を進めていこうとしているのか、正月を迎えて以来の彼の言動を通じて、読み取ることは大事なことだ。
 特に、当面の国会をどう乗り切るつもりなのか注目しなければならない。
 野党は、小沢氏の証人喚問は勿論、仙谷官房長官や、馬淵国交大臣の更迭がなければ審議には応じないと繰り返し主張している。
 仙谷氏と馬淵氏は、すでに参議院で問責決議を受けている。
 普通なら、即、交代なのだ。しかし仙谷氏の場合、陰の総理といわれているだけに、一つ間違えば、政権崩壊にもなりかねないとの不安から、なかなか首を切ることが出来ないのだ。
 それどころか、菅首相は、さも彼を守ろうとし、「参議院が問責した時、即辞任となれば、それは衆議院よりも大きな権限を持つことになるのではないか」等と、ピントの外れた発言をしている。
 ならば、問責決議などいう制度はなんの為にあるのか。神聖な議会で、大臣の責任が明確に問われ、決議されているのに、これを無視するとしたら、国会軽視、いいかえれば国民軽視なのだ。菅首相にはそんな常識もないのか、わかった上での詭弁なら、一層許される筈もないのである。
 国会開会前に内閣改造が行われるようだが、この処遇をめぐっての動きに注目したい。

 小沢氏については、首相は逆に強気一辺倒だ。
 年頭記者会見で、通常国会開会前に、衆議院の政治倫理審査会に小沢氏は出席すべきと改めて示し、野党の言う証人喚問さえ受け入れる姿勢を覗かせた。
 又、政治資金規正法違反の罪で、強制起訴された場合は、民主党離党だけでなく、議員辞職も含めた対応が必要といわんばかりの発言だった。
 明らかに小沢切りをねらっているのだが、その背景に、国民の小沢批判に便乗しようという姑息な思いが見え隠れしている。
 今や、政権を維持出来るかどうかのギリギリの低い支持率になっている。そこで小沢切りで、なんとか浮上させたい魂胆なのだが、国民は、もうそんなことでだまされる筈もない。
 支持率低下の一つの原因は、小沢氏にかかわる「政治とカネ」への国民的批判ではある。しかし、それよりも民主党政権の政策全体のいいかげんさや、無責任さ、つまり失政にあることはいうまでもない。
 小沢氏はBSの番組で「僕自身のことは、私と国民が裁いてくれる。首相は僕のことなんかどうでもいいんで、国民の為に何をやるかが問題だ。」と、傲然と言っている。相変わらず恥を知らぬ厚かましさだとは思うが、今月中に強制起訴されることははっきりしているのだから、むしろ半分は、小沢氏の言い分が正しいように思えてくる。
 小沢氏から言われたくはないが、確かに国民の為に何をやるのか、肝心の今後の政策のありようを、菅首相は明確に示していかなければならない。

 年頭記者会見で、菅首相は3つのことを話した。1は、「政治とカネ」、2は「消費税問題」、3は「環太平洋パートナーシップ協定(TPP)交渉への参加問題」だ。
 今や、国の財政は最悪の状態だが、その中で年1兆円ずつ増え続ける社会保障費を捻出することは不可能にちかい。膨れ上がる財政赤字を放置して国民の安心の基盤である社会保障を将来にわたって維持していく来ことは出来ない相談なのだ。
 だから昨年の参院選で菅首相は初めて消費税10%を掲げた。
 ところが、参議選の失敗で、国民の批判を浴び、形勢不利とみるや、すっかりその発言を後退させてきた。
 今回、再びこの消費税問題を持ち出したが、野党と超党派で議論を進めることを呼びかけている。一見、正しいようには見えるが、民主党内でも反対論が多い。ダメな時は野党に責任をなすりつけるつもりなのか。
 まず党内の意見をまとめることの方が先決だと私は思っている。
 そしてなによりも、選挙の為に作り出した無駄で放漫なバラマキマニフェストをまず変えるべきだ。さらに、前にも述べたが、国会議員の思いきった定数削減や、政党助成金の縮小などを明確に打ち出すべきなのだ。

 TPP参加問題では、菅首相は第3の開国と大見得を切ったが、その後は、農林関係等の反対の中、一体、参加するのかどうか、肝心の判断を保留にしたまま来てしまったのだ。
 TPPは、ニュージーランドなど4カ国でスタートし、これに米国など5カ国が新たに加わる交渉を進めている。
 関税を原則撤廃し、貿易自由化を進めるTPPに乗り遅れれば、日本企業を伸ばし、経済成長につなげることが出来なくなる。
 確かに海外から安い農産物が入ってくるから、農家にとっては苦労は多い。しかし、今までのように、莫大な国費で少数の農家を保護していこうという発想はもはや時代遅れだ。国内農業再生に向けた、具体的方途を国が示すことが大切なのだ。

 菅首相が消費税とTPP参加を掲げたことは間違いではないのだが、私には本気かどうか疑わしく思えてならない。
 第一、この2つのテーマとも何故6月をメドにと、先送りするのだろうか。
 おそらく、4月には統一地方選挙があるからで、その前に国論を2分するような課題は避けようと考えているに違いない。
 通常国会召集は、1月下旬といわれている。会期は150日間、してみると、どうやら6月に国会が閉じて、野党の攻勢が落ち着く頃まで先送りという寸法か。
都合が悪ければ、鳩山前首相と同じで、なんでも先送りで当面をゴマかす、
そんなことは許されない。
 どう考えても民主党政権では、日本の将来のよき展望は見いだせない。
 今年も厳しい目で、政治のありようを直視し続けるしかないのか。