「恥」ということを知らないのだ。
 いえ、今回は民主党政治家達のことではなくて、海老蔵氏のことだ。
 真夜中、飲み歩くだけでもどうかと思うが、暴走族の恐いお兄さん達と飲んだくれて、挙げ句の果てが、「死ぬかと思った」ほどの乱暴を受けて大怪我だ。
 記者会見ではいかにも殊勝らくし振る舞って頭を下げたが、はっきりいって得意の芝居っ気たっぷりで、本心は、そんな可愛げなものではない。一語一語が舞台の台詞回しのようで虚(うつ)ろだった。
 記者会見は、聞かれたことに答えるという形だったとはいえ、女房や親に公の場で謝ることはない。そんなことは家でやれ!だ。あえて言えば親や女房に対して何より不言実行が大切なんだぜ。
 第一、泥酔しての事件なのに、自分は被害者だという点だけは妙にはっきりしていて、相手とやりあったことになると「覚えていません」か、「警察の捜査中なので言えません」と、なんだか、つまらぬ大臣達の国会答弁とそっくりで、誤魔化し、言い訳であることが見え見えなのだ。
 テレビで、過去の隠し子騒動の折の海老蔵氏の記者会見の様子を何度も映していた。
 「相手が産みたいと言うし、自分の子供だというから認知した。」と語り、結婚するのかとの問いに、「全く結婚する気はない」と平然と答えていた。
 結婚しない相手と子供を作った。個人的なことではあるが、社会の常識として許されないことだ。なによりも相手の女性に全く失礼で、まさに女性蔑視ではないか。
 もっと重要なことは、生まれた子供のことだ。経済的な面倒を見ればいいというものではない。本来、祝福されてこの世に生まれた尊い生命だ。その尊厳に、いささかの思いも寄せていない。これほど、恥知らずな姿勢はない。
 97年、市川染五郎も隠し子がいたことをフライデーされた。慰謝料と養育費で話がまとまったという。
 歌舞伎の御曹司とは、そんな偉い特別な存在なのか。日本の伝統文化とちやほやされて、すっかりその気になっている連中も多いようだが、たかが江戸時代からの演劇ではないか。
 そういえば、歌舞伎は「かぶく」で、異様な風をするとの意味でもあるから、一般常識からはみ出していて、人として欠けている部分が多いのかも知れない。
 よく、彼らの世界で「女性関係は芸の肥やし」というそうだ。
 今の時代、そんなことは通用しないが、そういえば、海老蔵氏の親の団十郎氏も女性問題がこじれて、相手が自殺しようとした事件があった。
 これでは、芸をどんなに教えても、人として、親としての教育が欠けていたといわれても仕方がない。

 結婚したての奥さんが、自宅玄関前で深々と頭を下げて亭主の不始末を詫びていた。
 あぁ、可哀想にと一瞬思ったが、用意され暗記しているように、あまりにもきちんとした言葉遣いで、逆に白ける思いがあった。
 よく観察すれば、いかにも自信たっぷりの清々とした顔で、明らかにテレビを意識している。まるで舞台の自分が、どう皆の目に映っているかを客観的に見ながら演じているようにさえ見えた。
 新妻らしく、少しおろおろして、せめて訥弁(とつべん)であったらいいのにと思ったのは私一人ではないだろう。まぁ、似た者夫婦か。

 おまけに、海老蔵氏が花嫁に贈った1千万円もする結婚指輪が、友人を通して外国から届いたもので、消費税未納であったことも暴露された。テレビで平気で自ら披露した指輪だ。なんでもありのやりたい放題、こんなことも許されると思っていたのか。世俗離れした人種なのだ。

 こうしたスターのスキャンダルになると、テレビに出たい有象無象が次々と登場して、したり顔で解説するから面白い。他人様が海老蔵氏に代ってあれやこれや、その心境とやらを本気で語るのだから、どう見ても変なのだが、御本人は一向に気付いていない。
 瀬戸内寂聴という有名な尼さんが、海老蔵氏への激励文をテレビ局に送り、朝の番組で流していた。その文章の冒頭で、人生には「まさか」という坂がある・・・と述べていたが、仮にも名のある作家なのに、そんな、みんなが使う通俗的な言葉で諭すなど、なんとボキャブラリーの乏しいことかと情けなく思ったものだ。
 第一、激励する手紙なら、本人に直接送ればいいのに、いかにも麗々しくテレビ局に送って読ませるとは、今更、売名は不必要な有名人なのに・・・、出たい人はいつも出たがるものなのだ。

 昨日、暴行を加えた容疑者が逮捕された。一体、どんな場面だったのか、どちらに非があったのか、事の真相が明らかになるだろう。
 そして、テレビや新聞等々マスコミは、又、格好のネタとして大喜びで、連日やかましく報道するに違いない。
 みんな自分の利害ばかり、もう、そんなことはどうでもいい。
 勝手にしやがれ!というのが私の率直な思いである。