やっぱり、というか当然のことだが、仙谷由人官房長官の問責決議が、参議院で可決された。
 馬淵澄夫国交相も同様可決されたが、こちらは、まぁ、大したことではない。政局となるには小さい。
 仙谷氏の場合は、なんといってもナンバー2として、菅政権の要だから、これから、どのような対応をするのかで、大混乱となりかねない。注目を集めて当然である。
 自ら辞任するのか、菅首相の決断で罷免となるのか、ここは民主党政権の今後にそのまま大きく影響する。
 あるマスコミの報道によると、「問責決議を決めるのなら解散だ」と、仙谷氏自身が言ったとか言わないとか・・・。解散を嫌がる政党や議員達を牽制するつもりなのか。
 このところ本人は、影の総理などといわれて、すっかりその気になっているのかもしれないが、この言葉が本当だとしたら、とんでもない錯覚、というより、まさに傲岸不遜、これ一つでも直ちに更迭されるべき筋合いだ。
 衆議院の解散権は、総理大臣の特権ともいうべきものだ。痩せても枯れても、現在の総理は菅氏で、彼が判断すべきものである。

 朝日新聞の社説(11月27日)で、「国会は大事争うべし」とタイトルで、論ずべき重要課題が多いのに、傾聴に値する議論がほとんど無いと嘆いていた。
 確かにその通りで、様々な国家的重要な事柄について、具体的にどう対応すべきかの本格的議論は、与野党共に少なかった。
 しかし、だからといって、問責決議までも旧態依然の抵抗戦術と決めつけて批判するのは、いささか短絡過ぎるように思える。
 この社説で、官房長官が「自衛隊は暴力装置」と言ったことについて、「謝罪すればすむ話ではないか」と書いている。これには驚いた。とんでもない話ではないか。仙谷氏が「暴力装置」と言ったのは今回が初めてのことではない。今までに何度も繰り返している言葉で、まさに彼の本音なのだ。赤い官房長官と言われる所以だ。
 国の守りに人生をかけている自衛隊の隊員達が、これを聞いてなんと思うのだろうか。
 かつて、私はテロ対策特別委員長として、新テロ対策特別措置法を成立させたことがある。日本の国際貢献としてインド洋給油活動に再び自衛隊を派遣したのだ。
 献身的な彼らの行動は世界から称讃され、日本の面目を大いに施したものであった。
 自然災害の多い日本だが、その度に自衛隊員達は、泥まみれで頑張ってくれている。
 阪神淡路大震災の折、私は直ちに現地を視察し、自治大臣になるや、その復興のために全力を尽くした。その折々に、自衛隊員の滅私奉公に徹した、見事な働きぶりを目の当たりにして、何度も目頭を熱くしたものだった。
 そんな彼らを「暴力装置」などと言って良い筈がない。まして、政権の要、官房長官なのだ。謝罪すれば済むといった簡単なことでは断じてないのだ。

 もとより問責決議は、直接には法的拘束力を持つものではない。
 しかし、参議院において「あなたはその職にふさわしくない」と断定されたのだから、辞任するのが道義的責任の取り方で自然だ。
 仮に、この政治的責任を問うという決議を無視することがあれば、議院内閣制は成り立たない。
 問責された大臣が本会議や委員会に出席し答弁しようとすれば、当然、野党は審議拒否して対抗する。国会の運営は滞って何も出来なくなること必定だ。
 かつて(1998)、額賀福志郎防衛庁長官が参議院で受け、1ヶ月後に辞任したことがある。
 ねじれ国会といわれた時だった。現在もねじれ国会だが、あの頃は政権政党自民党が過半数に足りなかったが、今日政権政党民主党の数が足りない。同じねじれ国会といっても、全く逆で、因果はめぐるということであろうか。

 今、菅内閣の支持率は激減して、調査によってはすでに20%を切っている。
 参議院では、経済対策を盛り込んだ補正予算案は野党の反対多数で否決された。しかし、憲法上の規定で、衆議院の議決が優先されるので、両院協議会を経て、11月26日成立することになった。
 すでに予算関連法案も通っている。だから、この臨時国会は、空転するかもしれないが、ひとまず閉会にはもっていけるであろう。問題は来年度予算を決める、年明けの通常国会だ。
 もし仙谷問題をこのまま放置していたならば、野党は通常国会でも審議しないという姿勢にならざるを得なくなる。
 国民にとって最も重要な予算だけに、そんな事態になってはならない。ここは菅首相の決断が求められるところだ。
 さて、どうするのか。
 もし、仙谷官房長官の更迭も出来ない菅首相なら、まず自分を更迭?するしか道はない。