言いたい放題 第88号 「オーバーホール」

 やっぱり私が最終的に頼るところは杏林大学病院だ。
 腰痛も痛風もここで診断を受け、もう一息、丁度定期検診の時期も来ていたので、9月16日、腸と胃の内視鏡の検査も受けた。
 DNAの故、できやすい体質だから、例の如くポリープを5個発見、すぐ切除したが、後は全てOKだ。オーバーホール完了というところか。
 大腸ガンの手術を受けて丸7年になるが、ここまで来るとすっかり馴れて、こちらの心境は悠々だ。検査中医師と一緒にモニターを見て、「あそこにポリープがあります」など余計な口出しをしたりしていた。

 オーバーホールといえば、自動車免許証も更新時期で、大西英男君の世話で、江戸川区の教習所で研修を終えた。
 この研修の基本は、如何に70歳以上の高齢者事故が多いかを繰り返し叩き込むといった寸法で、いわば高齢者対策の一貫なのだ。
 3時間余、これでもかこれでもかと聞いていると、本当に老人になったような気になってくるから、やるせない。

 いずれにしても、これで心機一転だ。又元気に行動を再開しようと、まず勝野洋さんの還暦の祝いで、赤坂プリンスホテルに出掛けた。私は発起人の一人である。
 彼は昔、私が乗馬に凝っていた30代の頃(国会議員1年生)の出会いで、キャシー中島さんら家族も含め、長い交流が続いている。
 御殿場にアルカディアという乗馬クラブがあって、忙しい日々だったが、時間を見つけては家族でよく出掛けたものだった。
 乗馬にはいわゆる英国風のブリティッシュと、西部劇のようなウエスタンと二種類あったが、私は勿論ウエスタン専門だ。
 アメ横で買いそろえた、映画の西部劇の登場人物の服装に着替えると、心はいつもジョン・ウェインだった。
 ある時、一人で山河を駆け巡り、落馬して骨折したこともあったが、荒っぽいくらいの青春時代だ。
 勝野さんは、自分の馬を持ち、いつも颯爽としていて、まさにスターそのものであった。
 その彼もすでに61歳、色々な有名人から、「おじいちゃん」と冷やかされていた。
 こちらは彼より14歳も年上、「まだまだ青春時代だよ」と言ったが、同席の息子も、黙って笑うのみであった。

 19日は、全日本アームレスリング選手権大会で、墨田総合体育館へ。この連盟は発足して33年になるが、長年、私は名誉会長をつとめている。
 遠藤光男会長が熱心で、自身のボディジム経営の傍ら、一途に努力を続けて、ここまで大きな存在にさせたのである。
 最初はたかが腕相撲ではないかと言われたが、かの有名な映画「オーバー・ザ・トップ」(シルベスター・スタローン主演)の影響もあって、人気も出て今や、ラスベガスの世界選手権大会にも日本代表が参加するようになった。
 私は、軟弱な時代に大いに不満があったので、若者を心身共に健全に育成したいとの思いも込めて協力している。

 300人を超える選手達は、各県の選手権大会を勝ち抜いて、晴の出場だ。
 沖縄から北海道まで、たくましく鍛えられた連中が集っている。
 NHKの地方版で取り上げる為、一人の沖縄出身の選手に密着取材をしている光景もあった。
 ある雑誌社は、一人の女性選手を追いかけていた。一時非行に走りかけていた美少女が、アームレスリングに目覚め立ち直り、世界王者へ。日本ではすでに9連覇という成果を挙げている。是非、ドラマ化したいとの話であった。
 選手達の職業は、元力士や柔道家からファミリーレストランの店員さんまで、それこそあらゆるもので、色とりどりだ。
 背に「海聖」と書いた濃い紺色のユニフォームを着た10人程の若者達がいる。
 これがめっぽう強く、仲間同士の応援も一段と熱が入って、気合いがこもっている。聞けば山口県の漁師仲間達であった。
 一般人に混じって車いすの選手もいて、一歩も引き下がらない。
 思わず私も力が入って、感動し、同時に満たされた爽やかな心になった。

 私は大会パンフレットの挨拶に、「ただ勝つことだけではなく、日常の厳しい鍛錬を通じて、何者にも負けない忍耐心を身に付けよ。最近の日本の状況を見ると、かつての良さが次第に失われつつあるように思う。
 常に家族を大切にし、道徳心あふれる良き日本人はどこに消えたのか残念だ。たくましい君達こそ、社会の良きリーダーになって欲しい。」と書いている。

 存分に大会を見学して、思うことは、私の役目はやっぱり若い世代を慈しみ、しっかり育てることで、それがこれからの私の使命なのだということであった。
 明日は、私が同じく名誉会長をしている空手グループ護身会の大会で文京区総合体育館に行く。
 かつて青少年育成の為に、空手を教えていた時代があるが、その時私の下で頑張っていた飯田清君が会長だ。あの頃はのべ1000人近い大勢の生徒を育てていたが、今や護身会はそれを凌駕する勢いだ。ひとえに指導者の熱心な努力の賜なのである。

 やりたいこと、やらなければならないことが私にはまだまだ山程ある。
 年をとった等と思っている暇はない。
 全てオーバーホールしたせいか、又、生気が蘇ってきたような心地がしている。