言いたい放題 第78号 「夏休み」

 猛暑の中、夏休みの子どもらは元気一杯だ。ただ、近頃の子ども達は、塾や学校の部活動が忙しい。私はこの夏休み中ぐらい孫達と少しの時間でも一緒に行動したいと思うのだが、孫の予定表の方がびっしりで、なかなかチャンスが無い。オータニホテルのプールで一日遊んだくらいか・・・。
 せいぜい、夕食を共にしようと、自宅に呼んで、おじいちゃんパスタ(私は料理自慢、特にイタリアンパスタが)を提供するくらいだった。

 菅直人首相の夏休みは軽井沢のホテルで、8月10日から4日間、家族と避暑を楽しんだようだ。
 米国などの大統領は、比較的長期間休暇をとるようだが、日本の場合は一般的に短い。
 だから、菅首相の夏休みを批判するつもりはないのだが、なんとも気の毒なことに、丁度その間、円高が急速に進んで、日本の経済危機が迫っていた。
 直ちに対応を協議する為に、官邸に戻るか、担当大臣を呼んで、具体的対策を立てなければならないのだが、菅首相は一向に動く気配がなかった。仙谷由人官房長官や野田佳彦財務大臣に為替相場を直視するよう電話を入れただけであった。
 菅首相が軽井沢に入った翌日(8月11日)、円相場は1ドル84円72銭をつけた。実に15年ぶりの高値を記録したのである。
 例えば、トヨタ自動車は、1ドル90円を基準にして経営を進めている。円高で1円上がれば実に300億円の損失という。輸出関連企業は大変な損害を受ける。輸出に頼る日本経済全体を見れば、円高は相当深刻な問題であることは勿論だ。菅首相や担当大臣の認識が無さすぎる。いや完全な経済音痴ではないのか。
 一部エコノミストは、この円高は日本政府の無策の結果だと批判している。

 景気を心配する米国や欧州は、自国の通貨を安く導いて輸出を少しでも有利にするよう努力しているのに、日本政府は、「通貨の動きは市場に任せるべき」と平気で繰り返している。
 中・長期的に見るならば、為替レートは各国の資金供給比率によって決まるものだ。
 リーマンショック以来、アメリカではドルの供給量が120%も増えたが、日本はわずか1%増でしかない。
 これでは、円かドルに対して少ないのだから、当然円高になっていく。
 オバマ大統領は、「米国は本来、もっと物を売るべきだったのに長い間、海外から買いすぎてきた」と8月11日の演説で強調した。
 輸出戦略の重要性を訴え、その結果として輸出増を通じて雇用創出をはかろうとしている。9%を超える失業率を少しでも改善しようと必死なのだ。言い換えれば米国の失業率が改善されるまでは円高状況は変わらないということか。
 政府や日銀は資金を供給することは大事だが、目下のところ、その具体策を示そうとしていない。
 ここへきて政府は、追加経済対策を検討しなければと、ようやく動き出したというのだが、あまりに対応が遅いのにはあきれてしまう。
 しかも、動き始めたといっても、菅首相が19日に直嶋正行経済産業大臣から円高の影響などヒアリングを受けるとか、今後、荒井聰経済財政政策担当大臣や野田財務大臣から景気の現状などを聞き取り、対策の必要性や内容を決める方針というだけなのだ。
 しかも、けしからんことに、仙石官房長官は菅首相と入れ替わるようにして、16日から夏休みに入り、政調会長の玄葉光一郎氏も夏休み中であった。4〜6月期のGDP(国内総生産)が、民間予測を大幅に下回ったと内閣府が発表した日に、である。景気減速の懸念が一層強まっているのに「どこ吹く風」といった塩梅なのである。
 民主党政権は明らかに経済無策だ。
 担当大臣が経済の素人ばかりで、その本質を知らない。
 その上、平気で休みをとっている。他の有力者達は、9月代表戦の行方ばかりが気がかりで、研修会やら種々の会合を重ねて大わらわである。
 「こんな政治じゃ、日本はダメになる!」
 猛暑の中、背筋が凍る思いである。