言いたい放題 第73号 「菅首相ではやっぱりダメだな」

 参議院選挙が終って、初の臨時国会が開かれたが、実に短時間であっけないものであった。予算委員会の質疑を見ても、菅首相には本格的に政治に取り組もうという熱意や誠意が感じられなかった。
 良し悪しは別にして、野党時代の菅氏は、もっと歯切れが良くて弁がたった。度々相手の大臣が答弁に行き詰まったり立ち往生したものだったが攻守所を変えると、こんなものかと早々に化けの皮が剥がれた感じだ。
 特に今、肝心の政治と金の問題になると、のらりくらりとした言い逃れに終始して、「第一義的には国会で議論していただくのが適当」と、ごまかしてしまう。
 許されないのは、「役職を辞任したのは政治家として最大級のけじめだ」という答弁である。
 とんでもないことで、せめて鳩山氏や小沢氏が国会議員を辞めたのならまだしも、公約した政策を遂行できずに追いつめられて総理の座を投げ出しただけではないか。小沢氏の場合など、選挙を考えた菅氏が静かにしろと突き放して距離を置いただけのことではないか。
 秘書が起訴されたり有罪になったりしたのだから、実態解明の為に国会で証人喚問や、せめて参考人招致に応ずるべきだ。それを与党の代表として菅首相が指示し実現させるのが、指導力というものだ。
 小沢氏の問題について、検察審査会は起訴相当としたが、二度目の議決がどうなるのか、今みんなで、ひたすら待っているという構図だ。
 これは他人任せのようで全くおかしい。当然、臨時国会でこそ究明されるべきことであった。
 おそらく、菅首相のあきれるほどの腰の引け方は、これから行われる民主党の代表選挙を考えてのことであろう。
 民主党内では、親小沢派の二つの勉強会が開かれたり、鳩山内閣時代の官房長官や副だった人達が公然と首相批判を強めている。
 しかし、そんなことで、肝心の政策も含めて、ぐらぐらしていたのでは、国や国民にとって大きなマイナスだ。

 閉会した予算委員会について菅首相は、「建設的な議論が出来たと」記者団に語ったが、全く嘘だ。ほとんど釈明に追われて、確固たる政策など一向に示せなかったではないか。
 沖縄問題では、米海兵隊の力を否定していたのに、「我が国の安全、アジア地域の安全にとって必要だ」と前言を平気で翻している。
 あれだけ脱官僚を言い続け、「官僚政治を打ち壊さない限り日本の改革は進まない」と豪語していたのに、逆に官に依存し、今やぐずぐずの腰砕けだ。
 予算編成も、内閣の小委員会で大枠を決めると言っておきながら、一律に下げるとはいえ相変わらずの概算要求を基本にする考えのようである。
 消費税問題などは、ただ自分の唐突な発言を謝るだけで終始し、一方で財政健全化に取り組まなければならないとも言う。
 「だから何なのだ」とイライラするばかりだ。

 各新聞には、総理の一日の動静が事細かく載っている。よく見ると、夜といわず昼も、連日のように有名高級店で会食が続いている。
 ホテルオークラの「山里」、ホテルニューオータニの「なだ万」「Taikan En」、都市センターホテル「梅林」、ANAインターコンチネンタルホテル「雲海」、「つきじ植むら」、フランスレストラン「アピシウス」、あの「広島原爆の日」はグランドプリンスホテル広島「羽衣」と、全て有名高級店のオンパレードだ。
 会食の相手はといえば、時に鳩山夫妻であったり、議員仲間や、多いのは内閣補佐官、更に連合会長やマスコミ政治部長など多彩だが、何が目的なのかすぐわかる単純さだ。
 短命を承知で、だから今のうちに普段行けない高級店を回ろうという貧しい根性か、これがみんなの税金、公費であることを考えると腹立たしい。
 自民党時代、歴代総理の奥様、いわゆるファーストレディは、つつましく静かに夫に寄り添うようにして、陰で支えてきたものだが、民主党になってからガラリと変わった。
 外遊の時はタラップを手をつないき、ある時は韓流スターと食事をして喜々としていた鳩山夫人、今度の菅夫人は、かつて菅氏の不倫が発覚した時「バカたれ」と叱ったように、歯に衣着せぬ発言で知られる。亭主を尻に敷くタイプだ。
 なんと驚かされるのは、菅氏が首相になるや、直ちに自分の本を出したことだ。
 「あなたが総理になって、一体日本の何が変わるの」(幻冬舎新書)というタイトルで、なんだか、その能力の無さを妻から問われているような感じさえする。
 橋本龍太郎元首相の夫人のように没後、回顧録を出した例はあるが、在任中、しかも、就任直後に首相夫人が本を出すなど、全く異例はことで前例はない。
 評論家の大宅映子女史の言うように、「9月の代表選挙で負けることを考えて緊急出版したのか」という声にも頷けるではないか。
 出版社曰く、「7月20日初版1万5000部だったが、1週間を待たずに6万部を売れました」。えっ、初版の部数の4倍もあらかじめ印刷していたの?
 なんとも奇妙な話だが、ちなみに通常の印税10%で計算すると、今の時点で450万円超となる。時流に敏感でしっかり稼いで、まさに賢夫人か?
 私の今出している本、「こんな政治じゃ、日本はダメになる!」(角川学芸出版)、好評だが、初版1万部、まだ増刷の話は無い。うーん残念。

 いずれにしても、様々な角度から見て、菅総理ではやっぱり日本はダメになると思うのだが、あなたはどうお考えだろうか。