言いたい放題 第70号 「菅首相の止まぬ変節ぶり」

 民主党の両院議員総会が7月29日、憲政記念館で開かれた。
 2時間に及ぶ総会は、荒れ模様で、菅直人首相や枝野幸男幹事長らの退陣を求める声が次々に飛び出した。
 先の参議院選挙で敗れたのに、誰も責任を取らない。その姿への厳しい声だった。
 菅首相はひたすら低姿勢で、陳謝と弁明で終始した。
 長年政治の世界を歩んできた私から見れば、この総会はいわゆる明らかなガス抜きである。
 言いたいことを言わせて、目前の嵐をなんとか乗り切ることだけに汲々とする。そんな光景は見苦しかった。

 「敗北の原因は消費税をめぐる自らの不用意な発言で、心からお詫びする」と繰り返していた。
 30日には、国会召集日なのに突然首相は記者会見を行った。記者から逃げ回っていた菅首相は、やっぱりマスコミに嫌われることは得策ではないと考え直しての異例の会見だ。
 ここでも菅首相は「民主党の敗因は私の消費税発言で、これが大きく影響したと反省している」と繰り返していた。
 ちょっと違うのではないか・・・。これでは、消費税問題さえ出さなければ負けなかったと言わんばかりに聞こえるではないか。
 全ては消費税が原因だと決めつけ、ひたすら詫びているが、そんな単純、短絡的な言い訳で通用すると思っていることにこそ、大きな問題があると私には思える。
 確かに、首相が消費税を打ち出したことは、あまりに唐突なことであった。党内議論もやってないし、当然合意があった訳ではない。
 おまけに、すぐ批判が出ると今度は「低所得者には負担はかけない。還付する」など、不可能なことを、深い配慮や検討も無しに口角泡を飛ばして演説する。
 野党時代は、言いっぱなしで通ったが、政権担当者にそんな軽々しい発言が許される筈もない。
 つまり、「消費税発言」を通じて、国民は菅首相の実像を正確に見たということなのだ。彼は総理の器ではないと判断したのだ。
 こんな口先だけの思慮分別の無い首相には、とても国を任せられない、そしてそれを支える民主党の内部の統一性の無い混乱ぶりにも、愛想を尽かしたのだ。

 菅首相は、衆議院選挙の時の政権公約について、「出来る限り誠実に実現させる」とも強調した。
 「ちょっと待ってくれ」と、思わず私は唸った。あのマニフェストが、如何にいいかげんなものか、多くの有権者はすでに知っていて、それが民主党離れの原因にもなっている。そんなことも判っていないのか。
 子ども手当も、高校授業料無償化も、高速道路無料化、農家への個別補償も、あのマニフェストに書かれた公約は、選挙に勝たんが為の甘いものばかり、あれは利益誘導という選挙違反行為だ。
 財政事情の悪い中、とても100%実現できるものではないことを、もはや知らぬ人はいないのである。
 公約を守ると言えばいかにも良く聞こえるが、誤った約束事は早く改めるのが誠実というものだ。公約を全てそのまま実現せよとは、今や国民は思っていないし、求めてもいないのだ。
 厳しい日本の現状を直視し、例えマニフェストに書かれているものでも、無理なもの不可能なことは、率直に国民に詫びて変えていく、それが政権担当者側の責任ではないか。
 公約だからと、ただ頑なに進める事は、むしろ有害だと私は思っている。

 今、消費税を上げることは経済状況を考えて私は適切ではないと思っている。しかし、いずれは避けて通ることは出来ないテーマである。
 今まで、選挙を有利に進める為に、口を閉じてきた民主党だが、菅首相がはからずも消費税論議を提起した。ならば、ここは本気で国民に語っていくべきではないか、言い換えれば、これから始まる国会で堂々と議論を進めるべきではないかと私は思う。
 首相の国会召集日の記者会見では、消費税引き上げについて「代表選挙で約束するという扱いは考えていない」と、微妙な言い回しをした。つまりは消費税棚上げ発言ということなのである。
 あぁやっぱり「こんな政治じゃ、日本はダメになる!!」か・・・。