言いたい放題 第69号 「突然の死刑執行」

 7月28日、死刑囚2名の死刑を執行したと千葉景子法務大臣が発表した。
 いずれのマスコミも1面トップで報道し、大ニュースとなったが、今までこんな大きな扱いになったことはない。元々、死刑執行などは、格別な事柄だけに、ニュースの片隅でひっそり報道されるものなのである。
 今回のこの大騒ぎは、政権交代以来、一度も死刑を行わず、実に1年も経過した今、あまりに唐突の執行だったからである。
 千葉法相は死刑廃止議員連盟のメンバーで、だから執行に署名しなかったのだといわれていたが、今回の変節ぶりは一体、何だったのか。死刑賛成派、反対派共に大きな戸惑いを抱いている。
 政治家が各々のポリシィを持つことは当然のことで、その信念に基づいて行動することは決して間違いではない。
 しかし、一度、内閣に席を置いて、直接その責任者になった場合は、本来の役割を果たすのが当然のことである。それが出来ないならば、大臣を引き受けなければいいのだ。
 いうまでもなくわが国は法治国家だ。たとえ法律の内容に個人として反対であろうと、法律がある以上は、理屈抜きで従わなければならない。
 そもそも死刑の判決を受けるような者は、平然と法を犯し、人を殺め、被害者は勿論、その家族達にどれだけ大きな不幸を与えたか計り知れない。罪を償うことは当たり前のことで、信賞必罰はまさに社会が成り立つ為の基本だ。
 刑事訴訟法では、死刑は再審請求されている場合を除き、判決確定から6ヶ月以内に執行するよう決められている。死刑の判決が確定しているのに、その執行を担当大臣が怠ることは許されない。
 千葉法相は、これを機会に国民的な議論が必要とし、法務省内に勉強会を設けると発言した。一見、もっとものように聞こえるが、死刑の可否については、従来から様々な角度から議論されてきたことで、その結果として、世論調査で示されているように、国民の死刑容認派は85%を超え、圧倒的多数なのである。ちなみに、死刑確定者は現在107人いる。

 もう一つ残る疑問は、何故突然の変節かという点である。民主党死刑廃止議連の事務局長村越祐民代議士は、「落選して、破れかぶれになったのか」といったが、随分突き放した発言だ。いくら何でもそれはないだろうが、確かに、民意によって議席を失った人が、たとえ現職とはいえ、死刑執行という重大な国家権力を行使したことには、大きな違和感が残る。本来、大臣を早々に更迭させるべきで、ここにも菅新総理の決断力の無さが現れている。
 当然、国会で追及すべきテーマだが、一体どの様な展開になるのか、自民党の質疑能力も含めて、ここはじっくり見守りたいと思っている。