言いたい放題 第65号 「戦い済んで空しい心だけ残る」

 参議院選挙が終った。
 「政権交代」の掛け声と、バラマキマニフェストにすっかりだまされて、民主党ブームといわれる風が吹き荒れた。
 しかし、甘やかされた坊ちゃん連中と素人仲間達で、良い政治が出来る筈もなく、たちまち馬脚を現わして鳩山首相・小沢幹事長の退陣となった。
 ところが何の反省もなく、直ちに菅首相の誕生となった。もともと菅首相は鳩山政権での副総理、重要閣僚とあって、本来なら責任を問われて共に退陣すべき立場である。
 今度の選挙では、そんな未熟な民主党と、安易に顔を取り替えただけの見せかけの実態を、国民が正確に仕分けして審判を下したということなのだ。

 今までは、衆参両院共に多数を占めていたから、何でも民主党の思うように事を進め、前国会の後半では、ろくに審議もせずに強行採決を繰り返した。
 絶対多数であった自民党政権時代でも、そんな傲慢な対応はしたことはない。
 しかし、今回の大敗北で、参議院では民主党与党が過半数を大きく割った。衆議院で相変わらず多数だからといって、次々に法案を通しても、これからは参議院で容易に否決することが可能となった。
 遠からず民主党政権は、国政の場で事を進めることが出来ず行き詰まること必定だ。
 その上、選挙の敗北について党内から責任を問う声が次々と起こり、9月に予定されている役員改選などで、分裂含みの混乱になっていくだろうといわれている。
 その中心は小沢一郎氏と見るむきもある。勿論彼の反撃もあろうが、検察審査会での御本人起訴の可能性もあって、そんなに強い動きも取りにくいのではないか。
 いずれにしても早々に臨時国会を開かなければならず、与党の不安材料は山程あるから、国会運営は無事では済まされない。
 小さな政党を巻き込んで、離合集散が始まる可能性もあり、そうなれば早期解散総選挙もあり得ることで、これからは片時も目が離せなくなる。
 しばらくは私も慎重かつ緊張して暮らさなければと思っている。

 今回の選挙では、なんといっても全国比例区に出た保坂三蔵君の落選が大きなショックである。
 何故敗れたのかという説明は、今更何の役にも立たないが、全国比例候補というのは、本当に票を集めにくいものだ。昔、佐藤信二氏という佐藤栄作総理の御子息の責任者として応援したことがあったが、私の地元でもいくらも票は出なかった。
 3年前、都議会自民党全議員の血判状まで集めて公認になった大西英男君も、みんな真剣に戦ったのだが、私の地元でもいくらも票は入らず惨敗だった。
 前回上位当選の若い秋元司君も今回は敗れている。
 保坂君の場合、今まで区議、都議、国会と真面目に働いてきた人だけに、なんとも惜しいし残念でならない。
 私自身の生々しい敗北の時を想い、なんとかこの悲しみを乗り越えて、今後も後進の指導を行うなど、ともかく元気に活動して欲しいものだ。早朝、彼から「申し訳ありません」と涙ながらに直接電話があった。なんとも悲しくて胸がつまる思いだった。
 応援した東京選挙区の中川雅治氏は無事当選し、少しはホッとしたが、5人区の東京だけに、一人だけの当選は寂しい。

 今回の選挙の一つの特徴は一人区で自民党が圧勝したことだ。
 昨年の選挙では、都議選の一人区は島嶼(とうしょ)を除いて全滅だったし、衆議院選挙では事実上一人区の小選挙区で大敗北した。東京でいえば自民党現職30人のうち、当選者はわずか9人であった。
 だから、今回、一人区で民主党8名対自民党21名は大きな勝利で、これは自民党復活の兆しといえなくはない。
 しかし、全体的に見れば、民主党後退という敵失の故という面が大きいから、決して油断してはならないし、まして安心して自惚れでもしたら、元の木阿弥だ。
 この際、国民が何を求めているのか、国の為に何を為すべきか、じっくり判断して、しっかり政策を進めていくことが肝要だ。

 一例として、率直にいえば、私は今の時代、まだ消費税の値上げなどすべきではないと思う。
 経済の状況が悪く、消費が低迷している時に消費税を上げれば、一層消費は鈍ってデフレスパイラルが進行して、結果的に増収には決してならないからだ。
 むしろ公務員の削減、何よりも議員の削減など、身を削って無駄を省くことから真剣に取り組むべきだ。
 特に今思うことは、参議院の存在そのものも検討俎上に載せるべきではないかということだ。
 選挙後、テレビに登場した当選者の弁を聴くと一層その思いを強くする。誰一人として参議院の存在の意義を語っていない。
 衆議院議員と全く同じ内容を口角泡をとばして語るのみなのだ。
 何故、参議院は存在するのか、何故解散選挙もなく、6年任期なのか。
 参議院こそ良識の府で、衆議院の行き過ぎや誤りをチェックして、腰を据えて日本の今と未来を考察するための存在なのである。そんな基本も知らない。
 よく参議院の現状は衆議院のカーボンコピーにすぎないと揶揄されてきたが、衆議院と同じように政争の場になっているのなら参議院はいらない。近頃はスポーツや芸能関係の有名人か、衆議院落選組の救済の場になっていないか。それならせめて議員数を半分くらいにするか、全国比例の分だけでも廃止して欲しい。
 第二次世界大戦後の新憲法制定の時、占領国が主張する一院制に反対して、あの厳しい条件の中、二院制を生命をかけて残してくれた先人の心を少しは学べ!あの人達に本当に申し訳ないと私は一人思っているのだ。