言いたい放題 第56号 「ようやく罷免か」

 政権の中にあって、しかも閣僚である福島瑞穂社民党党首は、良し悪しは別として、首相と一致した考えと行動を取らなければならないことは常識である。
 沖縄基地問題で鳩山首相は二度、かの地へ足を運んで説得に当たった(心通わぬ形だけのものだが)が、同じ時期、大臣の彼女が沖縄に出掛け、全く逆の立場で絶対反対を打ち出し、知事に共闘を誓った。今までの政治の世界では、全く考えられないことで、本当はあの時点で即罷免するのが当たり前であった。
 ところが、愚かな首相は、一度は閣議決定なしの、つまり各大臣の署名無しの決定さえ考えた。しかし、それではあまりに露骨で国民の批判が起こるかと考え直し、正規の閣議決定に持ち込んだのである。
 それでも最後は福島大臣も同調するとでも思っていたようで、ギリギリまで首を切る決断は出来なかった。
 一方、社民党の方は、福島党首の行動に大慌てで、臨時閣議が30分後に迫ると、離脱に反対する又市征治副党首ら幹部は、閣議を遅らすことで「時間稼ぎ」をし、必死に巻き返しを図っていた。
 わずか衆参12名の小党の、参議院選挙目当ての、この狼狽ぶりは、なんともお粗末で、悲劇というより喜劇であった。
 もっとも最大の元凶は鳩山首相であることは誰もが一致した見方である。
 連立政権内の合意も得ず、何よりも沖縄や徳之島はじめ国内の納得も得られないまま、日米共同声明を優先してしまったのである。
 どんなに理屈をこねても、日本よりもアメリカの方が大事なのかと言われたら、一言もない。
 そもそも辺野古移転案は、自民党政権時代、実に10年の粘り強い交渉の結果、ようやく辿り着いた結論であった。橋本元総理をはじめどれだけ多くの議員が沖縄を訪ね、アメリカ側と交渉したことか・・・。
 この現行案を決めるまで、特に2006年から2年半もかけて、日米の実務者があらゆる局面を検討し、必死の協議を続けたのである。
 例えば、北朝鮮の核・ミサイル問題、中国の軍事力の増強と影響力の拡大にどう対応するのか、といった日米の安全保障をめぐる具体的なテーマについてである。
 アメリカの極東戦略、いや世界戦略といった方が正しいが、同盟強化を求めるアメリカ側と、国内の負担を如何に抑えるかの日本側と、丁々発止のやりとりの末、微妙な均衡の上に成り立った日米合意であった。
 それを、何の勉強も研究もせずに、選挙の為に「国外移転、最低でも県外」と軽率に訴え続け、沖縄県民にあらぬ幻想を抱かせ、全てを駄目にしてしまったのである。
 口を開けば「政治主導」と言うが、政治主導の大前提は、政治家としての正しい見識であることは言うまでもない。
 繰り返し官僚批判を続けて、彼らを悪者扱いにしてきたが、2年半にわたり誠実な協議を続けてきたのは他ならぬ有能な官僚達だったのだ。
 彼らの力を借りようとせず、いや逆に排除して、鳩山首相中心の素人官邸集団が、全てに首を突っ込んで処理してきたのだから、良い結果が生まれるはずもないのである。

 今回の閣議決定では、普天間飛行場の移転先を名護市辺野古周辺と明記している。日米合意を、政府方針と正式に確認したということである。
 「辺野古の海に杭一つ打てなかった」と率直に書いた自民党政権の現行案を、あれほど批判した鳩山首相、埋め立て案を「自然への冒涜(ぼうとく)」と言いながら、実は埋め立てを視野に入れた方法が今回の案なのだ。
 今更、いくら振興策など、地元への甘い提案をしても、ここまで来れば、もはや簡単に進むとは思えない。
 5月決着を約束したが、こんな辻褄合わせで誤魔化し、更に今度は8月までに代替飛行場の位置や工法の検討を完了させると約束をし、新たに期限を切ったのである。同じことの繰り返しだ。
 実現出来る筈がないではないか。
 そうなれば、逆に普天間飛行場は残り、固定化されること必定である。
 沖縄の負担軽減など、口先だけで、その場限りの全くの嘘っぱちなのだ。
 もはや、福島大臣の罷免どころではない、鳩山由紀夫総理大臣こそ罷免しなければならないと私は思っている。