民主党は多数をもって政権を得れば、なんでも出来ると考えているようだ。
 しかし、選挙で圧勝したからといって、国民は政権が行う政策の全てをまかせた訳ではない。
 強いて言えば、マニフェストに書かれていること位が許容範囲だが、それとても、当然、国会で充分審議を尽くしてからのことである。
 鳩山首相や、小沢幹事長は、そこのところを全く理解していない。いや、知らぬふりを決め込んでいるのかも知れぬ。
 彼らが、通常国会で、なんとか成立させようと目論んでいるのが、永住外国人地方参政権と、夫婦別姓問題である。
 言うまでもなく、これらは民主党が選挙で訴えたマニフェストには含まれていない。

 小沢氏らは、選挙に勝つために、例えば子育て支援のように、明らかに利益誘導と思われる、選挙法に触れるような政策をかかげて、なりふり構わず闘ってきた。
 外国人参政権問題についても、民団(在日本大韓民国民団)の支援を得たいが為に、かなり深く事前に種々の接触を行って来たといわれている。現に民団は、さきの選挙で強力に民主党を支持していた。
 昨年末、小沢氏は韓国を訪れたが、その折、外国人参政権については、「日本の姿勢を示す為にも、今通常国会に政府案として出すべきで、それは実現することになるのでは」と今後の見通しを平然と語って韓国側を喜ばせていた。
 マニフェストに無かったことを、しかも、まだ国会にもかけていないのに、他国に出掛けて、日本の国会での決定を勝手に約束するなど僭越至極、許される筈もない。
 鳩山氏、小沢氏は、外国人参政権問題で、さかんに「友好」とか「信頼関係」をふりまわすが、後述するが、国家主権に関わる問題を、こうした次元で説明することなど全く無理なことで、これは明らかに問題のすりかえ議論なのである。

 韓国との交流なら、彼らより私の方がはるかに古く、厚いものがある。
 そもそも、私が初めて韓国に渡ったのは、昭和33年で、朝鮮戦争が終って5年目のことである。李承晩大統領の下、まだ混沌とした時代で夜間外出禁止令等も敷かれていた。
 私は早稲田の大学生で、当時始まったばかりの日韓青年交流の先駆けとして自民党から派遣されたのであった。
 私が東京都議会議員時代には、台東区日韓親善協会会長に就任していて、相互に訪問団を派遣するなど活発な交流を重ねたものだ。
 昭和50年代、私は浅草の地元で300人程の子供達を集めてドラゴンクラブを組織し、空手を教えていた。
 親善訪問と称して、親子60人あまりを連れて韓国に渡り、各学校を訪れてテコンドーとの異種試合を行った。
 テコンドー世界総裁は金雲龍氏で、その折から私との親交が始まり、今も続いている。
 彼は国際オリンピック委員会の副会長をしていたが、後に会長選挙に立候補して破れ、国会議員になってからも不遇と、波瀾万丈の人生を送ってきた。
 平成10年、自民党総務会長の時代、私は日本国際テコンドー協会の会長になって、平成12年のシドニーオリンピックに日本から初のテコンドー女性選手、岡本依子さんを送ったが、これも金雲龍氏との縁からである。
 一番、交流のあったのは平成11年、私が通産大臣の時代で、日韓の経済問題やWTOなど国際会議でも、かの国と共通の利害関係もあって、もっぱら韓国の首脳陣と共に協力し合ったものである。
 平成13年、私は現職大臣のまま選挙で惜敗したが、その折、私を慰める為に、まっ先に夫婦を韓国に招いてくれたのも、こうした人達であった。
 だから、韓国に寄せる私の思いは大きい。これからも何らかの形で、日韓友好の為に働きたいと思っている。
 しかし、参政権問題となると、こうした友好関係とは別で、日本の政治家としてとるべき姿勢は堅持しなければならないと考えているのだ。

 そもそも、外国人に参政権を与えるか否かの問題は日本国憲法に関わることである。
 第15条第1項には「公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である」と書かれている。
 つまり、参政権とは日本国民のみが有する権利なのである。百地章日大教授は、憲法の英訳でも”inalienable right”と書かれていて、それは「不可侵の権利」であって、外国人に譲り渡すことの出来ない権利であるといわれている。
 だから、はっきり言って、外国人の参政権を認めることは憲法違反であって、どうしてもというなら、まず憲法を改正しなければならないのだ。
 ところが、鳩山首相は、そんなことはお構いなしで、あきれたことに、「日本列島は日本だけの所有物ではない。参政権は愛のテーマ、何で他国の人達が地方参政権を持つことが許せないのか」と語っている。
 「日本列島は日本だけの所有物ではない」などといったら、領土問題で、俺のものと主張して譲らない国々は大拍手だ。
 
 今、対馬が大変な状況になっていることなどについて、鳩山首相は少しは関心をもっているのだろうか。
 対馬の土地は、近年、韓国資本に次々と買収されている。なんと海上自衛隊の基地に隣接する土地まで買収されているのだ。
 具体的にいえば、対馬市美津島町竹敷にある海上自衛隊対馬防衛隊本部で、ここは対馬海峡近辺の情報収集に当たっている。
 なんと、その隣に韓国資本のリゾートホテルが建ったのだが、オーナーの正体は不明だ。
 スパイ防止法も無い日本にとって、戦略的情報が筒抜けになる可能性さえもある。
 韓国人観光客も島民の3倍と大挙してやって来る。しかし、地元の人に言わせれば、食事も韓国人の経営する飲食店を利用したりして、必ずしも対馬はそれで潤っているわけでもない。万引き、ゴミ等マナーの悪さも目立ち、中には酔うと「ここは俺たちの領土だ」と叫ぶ人達も多いという。
 かつて李承晩政権の時、GHQ(連合国司令部)に、対馬も韓国の領土だから日本から割譲させよと要求したことがある。
 しかし日本書紀にも古事記にも記されていて、対馬は明らかな日本の領土で、GHQも当時、根拠がないと相手にしなかったのである。
 近頃は、中国のかげもちらほら見えるという。
 鳩山首相の「日本列島は日本だけの所有物ではない」という軽率な発言が、ここでも日本を一層危機的状況に追い込んでいるのだ。

 2月9日の衆議院予算委員会で、自民党の高市早苗議員が参政権問題について鳩山首相に鋭く追求している。この時の彼の答弁も、あまりに無知で驚くかぎりであった。
 平成7年の最高裁の判決を引用して、「法律をもって、地方公共団体の長、その議会の議員等に対する選挙権を付与する措置を講ずることは、憲法上において禁止されているのではない」と強弁していたのだ。
 しかし、彼の引用部分は、判決の「傍論」で、これを持ち出すのは明らかなすりかえ、ごまかしだ。
 傍論とは、判決において表された裁判官の意見のうちで、判決理由に入らない部分をいうのだ。
 判決そのものは、「公務員を選定罷免する権利を保障した憲法15条第1項の規定は、権利の性質上、日本国民のみをその対象とし、右規定による権利の保障は、我が国に在留する外国人には及ばないと解するのが相当である」と明確に書かれているのである。
 第93条2項で、「地方公共団体の首長や議会議員はその自治体の『住民』が直接選挙する」となっているが、憲法の名宛人は国民だから、ここでいう住民も、「国民たる住民」ということで、地方参政権について、はっきりと外国人参政権を否定しているのだ。

 鳩山首相は、様々の場面で、外国人参政権問題は愛のテーマだと、例の持論を色々な場で繰り返し述べている。
 国家主権という国の存亡に関わる重大な問題を、愛のテーマなどと恥ずかしげもなく、生ぬるい言葉で表現して欲しくない。
 キミは日本国の代表、総理大臣なのだ。少しは言動に自覚を持つべきだ。
 大体、この日本では、在日外国人が生きていく為の、充分な対応が整理されている。
 まさに愛に満ちていると私は思っているのだ。例えば、生活保護も受けられるし、今回の子供手当でさえ、日本に住む外国人にも適用されるというではないか。
 ただ、日本に住んでいるからといって、何でもかんでも日本人と同じにしろという考えは成り立たない。
 例えば、高校授業料の実質無償化だ。
 対象に朝鮮学校を入れるべきか否かで、鳩山内閣はゆれているが、当然、対象外とすべきである。
 橋本徹大阪知事は、「北朝鮮という国は不法国家。関係する学校とか施設とかはお付き合いはしない」と言っている。更に、「暴力団が関係している企業は大阪府は入札排除しているし、関係企業に補助金を付けることはない」とも語っているが、まことに分かりやすいし正論だ。
 3月4日の朝日新聞の「声」に、朝鮮学校出身者の投稿があった。「高校無償化から外すとの報道にショックを受けた。朝鮮学校は日本の学校と同等のカリキュラムを確立している。違うのはただ1つ、民族的アイデンティティーを育てる学校だ」と書いている。
 まさに、そのアイデンティティーが問題なのだと御本人は気づいていないようだ。
 その国のアイデンティティー(主体性・独自性)を確立する為に、民族教育を行っているというが、北朝鮮の現状はどうだ。
 日本人を平気で拉致し、世界中の反対を無視して核実験を続け、ミサイルロケットを打ち上げる、こんな不法国家の民族主義や愛国心を育てる学校に、なんで日本が授業料の無償化を行わなければならないのか、自明の理なのである。

 外国人も納税しているのだから参政権を与えよという主張もある。
 これには私もびっくりしている。
 もともと納税と参政権は全く関わりがない。
 日本の普通選挙制度は、20才以上の男女全てに選挙権を与えるということになっていて、納税の有無や、その納税額の大小など一切問われていないのだ。
 納税は、国民が全ての公共サービスを受ける為のいわば対価だ。納税を行っている外国人も、日本のあらゆる公共サービスを同じように享受している。それだけのことなのだ。
 韓国では外国人参政権を認めているから、相互主義として認めるべきとの声もある。これも現実を知らない人の意見である。
 確かに韓国は、永住資格取得後3年以上経過した19才以上の外国人に対し地方レベルでの選挙権を与えている。しかし、永住資格取得に滞在12年かかるし、約1億8千万円以上の韓国への投資をしていることや、年収6万5千ドル(約600万円)以上の高収入者であることなど、ハードルが極めて高いのだ。
 これは在韓日本人永住者がたったの55人(2003年)しか居ないことをみても明らかだ。一方で日本の特別永住外国人は42万人(99%が韓国、朝鮮籍)、一般永住外国人は49万2千人余で、全く比較にならない数なのだ。これでは相互互恵主義など成り立つ筈もないのである。
 ちなみに、国内全体で地方自治の選挙権を与えている国は、世界独立国203カ国のうち、わずか24カ国に過ぎない。その上、多くの場合、様々な用件を与えて外国人を制限している。
 仏、独、伊などは付与対象国の国籍を、EU加盟国に限っている。これはもともとEUが新しい1つの国家を目指しているからである。
 各々の国には歴史的事情や、移民等の政策的背景があるから参政権対象の理由もマチマチで、どう見ても日本の参考にはならない。
 もう1つ注目しなければならないのは、韓国人も北朝鮮人も、本国での被選挙権まで持っているということだ。
 韓国人の場合、2012年から本国での選挙権が行使出来るようになる。
 もし、日本で地方参政権を取得したら、彼らは2つの国の選挙に直接参加出来ることになる。不可解な話ではないか。

 私が1番、心配している議論は、「少数の外国人が、地方選挙に参加しても、国への政治的影響力はたいしたことはない」という楽観論だ。
 とんでもないことで、地方政治が国の政治に直結していることなど、中学生でも分かることだ。
 今年1月に行われた名護市長選挙は、まさに基地問題が争点になっていた。与野党有力議員が続々と集結し、基地是か非か訴え、むしろ国政選挙というべきものになっていた。
 安全保障問題や外交問題は、国の専任事項であって、一地方の判断で決めるべきことではない。
 しかし、現実には、賛成派の前市長が破れ、あたかも日本全体の世論の動きのように捉えられている。
 13年かけて、沖縄県知事や地元の首長の同意も得て、ようやく日米間で決着をみた普天間基地移設問題が、一地方選挙の、しかも僅差でしかない結果で反故にされていい訳はない。
 しかも昨年の国政選挙以来、鳩山民主党は、県外移転、国外移転をと宣伝して来た。県外、国外といわれれば、その方がいいと思う人が増えるのは当然だ。
 原子力発電所の問題でも、地方選挙でよく議論の中心になってきた。
 エネルギー問題はまさに国策、国の所管事項だが、地方選挙の結果がこの政策を左右させたりする。
 前述の対馬だが、次第に韓国人・中国人が占めつつある。
 もし、在日外国人に参政権を与えた場合、この対馬に計画的に大量の韓国人が住民登録などを行えばどうなるのか。
 韓国は現に対馬の領有権まで主張している。
 わずか3万人の有権者しかいない対馬だから、市長でも、まして市議会議員など数百票で当選するのだから、やがて韓国人で占めることなど容易なことなのだ。
 いみじくも、作家の門田泰明氏が、彼の名著「存亡」で、テロ組織によって突然、対馬が占拠される状況を書いている。
 しかし、外国人参政権付与によって、他国の強力な後押しで選挙戦を制し、議会で多数を占めるようになれば、闘わずして対馬の他国領土化は可能なのである。

 百地章日大教授は、国家とは「歴史的、伝統的な国民共同体」と書いている。言い換えれば、国家とは政治的運命共同体なのだ。
 だからこそ、責任を持たない外国人に参政権を与えることによって、国や国民の運命を左右される訳にはいかないのだ。
 どうしても参政権が欲しいなら、帰化してもらうしかないと私は思っている。

 日本の国籍法では、帰化を望む者は各地の法務省で帰化申請手続を行うことになっている。当たり前の話だが、引き続き5年以上日本に住所を有することや、素行が善良であること、日本政府を暴力で破壊したり、それを主張する政治活動等に参加を企てたり、それを行った経験のない者などと、諸条件をクリアしなければならない。
 許否の結果が出るのは、個人差もあるが概ね半年から1年後だ。
 平成10年(1998年)以降帰化申請数は約1万3千人から1万7千人の間で推移しているが、ほぼ99%の人が許可される。
 帰化するのは決して難しいことではないのである。
 帰化した人の60%は韓国、朝鮮籍で、30%が中国籍からだ。法務大臣によって帰化が許可されるが、官報に告示掲載されると直ちにその効力が発生する。
 つまり、国政選挙権も地方選挙権も全面的に得ることが出来るのである。当然、被選挙権も有し立候補も可能である。こう見てくると、なんで無理してまで参政権かと、逆に様々な疑問がわいてくるのだ。
 現在まで、帰化して国政選挙に出馬し当選した人は、新井将敬氏(朝鮮)、ツルネン・マルテイ氏(フィンランド)、白眞勲氏(韓国)、蓮舫氏(台湾)である。
 新井氏は、自民党衆議院議員として自民党都連に所属し、私とも親しかったが、証券取引法違反に問われ自ら生命を絶った。
 彼は証人喚問に呼ばれた時、数日前に会った私のことを高く評価してくれて、これがテレビ中継だったこともあって話題になった。
 蓮舫女史は今売り出し中の仕分け人だ。
 帰化したのだからこうした人達が日本の国会議員になることは問題はないのだが、私はそれでも心の中に残るわだかまりがある。
 それは、もし国家間で国益上、対立や衝突が起こった時、一体、どちらの国に忠誠を尽くすのかということである。
 中国と韓国、北朝鮮とは、領土問題を含めて様々な国家の利害をかけた対立が現実にある。
 今の時代、たとえば戦争といった不幸な衝突などあり得ないと気楽にいう人がいるが、平和と安全について何の保証もないのが現実ではないか。まさに平和ボケ、安全神話の虜なのだ。
 どんな時でも日本人なら、日本国家に忠誠をつくすのは当然だが、国会議員として最後の選択を迫られた時、生まれた国と帰化した国のどちらを選ぶのか、そこのところが分からない。いつも、不安感が残っているのだ。
 小沢幹事長は、もっぱら国連主義だが、第2次大戦の勝者がそのまま安全保障理事会の常任理事国におさまっていて、今も拒否権を持っているような国連に、日本を守ってくれと頼れる訳もないのだ。

 今まで述べてきたように、永住外国人の参政権問題は、断じて簡単なものではない。
 愛とか仏教とか、鳩山首相の言うような訳の分からない議論の成り立つ余地はない。その重大性や深刻さを、私達はしっかり噛みしめなければならないのだ。
 多数を得たからと、その驕りの中で、国の行方を誤らせてはならない。国民の安寧秩序を乱すことは絶対に許せない。
 日本及び日本列島は、あくまでも日本人のものなのである。このことを、多くの人に訴えたい。