言いたい放題 第31号 「あきれた検察対民主党構図」

 ついに、というよりやっぱりという方が正しいと思うが、小沢氏の土地購入をめぐる疑惑解明のために、民主党の現職議員石川知裕氏はじめ、計3人の元秘書が逮捕された。

 すでに会計責任者だった公設第一秘書の大久保容疑者は、昨年3月、陸山会などを受け皿に、西松建設から、計3500万円の融資の虚偽記載で逮捕起訴されて裁判の審議が進んでいる。
 今回は、それとは又別の政治資金規正法違反容疑だから、まぁなんといい加減なことを「やって来た」のか、いや、正確には「やらされて来た」のかとむしろ秘書達に哀れを感じる。
 何億という巨額な金額ではないか。
 今回の案件も含めて、親分の小沢一郎氏指示の元で進められてきたことは間違いなく、秘書が独断で勝手にやれる筈もないことなのである。
 大体小沢氏の場合、秘書は人にあらずといった厳しい扱いが評判で、秘書にとっては小沢氏の命令は絶対であった。
 そもそも、この石川容疑者という人、小沢秘書が長いというだけが取り柄の、とても政治家になれるような器では元々無かった。
 2005年の衆議院選挙で北海道11区から民主党公認で出馬、落選。しかし、民主党議員が道知事選挙に立候補するために辞職して、そのおかげで2年後、比例北海道ブロックで繰り上げになったというラッキーな人だ。今になれば必ずしもラッキーではないが・・・。
 昨年の選挙では、びっくりするような民主党の風に、自民党は大敗北するが、その風のおかげで11万票もの大量得票で当選を果たした。
 誰もかれも、それこそ突然名乗りあげた人も含めて、民主党ならみんな当選するという選挙でだ。
 彼に破れたのは故中川昭一氏。
 中川氏の場合、例の酔っぱらい会見で世界的に大恥をさらし、いわば自民党敗北の原因の1つとなった人で、だからとても選挙に勝てる状況ではなかった。
 石川容疑者の当選と引きかえに、中川氏は落選、そして不慮の死という結果になった。
 中川昭一氏については、勿論私もよく知っている。人柄もよく、勉強もしていて若く有能な人だった。
 御本人の身から出た錆だからやむを得ないとは承知しつつも、酒さえなければという思いが、私の心に強く残っている。
 今回逮捕された石川容疑者と政治家として比較した場合、あまりにも落差が大きいだけにそう思うのだ。
 石川氏は国会進出を果たしたのだが、テレビ等マスコミ報道で、何度も映し出されている光景を見ても、相変わらず秘書そのもので、ほとんど小沢氏からは無視され、代議士という扱いは受けていない。
 朝日新聞に、「石川氏は帯広から札幌までの特急列車の同じボックス席で小沢氏と相席した際、3時間弱、緊張したまま背筋をピンと伸ばして座っていた。小沢氏からの問いかけに「はいはい」と答えるのがやっとだった」と書かれている。これは石川氏の元秘書の言だから、その通りであろう。
 そんな人が、自分の裁断で、こんな巨額なお金を動かせることなどとうてい出来ない。
 小沢氏に不利になるような、つまり小沢氏の説明と異なる供述をしたので、精神的にすっかり参って、すでに周囲に「死にたい」など漏らすようになっていた。今回の逮捕は自殺の危険も配慮してのことといわれているが、確かに、自殺でもされたら、疑惑解明の道は永久に閉ざされてしまう。

 今回の疑惑くらい、わかり易い構図はないように思われる。
 陸山会という小沢氏の資金管理団体が5年前に土地を4億円で購入していた。
 しかし、この購入原資4億円は政治資金収支報告書には記載されていない。当然、これだけでも政治資金規正法違反にあたる。
 しかも、この4億円の資金の出所を偽る為に、わざわざ銀行から借りたことにし、その処理を午後に行った。
 ところが、土地購入代金を支払ったのは、なんとその日の午前中のことで、たちまちインチキがわかってしまった。
 まるで子供だましのたぐいだが、政治資金の出入りを糊塗する為に、秘書達が日常的に行っていたから、こんなお粗末なミスを招いたのではないか。
 しかも、こうした事実が公になると、石川議員は、このお金は小沢氏が亡き父から相続したもので、これを自宅で保管していたと説明した。
 鳩山首相は母親から資金をもらい、今度は「小沢氏は父親からかよ」とあきれる。しかも父親が亡くなったのは昭和43年で、なんと42年も前のこと、気の遠くなるほどの長い年月よくぞ保管していたものである。
 石川議員は、政治資金収支報告書に記載しなかったのは、単なる事務的なミスと、当初小沢氏と同じ説明をしていたが、逮捕前日の14日には、故意に記載しなかったと認めている。
 何故、故意に載せなかったのか、表に出せない不明朗、不透明な資金であったからとしか考えられないではないか。

 一方、中堅ゼネコン水谷建設の会長や会社幹部らは、日本最大級の胆沢ダムの受注をめぐって小沢氏側に計1億円を提供したと供述している。
 この胆沢ダム工事は、今回捜索対象となった大手ゼネコン「鹿島」が受注したが、その下請け会社が水谷建設である。
 2004年と05年の各時期に5000万円ずつの現金を港区のホテルで小沢氏側に渡したと供述し、その受け渡し場面まで生々しく述べている。
 石川議員に渡したという1回目の5千万円が、今回の土地取引と同時期で、事実、その授受日の直後に陸山会の口座に同額が入金されているのだ。
 それらは鹿島の指示で行われ、その費用は工事費に上乗せして鹿島側から穴埋めされたといわれている。
 大ダム工事は国民の税金でまかなわれているのはいうまでもない。
 これら一連の動きが事実となれば、断じて許されざることで、極めて悪質、逮捕された者のみならず、小沢氏本人も糾弾されなければならないのである。

 今回の突然の逮捕劇について、様々な意見が出されている。全体的に見れば小沢けしからんという声が圧倒的だが、中には、国会召集直前に逮捕するのはおかしいいう人も居る。
 別に検察側を庇うわけではないが、1つは石川議員の供述がくるくる変わり、偽りが多すぎること、しかも証拠隠滅のおそれがあること、(石川議員の元秘書が、資料かくしを行ったと具体的に述べている)更に前述のように自殺をほのめかしていることなどが理由としてあげられる。そしてなによりも、国会が始まると議員逮捕の手続きがやっかいになるのだ。
 国会会期中の議員逮捕には、まず国会に逮捕許諾請求を出し、議決を得る必要がある。絶対多数の政権与党民主党だから請求拒否の議決も皆無ではない。18日から国会が開かれることを思えば、15日がまさにギリギリのところなのである。
 その上、時効が今年の3月末と迫っている。
 小沢氏自身の任意聴取を要請していたが、これにも全く応じる気配がない。それまでは石川議員の在宅起訴の予定だったが、検察側はしびれを切らし、ついに一転して急転直下の逮捕となった。いたってわかり易い当然の成り行きではないか。

 翌日、民主党は、衆議院選勝利後初の党大会を催した。当然、小沢幹事長の進退問題が厳しく問われ、小沢氏のことだから、自ら辞任を選ぶのではないかといわれていた。
 しかし、実際はその逆で、幹事長は続投するといい、捜査は容認できない、断固として戦うと検察との全面対決を宣言した。
 鳩山首相は、「私は幹事長を信じてます。どうぞ戦って下さい」と伝え、改めて幹事長の続投を認め支持した。これでは政府対検察の構図で前代未聞の事態である。
 小沢氏の続投宣言には、民主党の中枢、幹事長職から離れれば、彼の権力は一気に薄れ、検察に対抗するだけの力を失うという思いがあること見え見えだ。
 鳩山氏から見れば、なんといっても選挙で民主党を勝利させ、党を支えているのは小沢氏で、彼の存在無くして首相の座を維持して行くことは不可能だとの思いがある。
 まさに悪い意味で、利害得失が一致したということなのだ。
 2人の共通していることは、常に自らの保身のことだけを考えるということで、言い逃ればかりを繰り返す。そこには政治家としての責任感や道徳心のかけらもないという点だ。
 普通、自分の重要な秘書が3人も逮捕される事態になったら、まず責任をとって役職を降りるか、時には議員を辞職する位の節度があるものだ。
 かつて、鳩山氏は秘書問題で加藤紘一代議士に、「責任をとって辞めるべきだ」と批判したことがあった。加藤氏は自ら潔く議員辞職までして政治家としてのけじめをつけた。そんなことをケロッと忘れているから宇宙人といわれるのだ。

 小沢氏は検察の事情聴取にも一切応じない。記者会見では、もっぱら「私は法に触れることはしていない」と述べるだけで、具体的な説明をしようともしない。小沢氏をめぐるこれまでの数々の疑惑事件を振り返ると、あきれる程の巨額にのぼる。
 陸山会が1994年以降購入した不動産は計15件にのぼり、購入総額は10億5千万円で、所有者は全て小沢氏だ。
 資金管理団体名では不動産登記が出来ないから自分の名義にしたと説明しているが、そんなことは一般的に通用する筈もないことだ。
 これでは政治家なのか不動産屋なのかわからない。本当に金にどん欲な人なのだろう。こういう人を「政治屋」というのだ。
 もはや、幹事長どころか、政治家としての資格も無いといわざるを得ない。
 鳩山首相も本来なら、せめて党内で事実解明の為の調査をさせるとか、あるいは小沢氏から直接、事情説明をさせるなど、党としての手順手続きをふむべきではないか。それが党の代表、ましてや政権を代表する首相として果たすべき役割ではないか。
 もっとも、鳩山氏自身も偽装献金問題を抱えている。首相の元公設第一秘書は違法献金事件で起訴され、これから公判を待つ身だ。実際のところ、他人にとやかく言える立場ではないことも確かなのだが・・・。

 16日の民主党の大会は、まるで正義のために検察と戦うという、小沢氏のための決起大会の様相であったという。
 逮捕当日は、これでは参議院選挙は闘えないと、幹事長辞任の声も含めて特に地方からの不満が続出していた筈なのに、である。日比谷公会堂の会場では小沢幹事長の演説に拍手と歓声が起こり、彼を支持する声が次々と続いた。
 様々なマスコミが言うように、心の中では不満を抱く人が大勢いたことは想像に難くない。しかし、物言えば唇寒しで、物言えぬ総決起大会となってしまったのだ。まさに小沢独裁政党だ。
 本来、政党に必要なのは自ら省みて責任を負い、誤りを改めるという自浄作用だ。
 党大会を見る限り今の民主党に自浄作用があるとは思えない。政権交代で日本の政治が良くなると信じた人々は、今なんと思っているののだろうか。
 支持率は急落し、40%台となったが、民主党はまだ国民に甘やかされているように私には映る。
 自民党は、安倍氏から福田氏、麻生氏と一年交代のように政権を投げ出し、その無責任さで国民の大きな顰蹙を買った。自民党への根強い批判は、私もやむを得ないことだと思っている。
 しかし、少なくとも、今回のような首相や幹事長自身にまつわる不正や疑惑といったことで、国民の批判を受けた訳ではなかったと、一言つけ加えたい。

 これからいよいよ国会が始まる。
 デフレは一向におさまらず、不況は益々深刻で雇用もままならぬ状況だ。借金だらけの予算で、日本経済の行方はどうなるのか。
 その上、外交問題を見ても、日米関係を中心に最悪の状況が生まれ始めている。
 こうした諸問題解決のための大切な審議が控えているこの時期、民主党の大混乱は、日本及び日本人を不幸にしていく前兆ではないか。民主党は「国民の生活が第一」が公約ではなかったのか。
 こんな時、何で私は議席を持っていないのか、今更のように昨年の惜敗が無念でならない。
 せっかく、人生をかけて必死でこの道を歩んできたのに・・・。
 自民党の支持率は相変わらずの低迷ぶりだ。なんとか頑張ってくれないか、今、私は祈るような気持でいる。